東大グレアムです。
ワクチンのニュースが出た11月9日をピークとして、長期~超長期の実質金利が大幅に下落し、エクイティデュレーションの長いハイテクグロース株のバリュエーションを後押ししたことで、ワクチン前から強かった株に資金が戻っています。
ビットコインは前回のバブル崩壊とほぼ同じ水準で切り返しており、仮にこのまま前回の高値を超えられずに下落するとすれば、投機家にとっての魅力が低下すると考えられます。
狂気とも思える現在の市場はいつまで続くのでしょうか?
主要株価指数
S&P 500(青線)、NASDAQ 100(オレンジ線)、RUSSELL 2000(緑線)の5日チャートです。
11月25日はS&P 500は+0.24%、NASDAQ 100は+0.87%、RUSSELL 2000は+0.56%とハイテクを中心に上昇しました。
NASDAQはここ数か月不調でしたが、優位が戻ってきました。
S&P 500 Map
S&P 500の1週間のヒートマップです。
GAFAMはAAPL以外はプラスとなっています。
原油価格が大幅上昇しているため、産油企業がとても強いですね。
長期金利
10年金利(青線)、20年金利(オレンジ線)、30年金利(緑線)の1ヶ月チャートです。
ワクチンができても解決には時間を要する
ワクチンが可能になった場合に接種を計画している人の国別の割合
ほとんどの国でワクチンが可能になった場合に接種を計画している人は8月から減少www
ファイザーのワクチン報道で経済再開期待から国債が大きく売られ、金利が跳ね上がったことで急激なセクターローテーションを引き起こしました。
しかしこれは期待先行の動きであり、ワクチンができても実際に全員に行き渡るのは時間がかかることや、仮にワクチンができたとしても全員が摂取するわけではないという、”前から分かり切っていた当たり前の事実”に今更投資家は気づいたようです。
市場というのは大きな材料を織り込むときに期待先行で過度に織り込み、そのあと現実を直視して巻き戻すということがよくありますので、本ブログで前々から伝えている通り、ニュースに振り回されてトレードするのは愚かですし、一般に知れ渡ってからでは既に遅いです。
もしそういったトレードをしたいのであれば、製薬会社の開発状況を事前に調査したりマクロ経済指標からトレンドを予測するなどして、バリュー株や小型株が上昇する前にあらかじめそれらを仕込んでおく必要があります。
小型株やバリュー株には既に大量の資金流入がある
バリュー株・小型株への資金流入は過去最高レベルとなり、オーバーポジションとなりました。ニュースに踊らされてこれらを買った投資家は、ヘッジファンドや機敏なプロ投資家の後追いをしただけであり、割高な株をつかまされたことになったといえるでしょう。
今週の指数の動きを振り返れば明らかなとおり、大型ハイテク株や小型グロース株といったワクチン前から強かった株に資金が戻っています。
有名インフルエンサーの買い推奨や売り推奨に踊らされてヘッジファンドの養分になるかどうかはあなたが決めることです。
長期実質金利が急落
実質金利を見ると、ワクチンのニュースが出た11月9日をピークとして、エクイティデュレーションの長いハイテクグロース株のバリュエーションにとって重要な長期~超長期の実質金利が大幅に下落していることが分かります。
特に30年限の実質金利は11月9日が-0.15%、11月27日が-0.33%と絶対値では場合上のマイナスとなり、10月16日の水準まで逆戻りしました。
FREDの金利チャートは米財務省のデータより1営業日のラグがあるのが難点ですね。
インプライド・ボラティリティ
VIXとVXNは大統領選後急低下
S&P 500のインプライド・ボラティリティ(IV)であるVIX(青線、右軸)とNASDAQ 100のIVであるVXN(オレンジ線、左軸)の3ヶ月チャートです。
VIXは-1.93%して20.8、VXNは+1.67%して26.12%、RUSSELL 2000のIVであるRVXは+0.45%して28.89となりました。
VIXが一時的に20を割り込む
特にVIXは一時的にではありましたが20を割り込みました。
ハイボラティリティレジーム脱却でボラティリティ・ターゲット戦略のポジショニング復元が来るか
一般にVIXが20以上はハイボラティリティレジームとされており、アルゴリズムが株式のリスク量が高いと判断するため、前回の記事で指摘した通り、ボラティリティ・ターゲット戦略を採用するリスクパリティやVolコントロールがポジションを回復できない要因となっていました。
今後継続的にVIXが20を割り込んでくるような展開になれば、こうしたパッシブファンドの機械的な買いが入ることになります。
ヘッジファンドの裁量ポジションが高値にあり下落を警戒する必要がある中で、パッシブファンドの買い入れは逆行する好材料となります。
しかし、9月頭のようにパッシブファンドのポジションが非常に低い場合でも、株式市場が急落することはありますので、警戒は怠らないほうがいいと思います。
9月の急落の要因はハイテク株へのコールオプションの過熱が引き起こしたため、オプション市場の動向も考慮する必要があります。
オプション市場の動向
プットコールレシオは9月初旬以来の水準まで低下
プットコールレシオは9月初旬以来の水準まで低下しており、市場参加者が市場の上昇に強気になっていることが分かります。
Skewは10月初旬以降継続的に上昇
Skewは10月初旬以降継続的に上昇していますが、まだ高値圏ではありません。
貴金属
ゴールド(青線)、シルバー(オレンジ線)、プラチナ(緑線)の1ヶ月チャートです。
ワクチンのニュース以降、ゴールドとシルバーは大きく低下した一方で、プラチナは上昇しました。
プラチナは自動車の排ガス浄化触媒に多く使うため、新型コロナで落ち込んだ自動車生産が中国などで急回復していることや水素エネルギーでの需要増の期待から上昇しているようです。
前回の記事で指摘した通り、ゴールドからの大量の資金流出と暗号資産(仮想通貨)の投機的な上昇が同時に起こっており、今回暗号資産(仮想通貨)が急落する中でもゴールドからの資金流出は継続したことから、短期的なモメンタムは悪いと考えられます。
しかし今まで逆相関にあったゴールドと短期実質金利、ドルインデックスとの関係性が失われており、よりリターンの得られるアセットに移動する中で、現在の動きは過度な動きであるとも考えられます。
全ての米ドルの約20%は20年以降に印刷された
Goldman sets US$2,300 price target for gold in 2021
ゴールドマンサックスは11月に2021年のゴールドのターゲット価格を$2,300に設定しました。
全ての米ドルの20%が20年以降に印刷されるなど、財政赤字の急拡大と財政ファイナンスを考えれば十分想定される水準であり、現在のゴールドの逆行は買い増しのチャンスである可能性があります。
暗号資産(仮想通貨)が前回と同じ水準で切り返し
暗号資産(仮想通貨)は11月26日に急落し、27日以降も続落しています。
前回のビットコインバブルは2017年12月に崩壊しました。
ビットコインの月足チャートを見ると、今回ほぼ同じ水準で切り返しており、仮にこのまま前回の高値を超えられずに下落するとすれば、投機的な資産であるビットコインにとっては非常に悪いチャートパターンとなり、投機家にとっての魅力が低下すると考えられます。
そもそもビットコインを含めた暗号資産(仮想通貨)の上昇は株式や債券、貴金属と異なりファンダメンタルズに支えられてきたものではありません。
値上がり自体が投機家を引き付けるため、それが無くなってしまえば急激にモメンタムが悪化することが想定されます。
特に暗号資産(仮想通貨)に関しては今後の価格予測は全くできないのですが、そういったシナリオも考慮しておく必要があるでしょう。
その場合に過剰流動性の末端としての立ち位置に戻るとすれば、市場が信頼度の高い資産から順に資金を配分することから、暗号資産(仮想通貨)の下落は株式市場の下落の前触れである可能性は考えられます。
Palantir Technologiesが急落
現在市場で最も投機的に扱われている株が9月30日にIPOしたPalantir Technologies(Ticker:PLTR)です。
ここ数日間、最も多く取引された個別株オプションが、このPLTRでした。
IPO以降異常な勢いで上昇し、何と2か月で3倍になりましたが、Citron Researchのネガティブレポートをきっかけに11月27日に急落しました。
What a run the past month for all. But as traders looking for short exposure, $PLTR is no longer a stock but a full casino. Does not take a ball of crystal to know this will fall back to Arda. Shorting with a $20 2020 target
— Citron Research (@CitronResearch) November 27, 2020
$33くらいでこの株のプットオプションを買おうとしていた矢先のことだったので、トレードのアイデアを潰されたことは残念でしたが、仕方がありません。
このような投機的な株は他に中国EVやクリーンエネルギー関連、最近IPOした銘柄があり、そうした銘柄の動向はマーケットのセンチメントを測り大型株に波及する前に察知するのに有効だと考えています。
ジムクレイマー”株式市場は史上最も投機的”
CNBCのジムクレイマー氏は火曜日、市場での株価上昇の一部は「非常識」であり、投資家は最近、ファンダメンタルズやコロナウイルスのパンデミックの状態に関係なく、テスラからロイヤルカリビアンまで特定の銘柄を購入し、それらを保持していると述べました。
クレイマー氏は、現在の環境を「今まで見た中で最も投機的な市場」と呼び、最近のテーマである、いわゆるロビンフッド株の動きに呆然としたと述べました。
まとめ
・市場というのは大きな材料を織り込むときに期待先行で過度に織り込み、そのあと現実を直視して巻き戻すということがよくあるため、ニュースに振り回されてトレードするのは愚かであり、一般に知れ渡ってからでは既に遅い。
・大型ハイテク株や小型グロース株といったワクチン前から強かった株に資金が戻っている。
・ワクチンのニュースが出た11月9日をピークとして、エクイティデュレーションの長いハイテクグロース株のバリュエーションにとって重要である長期~超長期の実質金利が大幅に下落している。
・一般にVIXが20以上はハイボラティリティレジームとされており、アルゴリズムが株式のリスク量が高いと判断するため、ボラティリティ・ターゲット戦略を採用するリスクパリティやVolコントロールがポジションを回復できない要因となっていた。
・今後継続的にVIXが20を割り込んでくるような展開になれば、パッシブファンドの機械的な買いが入ることになる。
・今まで逆相関にあったゴールドと短期実質金利、ドルインデックスとの関係性が失われており、よりリターンの得られるアセットに移動する中で、現在の動きは過度な動きである可能性がある。
・ビットコインの月足チャートを見ると、前回のバブル崩壊とほぼ同じ水準で切り返しており、仮にこのまま前回の高値を超えられずに下落するとすれば、投機的な資産であるビットコインにとっては非常に悪いチャートパターンとなり、投機家にとっての魅力が低下すると考えられる。
・クレイマー氏は、市場での株価上昇の一部は「非常識」であり、現在の環境を「今まで見た中で最も投機的な市場」と呼んだ。
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