日本はなぜ失われた30年になってしまったのか、お伺いしたいです。

「空白の30年」はいろいろ複合的な要因があるんですが、

①地価高騰を国民やマスコミから激しく批判された大蔵省が慌てて不動産融資総量規制をやり、日本銀行が公定歩合を引き上げた

②それでもまだ手ぬるいと言われて、この方針をなかなか変えられなかった、このため株価が急激に低迷してもなんら手を打てなかった

③3年ほどのタイムラグがあって、地価が大暴落した

④これで不動産投資をしていた企業が大きな負債を抱え、銀行には不良債権が積み上がった、

④しかし、地価は上昇するものという土地神話が根強く残っており、金融機関などが「飛ばし」などの不正会計に手を染めて、不良債権処理が致命的に出遅れた

⑤日銀が地価梃入れのため、慌てて金利を引き下げ、この結果、住宅ローンが大きく引き下げられる

⑥しかし不動産価格が暴落した結果、マンション価格なんかが大きく下落し、抱えている住宅ローンより資産価値が低いというケースが少なからず発生した

⑥この結果、個人は手持ち不動産を売ることができなくなった。資産価値より多額な「返す価値のない住宅ローン返済を迫られた

⑦大きな住宅ローン負債を抱えているので、その返済で手一杯で消費が冷え込み、金利を引き下げたのに住宅価格も上がらなかった

⑧このため景気は冷え込み、地価は上がらなかったため、1998年をピークに金融機関がバタバタと潰れた

⑨残念ながら、この金融危機への対応で政府当局が出遅れた。出来るだけ延命さえようとしたので、日本の金融機関全体の信認が著しく下がった。「日本売り」が発生した

⑩2003年のりそな銀行への公的資金注入でこれが一段落するが、金融機関の多くが実質国有化され、公的資金返済に注力した結果、攻めの融資ができなくなった。この結果、「貸し剥がし」や「貸し渋り」が激化して、企業の設備投資意欲が冷え込んだ。以下、マイナスのスパイラルが続く

こんなメカニズムだったと僕は理解しています。