東大グレアムです。
前回の記事に引き続き、バリュー株投資と高配当株投資の罠についてです。
本当はこの2つは異なる手法なのですが、割安株と高配当株を追い求める層は似通った傾向にあるため、あえてまとめています。
フリーランチは転がってはいない
いらすとやの汎用性
アイキャッチ画像は、いらすとやさんの”お金につられて罠にかかる人のイラスト”です。
ほんとに何でもありますよね。
ダニング=クルーガー効果
高度に電子化され効率化された現代の金融市場において、”割安”な株を探すことは、並大抵の努力ではできません。
当然ですがそのような株は、プロも同様に追い求めているからです。
特に投資銀行などのセルサイドのプロは、業界とのコネクションも大きく、私たちよりもはるかに容易に重要な情報に素早くアクセスできる訳です。
バイサイドのプロであるヘッジファンドは、セルサイドより情報面でビハインドがあるため、一般に情報の優位性を基にした戦い方をしません。セルサイドと真っ向勝負はしないということです。
しかし、何故か素人投資家はそれをやろうとするのです。
投資雑誌やオンライン記事は毎日”割安株特集”で賑わっています。素人投資家にこれらの株がいかに人気があるかを示しています。
素人投資家が割安株を追い求めることは、自らの能力の低さを認識することの困難さが過剰な自己評価につながるというダニング=クルーガー効果の典型と言えます。
素人投資家は効率的市場において割安株を探し当てる困難さを理解できないために、自分だけは市場を出し抜けるという錯覚に陥り、合理的な理由によって株価が下落している企業の株を割安であると誤解して購入するのです。
リスク回避性向とリターンの誤解
素人投資家がバリュー株(割安株)投資や高配当株投資に陥りやすいもう一つの理由は、投資を娯楽としている一部の人間を除いては、基本的に全ての人間はリスク回避的だからです。
リターンとはリスクを取ったことで得られるプレミアムであるのですが、それが理解できないことがバリュー株投資や高配当株投資に向かわせるのです。
自分だけは損をしたくない、それなのにリターンは追い求めたいという自己矛盾によって、割安株(これも自己判断なのですが)であれば下落の余地が少ないだろうという誤った思い込みをしたり、トータルリターンから目を逸らしインカムゲインのみに集中するという誤った行動をとるのです。
バリュー株投資・高配当株投資は難しい
前回の記事では、銀行株が無配化・減配するリスクについて述べましたが、銀行株に限らずどの業界の株でも同様のリスクがあることは認識しておくべきです。
さらに、高配当株特有のリスクである非成長セクターへの偏りについても認識する必要があります。
高配当ETFに投資している限りは、景気循環株や利益率が低く財務状況が脆弱な株の割合が市場平均と比較して多くなります。
企業収益と財務状況、外部環境や業界事情を知っておかなければ、減配リスクは避けられません。
配当金とは天から降ってくるものではなく、投資した企業の利益の一部を受け取っているのです。利益が出なくなれば、減配するのは当然のことです。
バリュー株投資、高配当株投資という茨の道を突き進むのであれば、プロと同じレベルに自分自身と環境を引き上げるしか方法はないのです。
高配当セクターの偏り
高配当株ETFを買っている投資家の中には、特定のセクターを偏重している(企業がどのライフサイクルにあるかも偏ります)という自覚がないままETFを購入している人も少なくありません。
今回問題になったのが金融セクターやエネルギーセクターであるだけです。
市場平均と比較して、特定のセクターを偏重するということは、それだけリスクが大きくなることを意味します。
勿論、偏りやリスクこそが市場平均を超えるリターンを生み出す源泉であるわけですが、それを理解したうえでリスクをとっているのかそうでないかは重要です。
配当利回りが高いとリスクが低いと勘違いしている人がいますが、全くの誤解であるということは、過去の記事でも示しましたね。
セクター比率・上位組み込み企業
代表的な高配当ETFが、市場平均と比較してどの程度セクターが偏っているかを見てみたいと思います。
VYM
HDV
SPYD
VIG
参考:VOO(バンガード・S&P500 ETF)
高配当ETFはハイテク以外が多い
こうしてセクター比率や上位組み込み企業を比較してみると、市場平均であるVOOは情報技術セクター(所謂ハイテク)が圧倒的に多いのに対して、高配当ETFはそれぞれ多く組み込まれているセクターが異なることがわかります。
高配当系ETFで組み込みが多いセクター
VYM:金融
HDV:エネルギー
SPYD:不動産
VIG:資本財
エネルギーセクターは債務が多いため、原油価格が低迷するとシェール企業は倒産することを予想しました。
予想したとおりになりましたね。
ホワイティングはシェール企業の中でも社債が多く、バランスシートが脆弱だったので真っ先に倒産しました。今後も同セクターの倒産は続く可能性が高いです。
WHITING PETROLEUM CORP
2014年~2016年の原油価格の低下で株価が急落しています。
$375から$15まで下落した株価は、当時のにわかバリュー投資家にはお宝銘柄のように思えたのかもしれません。
しかし株価は2度と元の水準まで戻ることはありませんでした。
そして経営破綻ですからね。仮にこの銘柄に集中投資などしていたら、莫大な損失を被ったわけです。
高配当ETFのセクターの特徴
高配当ETFは、高い利益率があり成長が見込める情報技術セクターが少ないです。一方で景気動向に左右されやすく利益率が低い傾向にある金融・エネルギー・資本財の割合が高いため、トータルリターンが低下するのは自明ですね。
ただし、VIGは景気動向に左右されやすい資本財の割合は高いのですが、連続増配というフィルターを通しているので、一般的な資本財セクターの弱点はある程度カバーされていると考えられます(景気循環に脆弱な株は、連続増配は不可能ですよね)。
SPYDはS&P500の配当上位を持って来て、それらに均等に投資するというETFの性質上、財務基盤が脆弱な小型企業の割合が多くなりやすいです。
VYMやHYGは時価総額を考慮して比重が決められていますが、SPYDにはそれがないため、必然的に業績が悪く株価が低下したことにより表面的な配当利回りが増加した企業が多く含まれるためです。
配当が消えるのは銀行株だけではない
ゴールドマン・サックスは月曜日、S&P 500の配当は2020年に25%減少すると予想している。これは、特定の大きな配当を支払う産業がコロナウイルスの発生による経済的ショックに対して特に脆弱であるためである。
Goldman Sachs sees S&P 500 dividends declining 25% in 2020より引用
ここまで説明して来たので、銀行個別株を買っていないからといって安心している高配当株投資家はもういないと思いますが、他の業種でも、業績が悪化すれば配当金を減らす動きが出てくるのは当然のことです。
もう一度言いますが、配当金とは天から降ってくるものではなく、投資した企業の利益の一部を受け取っているのです。利益が出なくなれば、減配するのは当然のことです。
よってハイテクグロース株投資でも高配当株投資でも、結局は企業収益と財務状況が重要であることには変わりないのです。
“今はバランスシートが全てだ”
The next hit to your retirement fund: Disappearing dividendsより引用
銘柄選定の記事でレイダリオの見通しを引用した時にも同じことを言っていましたね。
今個別株を買うのであれば、財務面が強い企業を選ぶべきです。
ポイント
・バリュー株投資・高配当株投資は茨の道である
・高配当というフィルターでスクリーニングすると、セクターは偏る
・高配当ETFが選好するセクターは景気循環に弱く利益率が低い傾向にある
・弱気相場では配当は減少するリスクがある
・弱気相場で企業を選定するのであれば財務面を注視する必要がある
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