東大グレアムです。
一旦は好調な雇用統計による金融緩和期待の剥落、それによる実質金利の上昇で調整していた株式市場ですが、またしても過去最高値を更新しました。
ちなみに1昨日は、FOMC議事録の発表でYCCを含む追加の政策対応についての具体的な言及がなかったことで、特に貴金属市場が調整しました。
とはいえ雇用統計もFOMC議事録の発表も、結果的には中長期目線の投資家にとっては買いの好機を作っただけに終わりました。
主要株価指数
S&P 500(青線)、NASDAQ 100(オレンジ線)、RUSSELL 2000(緑線)です。
8月20日の市場は、S&P 500が+0.32%、NASDAQ 100が+1.40%、RUSSELL 2000が-0.49%とハイテクが躍進した一方で小型株は下落しました。
少し前はRUSSELL 2000のアウトパフォームが目立っていましたが、最近はハイテクのパフォーマンスが良好です。
資金が循環しながらマーケットが上がっていっていることが分かります。
資金循環を先読みして、NASDAQ 100とRUSSELL 2000を乗り換え続けることに成功すれば、インデックスガチホを大きくアウトパフォームすることができる可能性もありますが、個人投資家の割高・割安といった感覚的な判断で頻繁な売買を繰り返しても市場をアンダーパフォームするだけだと思っておりやってはいません。
S&P 500 Map
S&P 500もNASDAQ 100も上がっているので全体的な傾向なのかと思いきや、実は上げているのはいつものメンバーだけで、他の株はそんなことはなかったりします。
特にバクソンモービルを筆頭とするエネルギー関連の株価は、原油価格が戻りつつあるにもかかわらず全然戻ってはいません。
貴金属スポットレート
Gold(青線)、Silver(オレンジ線)、Platinum(緑線)です。
元々実質金利や期待インフレ率と比較しても上げすぎていたということもあり、雇用統計をきっかけとした実質金利の上昇をきっかけに、不安定な動きが続いています。
金融ストレス指数
金融ストレス指数はコロナ前の水準に戻りました。
ハイイールド実効利回り
投機的格付けであるハイイールド債券の利回りは昨年の12月の水準まで戻りました。
このような指標から、金融市場はすっかりコロナ前の落着きを取り戻したといえるわけですが、こうした上昇相場に対してここ最近まで懐疑的であったのが、ファンドマネージャーたちです。
ファンドマネージャーの相場観
8月になって、ようやくファンドマネージャーたちは、現在がベアマーケットラリー(下落相場の中の一時的な上昇)ではなくて、ブルマーケット(強気相場)だと認め始めました。
景気後退か回復の初期段階か
FMS Investors – Early-Cycle vs. Recession
8月になって、現在がリセッション(景気後退)ではなくて景気回復の初期段階であると考えるファンドマネージャーの割合は続伸しました。
アクティブな機関投資家の株式エクスポージャー
NAAIM – Equity Exposure of U.S. Active Managers
アメリカの機関投資家の株式エクスポージャーは急上昇しており、2年ぶりの高い水準にあります。
センチメントインジケーター
Sentiment Indicator and Stock Positioning
一方で個人投資家、機関投資家、外国人投資家の過去12か月と比較した株式ポジショニングは、まだそれほど高い水準ではありません。
アメリカのアクティブな機関投資家と比較して、こうした投資家が乗り遅れていることが分かります。
特にパッシブファンドはボラティリティを指標とするものが多いので、市場が落ち着くまでは、ポートフォリオのリスクを一定以内に抑えなければならない制約からポジションを取れないということが要因として考えられます。
安心感を待っていると乗り遅れる
失業者数が予想より悪いことなどで騒いでいる投資家もいるようですが、単純に金儲けの観点から考えれば、失業率のような遅行指標は、それが悪ければ積極的な政策・金融対応が期待できる一方で逆に指標が良ければ金融市場を引き締める要因となるので、実体経済の悪さを理由に株式投資をしないというのは考え方がおかしいわけです。
歴史を振り返れば、失業率がピークを付けた時が株の買い時であり、失業率が下がりきった時が株の売り時でした。
金融市場の肥大化によって実体経済と金融市場に乖離が元から生じていること、資産インフレと消費財価格のインフレは別物として考えなければならないことは、本ブログで繰り返し指摘してきましたが、ニュースの解説等を見る限り、それを理解している市場関係者は実はそれほど多くはないと思われます。
ほとんどの投資家が株式市場の上昇に対して懐疑的であるときこそ、良好なリターンが得られる一方で、安心して投資できると誰もが思うようなときは、逆に株式市場の天井であることが多いわけです。
リターンとはリスクを引き受けたことへの対価です。
実際、投資家は世間が悲観的な時に株式やその他資産に投資をすることで、市場の流動性を供給するという社会貢献をしているのですから、それに対する報酬を受け取って当然とも考えられます。
まとめ
ファンドマネージャーたちは、株式市場が過去最高値を更新した今になってようやく現在が強気相場であることを認めたわけですが、こんなことは金融政策や実際のマネーサプライ・金利を見れば数か月前から容易に予想ができたことです。
マネーサプライと株式市場
頑張って日々の細かいニュースを追うのは結構なことですが、大局観を見失わないようにしたいものです。
ファンドマネージャーが強気転換し、VIXの低下によってパッシブファンドの資金流入が見込まれることから、株式市場はまだ上昇を続けると考えることができますが、逆に市場参加者全員が楽観的になってきたら、そのときこそ注意が必要です。
何故イナゴたちがVIXのショートポジションを取るかというと、仮に市場に何も問題が起こらず、株価が順当に上げていけば、株価の変動の大きさを表すVIXも、段々と減少していくからです。
市場が好調で浮いた雰囲気になっているときには、投資家たちは今のまま市場が安定して推移するというあり得ない幻想に取りつかれるのです。
これは人間の性ともいうべきもので、10年前のリーマンショックでも、2年前のVIXショック(雇用統計の好調を背景にしたFedの利上げを警戒)でも、1年前の暴落(貿易戦争によるサプライチェーンの破壊とFedの金融引き締めによる暴落)でも、或いはトランプが気まぐれにツイートしただけでも、VIXが急騰したことがあったのですが、なぜか強気相場が半年ほど続くとそんなことなど忘れてしまうのです。
恐らくは、次の大きな下落は株式市場が最高値からある程度上昇し、長期金利に対する株式のリスクプレミアムが十分に削られた後であり、パッシブファンドも含めた機関投資家のポジショニングの上昇余地が無くなってきた頃となるでしょう。
それまでは数か月以上はあるはずですので、コロナショックでも株式市場から撤退しなかった賢明な投資家は、しばらくは引き続き良好なリターンを享受できると考えます。
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