6月10日のFOMCでは、政策金利の目標誘導レンジを0-0.25%で据え置くことを決定し、2022年末までゼロ付近で維持するとの見通しを示しました。

Dovish Powell Sees Fed Keeping Foot on Gas Until Jobs Come Backより引用
また、米国債と不動産ローン担保証券の資産購入ペースについて、少なくとも現行のペースを維持するとの見通しを示しました。
これを受けて、株式市場は大暴落となりました。
S&P500

1日チャートです。久々の下げ幅となりました。
S&P500 MAP

WMTってなんかtickerが草っぽいと思うんですが、全体が赤い中WMT付近だけ緑で草。
NASDAQ100

1日チャートです。S&P500よりは下げ幅は小さいですが大幅な下落となりました。
せっかく心理的な節目の10,000を突破したと思ったのになあ。
10年金利

5日チャートです。FOMC前から結果を予測して織り込み始めていますね。
ドル円

5日チャートです。一時は110円/ドルに迫る勢いでしたが、106円台まで跳ね返されました。
ドル円は日米実質金利差を反映して動きますので、同様の動きとなっていることがわかります。
マネーサプライM2

マネーサプライM2を見ると、3月~4月で急増した後に、5月以降は伸びが鈍化し、以前のペースに近づいていることが分かります。
株価が大暴落した理由
冒頭で資産購入を現在のペースで維持すると述べました。株価が大暴落した理由はここにあります。
以下の記事で、株価が上昇を続けている理由を次のように説明しました。

S&P500時価総額とマネーサプライの比率

The Really Big Stock Bull Case Says Fed Stimulus Doesn’t Go Awayより引用
S&P500の時価総額をM2(マネーサプライ、通貨供給量)で割った値は20年間の平均値よりも低く、企業業績の悪化を考慮しないのであれば、株価は割高とは全く言えず、寧ろ割安であることが分かります。
リーマンショック以降、株価の変動要因の9割は流動性であり、企業収益の影響は1割に過ぎません。
つまり株式市場は、5月以降の伸びがほぼ止まっているマネーサプライに関して、それが一時的なものであり再度資産購入を加速する旨の声明を求めていたわけですが、今回のFOMCで伸びがほぼ止まっている現在のペースを維持すると明言され、要求を否定されたことで暴落したといえるのです。
先ほどの株価チャートは場中のスクショのため、明日起きるころにはさらに下げ幅を拡大しているものと考えられます。
こうした状況で、さらに株価が下落することを恐れて狼狽売りに走る投資家もいるかもしれません。
しかし、バフェットが長期投資においては仮に中央銀行の行動を事前に知っていたとしても自身の保有する銘柄については投資方針を変更することはないと言っていた通り、長期投資家はニュースに一喜一憂して頻繁に売買を繰り返すのは最終的なリターンを下げる可能性が高いです。
ちなみに、VIXが未だ20を超える高い水準が続いていることから、リスクパリティなどのシステマティックファンドのポジションは小さいままです。
よって、今回のFOMCによって短期的には市場は調整する可能性が高いですが、コロナショックの最初の下落のような大きなものにはならないことが想定されます。
まとめ
・株価はマネーサプライの増加によって上昇してきた
・株式市場は、5月以降の伸びがほぼ止まっているマネーサプライに関して、それが一時的なものであり再度資産購入を加速する旨の声明を求めていた
・今回のFOMCでマネーサプライの伸びがほぼ止まっている現在のペースを維持すると明言され、要求を否定されたことで暴落した
・VIXが未だ20を超える高い水準が続いていることから、リスクパリティなどのシステマティックファンドのポジションは小さいまま
・今回のFOMCによって短期的には市場は調整する可能性が高いが、コロナショックの最初の下落のような大きなものにはならない

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いつも勉強になります。
> 冒頭で資産購入を現在のペースで維持すると述べました。株価が大暴落した理由はここにあります。
これに関しては、債券には満額回答だったように思います。
実際に、10年国債利回りは低下してキャピタルゲインとなって現れました。
(が、その次の日にはBNDも下げているので、多少債券市場にもダメージが行っているみたいですが)
DJIはちょうど昨晩が一目均衡表の雲ねじれの日だったので、ハラハラしてました。
https://www.tradingview.com/x/VK3UGTNq/
出来高を見ても通常よりもちょっと多いかな?くらいに見えますね。
表示させているインジケーターはTTM SqueezeとWave A/B/Cです。Wave A/B/Cは視覚的にトレンドが上向きか下向きか、更に上に行きすぎか、下に行きすぎかがわかって見やすいインジケーターなので好きです。
https://jp.tradingview.com/script/nYOzTA1Y-UCS-TTM-Wave-A-B-C/
勉強になります。
私は短期トレードをしないので、テクニカル指標についてはあまり気にしていませんでした。
一応見ているのは長期チャートの形と出来高くらいですね。
投資の幅を広げるためにテクニカル指標についても学んでみてもよいかも?とは思っています。