レバレッジETFはレンジ相場で減価が進む理由を軽く書いたところ、もう少し書いてほしいとご依頼を頂きました。
というわけで分かりやすく図解してみますね。
レバレッジETFの購入時の条件
条件は以下のとおりです。
VOOとSPXL(VOOの3倍レバレッジETF)を同じ日に購入したとします。
VOOが10%上がった後、10%下がったとしましょう。SPXLは毎日複利で3倍の値動きなので、30%上がって30%下がりますね。
- VOO:購入日に10%上がり、翌日に10%下がる
- SPXL:購入日に30%上がり、翌日に30%下がる
まとめるとこうなります。
レバレッジETFの値動きを図で可視化する
以下の図において、1日目の値動きを右側への拡張、2日目の値動きを下側の縮小で表現します。
①:レバレッジETF購入直後の状態

最初に100ドルずつ購入した場合、こうなりますね。
②1日目終了時のレバレッジETF

こうなりますね。VOOは110に増加。SPXL(レバレッジETF)は130に増加。
ここまでは問題ないでしょう。問題は次ですね。
③2日目終了時のレバレッジETF

減価が進んだ部分を黒で塗りつぶしました。VOOは99になり、SPXL(レバレッジETF)は91になってしまいました。
なぜこうなるのか?
図解!レバレッジETFの複利効果と減価を考える
VOOの複利効果と減価の図解
まずはVOOから行きましょうか。

購入当初の上図と、最終的な結果の下図をよく見比べてみてください。
初日の値動きで、赤い部分9マス+オレンジの部分1マスの合わせて10マスを増やしましたね。
その後、二日目の値動きで黒い部分10マスを減らしました。これだけだと、10マス増やして10マス減らしているだけなので、元の100に戻るはずです。
ところが!
初日に増やしたオレンジのマスまで消してしまっています。
このオレンジの部分が複利効果です。
※分かりやすい解説が後に続くので、上図が分からなくてもひとまず読み進めましょう。
なるほどね、初日で増えた部分に対しても2日目の値動きが適用されちゃうんだね。
これこそが複利効果の正体というわけです。

では次にレバレッジETFについて考えてみましょう。
レバレッジETFの複利効果と減価の図解

例のごとく、購入当初の上図と、最終的な結果の下図をよく見比べてみてください。
初日の値動きで、青い部分21マス+紫の部分9マスの合わせて30マスを増やしましたね。
レバレッジETFの3倍の値動き効果により、130マスにまで一気に増えました。
その後、二日目の値動きで黒い部分30マスを減らしました。これだけだと、30マス増やして30マス減らしているだけなので、元の100に戻るはずです。
ところが!
初日に増やした紫のマスまで消してしまっています。
この紫の部分が複利効果です。
誤解されてる方向け図解

こうなるわけですね。誤解されている場合、上図のような理解になります。
水色+青色の和は100マスとなっています。
つまり、30%上がって30%下がった場合、30マス増やしてから30マス減らすという誤解ですね。
ところが!
毎日複利であることを考えると、正しい値動きは下図のようになるわけです。
これは、レバレッジETFだけでなく、VOOでも同じです。
レバレッジETFもVOOも複利はこのように働いています。
レバレッジETFはレンジ相場で減価が進むとよく言われますが、これはレバレッジETFに限ったことではなくVOOでも同じです。複利効果が働いているだけなので。
ところが、レバレッジETFでは複利効果が3倍なので、減価がより進みます。
※この図がめっちゃ分かりやすいはずなので、よく分からなかったらこの図をめっちゃ頑張って読み解きましょう。
なるほどね、複利効果が3倍になるから、オレンジと比べて紫の方がでかいんだね。
そういうことです。ちなみに複利効果が3倍になるのは、レンジ相場だけでなく上昇相場でもですからね?
レバレッジETFでは上昇相場でも複利効果が3倍になる
VOOが10%あがり、翌日も10%上がったとしますね。
すると、レバレッジETFは30%上がり、翌日も30%あがるわけですね。
それを図で表すとこうなります。

初日は水色を右側に30マス増やします。図の青の部分です。
翌日は水色を下側に30マス増やします。図の緑の部分です。
ところが!
初日に増やした青の部分に対しても下に3マスずつ伸ばせるんですよ。
結果、紫の部分9マスが複利効果として現れました。
これが続いたら莫大な利益ですね。
レバレッジETFの弱点を克服する
レバレッジETFの大きな弱点は毎日リバランスの毎日3倍複利です。株価が30日連続上昇!とか起きればレバレッジETFの大勝利ですが、現実問題としては毎日株価は上がったり下がったりしながら長期で見れば右肩上がりなのであり、30日連続上昇とかはまず起こり得ないのです。
毎日3倍複利というデメリットを消すためには、毎日1倍複利レバレッジを掛ける必要があります。
以下では毎日1倍複利レバレッジを掛ける方法を紹介していきます。
損切りをしっかり入れておかないと万が一の暴落の際には借金を負う可能性もあります。
毎日1倍複利レバレッジを掛けるには?
毎日1倍複利レバレッジを掛ける方法は複数存在します。毎日1倍複利レバレッジってなんやねん…?って方はまずは銀行からの借金をイメージすると良いでしょう。
銀行からの借金
単純な話ですが、現在の金融資産100万円に対し、銀行から200万円借金をしてきて300万円のVOOを買えばレバレッジ比率3倍の毎日1倍複利レバレッジとなります。レバレッジETFは毎日リバランスを行い毎日3倍複利となりますが、銀行から借金してきてVOOを買うだけなら毎日のリバランスはありません。毎日1倍複利レバレッジですね。
住宅ローン用の低金利で借りれたら良いんですけどね。。。株式投資用のローンは一般に3%以上の高い金利を払うことになります。カードローンは論外ですね。よって候補から外れます。
CFD
GMOクリック証券やIG証券ではCFD取引というデリバティブ取引を行うことが出来ます。
CFDは差金決済取引なので、最大で10倍程度の大きなレバレッジを毎日1倍複利で掛けることが可能です。値動きの差額分だけを支払えば良いよね?といった感じですね。
GMOクリック証券ではS&P500やNASDAQ100などの主要指数のCFDを取り扱っているため、まずはGMOの口座開設をしておけば十分でしょう。
ARKKにCFDでレバレッジを掛けたい…!とかならIG証券が候補になりますね。
金利コストも銀行に比べたら安いため、CFDは毎日1倍複利レバレッジを掛ける上で最も手軽な手法でしょう。
東大バフェットが行っているデリバティブ・インデックス投資はCFDよりもさらに複雑なものになるので…詳しくは仮想レバレッジポートフォリオnote後編を読んで頂けたらと思います。CFDでレバレッジを掛けるにせよ役立つ内容がたくさんあるのでぜひご覧くださいね。
おまけ
なるほどなぁ。複利効果も図で表すとめちゃくちゃ分かりやすくなるんだね。
そうですね。レバレッジETFに限らず、複利効果を視覚的に分かりやすく説明する!とかいう記事でも良かったかも。
ちなみにさ、これ3日目はどうなるの?
簡単ですよ♪ 3次元にすれば良いだけなので、ルービックキューブをイメージして同じことをやりましょう♪
じゃあ4日目は?
・・・。
※追記
4日目以降の複利効果もルービックキューブ理論で表現できました!!

レバレッジETFの複利効果の図解おまけ
さて、まあ2日目までの複利効果を理解できたら、3日目以降の複利効果の図解は不要でしょう。ましてや4日目以降なんてなおさら不要ですね。ていうか4次元空間を想像できる人がいたらそもそも複利効果分かるやろ。
最後に一応念の為に、図を1枚にまとめたやつを置いておきますね。分かりにくかったらこの画像を縦に区切って見る感じで考えて頂ければ多分行けるはず。

分かりやすかったら例のごとくTwitterとかブログ村とかの応援よろしくお願いしますね!
2次元の図で複利効果を可視化するのは完全に私のオリジナルのアイデアですよ!!
追記:レバレッジETF考察の更新について
レバレッジETFについては適切な理解が必須と考えております。
適切な理解が出来ていないと、様々な理解度の方々が自分の理解度の範囲内でしか物事を見ることが出来ず、いろいろな意味で危険ですからね。
というわけで本ブログではブログ記事という単体の切り取り情報でレバレッジETFを取り扱うことは停止しております。
体系的なまとめとしてnoteをご用意いたしましたので、よろしければこちらを御覧ください。適宜アップデートも行います。

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