東大グレアムです。
8月7日の市場は市場参加者の予想を上回る良好な雇用統計が発表されたことにより将来的な金融緩和期待が剥落し、実質金利が暴騰しました。
これがハイテク株の割高なバリュエーションの調整とコモディティ価格の暴落を引き起こしました。
雇用統計
失業率
7月の失業率は予想10.6%に対して結果10.2%と、予想を上回りました。
また民間部門の雇用者数も予想117.6万人に対して146.2万人と予想を上回るなど、その他の指標もおおむね好調でした。
主要株価指数
S&P 500(青線)、NASDAQ 100(オレンジ線)、RUSSELL 2000(緑線)の5日チャートです。
8月7日はS&P 500が+0.6%、NASDAQ 100が-1.13%、RUSSELL 2000が+1.59%とハイテク株が下落した一方で小型株が大きく上昇しました。
貴金属
貴金属先物の5日チャートです。
Gold(青線)、Silver(赤線)、Copper(オレンジ線)、Platinum(緑線)です。
Goldが-2.0%、Silverが-3.03%、Copperが-4.05%、Platinumが-4.29%と大暴落しました。
※原油も-0.97%と下落しました。
長期金利
米10年金利は+6.09%と大きく上昇しました。
実質金利
Daily Treasury Real Yield Curve Rates
実質金利は全ての年限で上昇しました。
インフレ率
長期金利と実質金利の差として算出される期待インフレ率は、大きく下落しました。
ドルインデックス
ドルインデックスは実質金利の上昇を受けて大きく上昇しました。
ハイテク株・コモディティの下落と実質金利の上昇
ハイテク株が下落した理由
下落したハイテク株の中身を見ると、大型ハイテク株に加えて、SaaS銘柄が目立っていました。
株式は今年や来年の企業収益だけではなくて、ずっと先の企業収益を現在価値に割り引いたものも織り込んでいます。
大型ハイテク株やSaaS株の収益源はサブスクリプションや広告であり、製造業やエネルギー産業などのシクリカルな銘柄と比較して将来の収益の見通しを立てやすいという特徴があります。
そのため、コロナショックによって将来の見通しが不透明になった時にも、将来の企業収益を現在価値に割り引く際に使用されるリスクプレミアムの上昇が、シクリカルな銘柄と比較して少なかったため、こうした銘柄よりも株価の下落率が低かったのです。
さらに、こうした大型ハイテク株やSaaS株は将来の収益の見通しを立てやすい性質上、ずっと将来の収益も株価に大きく織り込まれやすいという特徴があります。
将来の企業収益はリスクプレミアムに加えて実質金利によって割り引かれるため、Fedの社債購入やバランスシート拡大、政策金利の低下、期待インフレ率の上昇といったコロナショック後に起こった金融環境の変化の恩恵を最大限受けて株価が大きく上昇したと考えられるのです。
Bill Gross Releases Investment Outlook, “The Real Deal”
今回、予想よりも好調な雇用統計を受けて、将来的な金融緩和期待の一部が剥落し、実質金利が大きく上昇しました。
ハイテク株とSaaS株の割高なバリュエーションとコモディティ価格の上昇を正当化してきた実質金利の継続的な下落期待が揺らいだことで、これらが下落したと考えられるのです。
株式市場のリバウンドの大部分は、長期債券利回りの急落が原因であり、これによって将来の配当、収益、およびその他のキャッシュフローの正味現在価値(NAV)が上昇しました。債券利回りの全体的な低下により、株式やその他の投資に比べて債券の魅力が低下しています。仮に30年国債の利回りが急上昇した場合、株式の上昇を支えてきた要因が崩れる可能性があります。
小型株が上昇した理由
Why Large Caps Have Done Better Than Small Caps
一方で小型株が上昇した理由は、小型株はIT産業のような将来の企業収益の見通しが立てやすいセクターが少なく、逆に耐久消費財やエネルギーのようなシクリカルなセクターが多く景気動向の影響を受けやすいため、良好な雇用統計を素直に好感したからと考えられます。
実質金利と今後の価格変動予測
30年限の実質金利は8月6日の-0.45から8月7日にかけて-0.41まで上昇したわけですが、これは7月29日~7月30日の水準です。
参考までに、この時の金先物価格は1950付近でした。
現在の金先物価格は雇用統計発表直前の最高値である2085から大きく下落し、一時は2025まで下落しましたが、その後値を回復して2045まで回復しています。
私は以下の記事のコメント欄で、Goldがbreakeven(期待インフレ率)と実質金利からの上方乖離があり、昨今の上昇はやや過熱感があるため、ここからの追加エントリーはダウンサイドリスクが大きいということを連絡していましたが、今回の雇用統計がきっかけとなって懸念が実現した形となりました。
今後のハイテク株・コモディティ価格の動向は共に実質金利の動向に大きく左右されると考えられることから、注意する必要があるといえそうです。
とはいえ、VIXは22.2まで続落しており、今後パッシブファンドの資金流入が見込まれる環境になることが予測されると共に、市場には十分な流動性と上昇余地が存在することから、過度に神経質になる必要はないと考えられます。
経済の回復兆候が見られているとしても、それはパンデミックによるロックダウンが起こっていた最も悪い時と比較した場合の話であって、コロナショックが起こる前と比較すれば実体経済は非常に悪い状態にあるのは疑いようがありません。
よって今から急にFedや政府が方針転換して金融引き締めや財政再建に舵を切るとは考えられないので、投資家は今回のような下落には備えつつも、株式市場から撤退することなく投資を継続することで、恩恵を受けられる環境にあると考えます。
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