高配当個別株考察まとめ

【超絶悲報】【高配当】エクソンモービル無限ナンピン太郎に告ぐ

東大グレアムです。

OPECプラスの協議決裂とコロナショックでの原油需要低迷によって、原油価格が暴落しています。

産油企業株は代表的な高配当銘柄であり、高配当マニアから人気がありました。

元々これらの株を持っていた株主は株価大暴落で売るに売れない状況になっているかもしれませんが、逆にエントリーするにはよい機会となっています。

勿論、表面的な配当利回りが高くなっているからという浅はかな理由で個別株を買っても失敗する可能性が高く、銘柄選定を慎重に行う必要があります

原油価格

WTI原油先物CFDの価格です。

WTIとは、West Texas Intermediateの頭文字を取ったもので、アメリカ合衆国南部のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される原油の総称です。アメリカ国内で産出される原油の6%・世界で産出される原油の1~2%ほどを占めます。

アメリカもロシアもOPECには加盟していない非加盟国です。今回、ロシアがOPECの提案した減産に合意しなかった狙いは、原油価格を暴落させることで、比較的採掘コストの高いアメリカのシェール企業を淘汰することです。

なお、ロシアが減産をしない理由は、シェールガスつぶしもあると思いますが、パイプラインが凍結すると二度と使えなくなるので、減産できないという状況も背景にはあるでしょう。

サウジアラビアを筆頭とするOPECは、減産によって石油価格を維持しようと努めてきましたが、自分たちの売り上げを減少させるのみならず、アメリカのシェール企業を利することとなりました

OPECが減産によって石油価格を維持してくれている間に、アメリカのシェール企業は技術革新に勤しみ、採掘コストを減少させて競争力を高めてきたのです。

採掘コスト

Crude Oil’s Total Cost of Production Impacts Major Oil Producersより抜粋

湾岸諸国が最も低く、次いでロシアが続きます。アメリカの採掘コストは比較的高いことが分かります。

石油生産量ランキング

2018年国別内訳 Enerdataより抜粋

現在アメリカが世界1位の石油生産国であることを知っていた人は意外に少ないのではないかと思います。

アメリカの台頭

U.S. Energy Information Administrationより抜粋

アメリカの石油生産量がここ10年ほどで急激に成長してきたことが分かります。

シェール企業の社債

こうしたアメリカの台頭に対して、今回ロシアが行動に出たわけですが、ロシアの狙いがアメリカのシェール企業を叩き潰すことにあるとすれば、原油価格と産油企業株の暴落を受けて、割安感から飛びつくのは早計といえます。

というのは、シェール企業は、採掘のために莫大な設備投資を行っており、そのために大量の社債を発行している(=借金している)からです。

原油価格が暴落し、損益分岐点を下回る現在の価格が長引けば、シェール企業は何もせずに倒産するのを待つだけとなります。

シェール企業の過剰債務

Bank for International Settlements Oil and debtより抜粋

シェール企業は増産のため、大量の債務を発行してきました。

エネルギーセクターの債務増加量が突出していることが分かります。

低格付け社債の暴落

S&P U.S. High Yield Corporate Bond Energy Indexより抜粋

エネルギーセクターの格付けが低い社債価格です。現在、2016年と同等の水準まで落ち込んでいることがわかります。

2014~2016年に社債が暴落した理由は、アメリカのシェールガス革命に対して、OPECが減産ではなく価格競争に踏み切ったためです。この時も現在と同様、採掘コストの高いアメリカのシェールオイル企業を淘汰することが目的だったのですが、OPEC加盟国内の採掘コストも一様ではなく、採掘コストの低い湾岸諸国以外の加盟国の経済悪化が大きくなった2016年、姿勢を転換してロシアも含めた減産に合意しました。

今回、当時よりも急激に原油価格と社債価格が暴落していますが、これは上記のような産油国の争いに加えて、コロナショックによって世界中の経済活動が停止したためです。

2014年から2016年に同様のことがあったことを振り返れば、今回も再び減産合意まで漕ぎ着けるには、ある程度時間がかかることが想定されます。

よって、原油価格と産油企業株が暴落したからと言って、割安感から素人が安易に手を出すのは危険と考えられるのです。

銘柄選定

The Biggest Oil and Gas Companies in the Worldより抜粋

先日コロナショックでどの株を買うべきかについて考察したときに、時価総額が上位にあり、保有しているキャッシュが多く、債務が少ない企業を選定するべきという結論に至りました。

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先ほど見たようにエネルギーセクターの社債が問題になっていることから、今回は債務を重要視して選定するべきと考えます。どんなに割安でも潰れてしまっては意味ないですし、財務状況が極端に悪化すれば、配当金も一時的に支払いを停止する可能性が高いためです。

また、リーマンショックや2014~2016年の増産競争の時に、どのようなチャートになっていたか、現在の株価が当時と比較してどうかを確認するべきでしょう。

というか、こういうこと分かってなくて個別株買うバカ多すぎませんかね。”現在の”配当利回りが高いだけで日産wwwとか買って、無配当になって嘆いているバカが世間にはいますが、個別株買うなら財務三表と決算報告くらいは確認してから買うべきですね。

PERとか配当利回りとか、過去の決算書から計算しているので、直近で業績が急速に悪化した場合、反映されないですよね。企業業績が継続的に好調で株主に還元している企業と、業績が悪化して株価が下落したことによって配当利回りが表面的に高くなっている企業を判別できないのであれば、高配当の個別株を買うのはやめたほうが良いです。

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候補企業の比較

アメリカ・中国・ロシア・ヨーロッパ・サウジアラビアから1つずつ選びました。上位10企業を全部見るべきですが、冗長なので絞っています。株価は3/27時点です。

Sinopec

PER:8.7281、Debt to Equity Ratio:0.5063

直近のピークからの下落率:56%

長期チャートは弱く、直近のピークからの下落も大きいです。Sinopecはリーマン以降横ばいを維持していますが、参考までにPetroChinaは右肩下がりのチャートとなっています。

Royal Dutch Shell

PER:8.7281、Debt to Equity Ratio:0.5063

直近のピークからの下落率:53%

長期チャートは弱く、現在の株価はリーマンショックよりも下です。

Saudi Aramco

PER:-、Debt to Equity Ratio:0.1651

直近のピークからの下落率:21%

2019年12月にサウジ証券取引所に上場して世界1位の時価総額になりました

上場してすぐにこんなことになってしまったわけですが、それでも1位を維持しています。

EXXON MOBIL

みんな大好きExxon Mobil(笑)ですね。

PER:11.5704、Debt to Equity Ratio:0.2652

直近のピークからの下落率:64% 他と比較して有意に下落率が高いことがわかります。

株価が2014年から右肩下がりなので、直近のピークは2014年から取りました。

ポイントはリーマンショック時よりも株価が大幅に下落している点ですね。

リーマンショックの時も$55くらいあったのに、今$37ですね。

Exxon Mobil’s Shale Oil Dilemmaより抜粋

エクソンモービルが天然ガスでのシェアを落としていることがわかります。

Exxon and Chevron place long-term bet on Permian shale boomより抜粋

近年では、Exxon Mobilはセクター平均をアンダーパフォームし、逆にChevronはアウトパフォームしていることが分かります。

このことから、高配当であるエネルギーセクターから株をピックアップするとしても、Exxon Mobilが正解かどうかは疑わしいと考えられるのです。

ところで、マイルールに従ってExxon Mobilを3ヶ月連続でナンピンしたブロガーがいるようです。

私は彼を、卓越した文章力と様々な媒体を駆使したマーケティングビジネスの手腕によって天才であると認識していますが、そのような人間でも適切な投資方針を立案したり、個別株を適切に選定するのは難しいのだということです。

先ほど現在の株価がリーマンショックの底値より大幅に低いことを指摘しましたが、これはExxon Mobilに投資していた投資家がS&P500やNASDAQに連動する市場平均に投資していた場合と比較して驚くほどの損失を被ってきたことを意味します。

リーマンショックの底値はS&P500が676、NASDAQ100指数が1080です。現在それらはS&P500が2540、NASDAQ100指数が7590もあります。

更に、仮にリーマンショック前の高値でこれらの指数連動ETFを買ったとしても、現在は大幅なプラスです。それに対してExxon Mobilの現在の株価はリーマンショック前の高値の約3分の1です。

これを考えれば、Exxon Mobilの株価の下落が異常であることが分かります。

それと共に、素人が”割安感”から株価が下落した個別株を拾うことの愚かさも理解できると思います。

株価の天井とか底とかって何を基に判断しているんですか?

リーマンショックの底でExxon Mobilを喜んで買った人間は、その10年後さらに株価が大幅に下落していることなど想像もしていなかったことでしょう。

Rosneft

最後はロシアのRosneftです。

PER:4.7332、Debt to Equity Ratio:0.6877

直近のピークからの下落率:40%

エクソンモービルのチャートとは対照的に、暴落した現時点でも株価はリーマンショック時よりもはるかに高い位置にありますね。

比較した結果

バランスシートの強さを表すDebt to Equity Ratioについては、今回ピックアップした企業は問題ありません。

とすると2番目の選定基準である、リーマンショックや2014~2016年の増産競争の時に、どのようなチャートになっていたか、現在の株価が当時と比較してどうかから判断すればよいということになります。

チャートの強さを見ると、Rosneftが過去のショックに対する下落率が低く、長期チャートの形が右肩上がりで強いですね。

又、過去データはないですが、コロナショックでの下落率が最も低いのはSaudi Aramcoです。

まとめ

そもそも今回の原油暴落の原因は何でしたか?

ロシアがアメリカのシェール企業を潰すために原油価格を暴落させたんですよね。

原油価格が暴落してロシアも当然ダメージを受けますが、わざわざ自国の企業を潰すことはしないですよね。これだけ原油価格が下がっても耐えられる勝算があるから実行したのです。ロシアの採掘コストは湾岸諸国に次いで低いです。だから戦いを仕掛けられたというわけです。

ピックアップした企業の中から、中期目線を考えて投資するのであれば、正解の1つはRosneftでした。

Saudi Aramcoも採掘コスト最安かつ、Debt to Equity Ratioとコロナショックでの下落率が圧倒的に低いので、正解です

産油企業株買った人で正解した人いましたか?

ほとんどいないと思います。そもそもRosneft知らなかったのでは?

逆に世界の投資家はやはり賢いですね。株価にすべてが織り込まれているという効率的市場仮説はやはり正しいのでしょうか?とすれば個別株選定する意義が逆になくなるんですけどね。

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POSTED COMMENT

  1. アバター @cosmo__ より:

    こんにちは。

    いつも良質な記事ありがとうございます。
    Роснефть(Rosneft)は確かに露ルーブル建てでは下落具合は少ないのですが、米ドル建て換算にするとルーブルが下落しているのでどこもトントンだと思います。
    露ルーブルのまま放っておくなら別かなと。
    そう言う意味ではSaudi Aramcoの株価はドルペッグ制を敷いているサウジリヤルなので多少マシかもしれません。
    (ちゃんと計算していないので正確かはわかりませんが)

    • 東大グレアム 東大グレアム より:

      コメントいただきありがとうございます。

      今後は自分の記事に対してコメントいただいた場合は返信していきたいと思います。

      為替ヘッジ無しで購入した場合はご指摘の通りです。

      米ドルの場合は基軸通貨なので為替ヘッジは気にせずとも問題ありませんが、
      取引量の少ない通貨建ての株式へ投資する場合、一般的に機関投資家は為替ヘッジをします。

      為替ヘッジについて

      1000ドル分の外国株式を購入する場合、自国通貨を1000ドル売ってロシアルーブルを1000ドル分購入することになります。

      このまま何もしないのが為替ヘッジなしの投資です。日本円やユーロ、米ドルなど取引量が多い通貨建ての株式を購入する場合はヘッジせずとも変動量が知れているため、為替ヘッジしないこともあります。しかし取引量の少ない通貨建ての株式を購入する場合は、為替リスクが大きいため、仮に上昇すると見込んだ株が見込み通りになったとしても、為替換算で利益が出ないことがあります。そこで、一般に為替ヘッジをします。

      為替ヘッジありで1000ドル分の外国株式を購入する場合、自国通貨を1000ドル売ってロシアルーブルを1000ドル分購入した後に、FXで1000ドル分のロシアルーブルを空売りします。

      アメリカ在住の人間が為替ヘッジ有りでRosneftに投資をしたとします。
      投資開始はリーマンの底の2009年、現在は2020/3/27とします。
      投資額は1000ドルです。

      2009年のRosneftの株価は110ドル、現在の株価は310ドルです。
      また、2009年の為替(RUB⇒USD)は0.029、現在の為替は0.013です。
      株価上昇による利益は1000*(310/110)*(0.013/0.029)-1000=263ドルです(これは始点と終点だけ見ればいいので楽)。
      配当による利益は、配当利回り平均7%として毎年ロシアルーブル建てで受け取るのですが、
      計算が面倒なので今回は以下の為替ヘッジのスワップ金利のコストとほぼ同率なので相殺して考えます。

      FXのロシアルーブル空売りで為替ヘッジするためのスワップ金利のコストは、短期金利差×年数分だけ生じます。アメリカのこの期間の短期金利が1%(リーマンショック後の中央銀行による短期国債買取の影響)、ロシアのこの期間の短期金利が平均して8~9%なので、1年あたり7~8%の利払いが生じます。
      しかし、計算が面倒なのでこれをRosneftの配当と相殺して考えます。

      FXのロシアルーブル空売りによる利益:1000/(0.013/0.029)-1000=1231ドル

      結局、10年間で株価上昇益263ドル+ロシアルーブル空売りによる利益1231ドル=1494ドルの利益、年率((1000+1494)/1000)^(1/10)=1.096⇒年利9.6%の投資

      なんか適当に計算していますけど合ってますかね。間違っていたら指摘してくださると助かります。

  2. アバター チャリンコ投資家 より:

    最近読ませていただいております。投資初心者です。
    選定基準を「リーマンショックや2014~2016年の増産競争の時に、どのようなチャートになっていたか、現在の株価が当時と比較してどうかを確認するべき」というものをあげておりましたがなぜでしょうか?
    馬鹿な質問ですいません。

  3. アバター たまたま見かけた人 より:

    株価だけリーマン時と比較しても意味ないでしょ。エクソンモービルやロイヤルダッチシェルは配当が重要なんだから?

    VTIやVOOと比較するなら配当再投資でのトータルリーターンくらい比較して考察してほしいです。

    • 東大バフェット 東大バフェット より:

      自分で頑張ってくれ!我々は原油株を買うつもりなんて無いのだ!ボランティアだ!(東大グレアムがどういう意図でこの記事書いたか知らんけど勝手に返信してるだけ)

    • 東大グレアム 東大グレアム より:

      https://www.etfreplay.com/combine.aspx

      これでXOM/RDSとVOO/VTIを比較すれば配当込みのリターンがわかります。
      そもそもXOM無限ナンピン批判する記事なんだから、トータルリターンの差なんて明示せずとも自明と思っていましたが、幅広い読者がいることを想定すべきでしたね。

  4. アバター くるっと より:

    石油関連はファンダメンタルズというか政治情勢がものをいう業界だから、ロスネフチすら聞いたことない人が手を出したらいかんよなぁ

    • 東大グレアム 東大グレアム より:

      その通りですね。石油に限らず、セクターETFや個別株を買う場合は業界事情をある程度は把握することが必要ですからね。

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