東大グレアムです。
以下の記事で、リーマンショック以降の低金利環境下では小型株のパフォーマンスは振るわず、アメリカ市場を牽引してきたのはGAFAM(+V/MA)と呼ばれる一部のメガテック企業であることを説明しました。

投資家は過去のパフォーマンスが今後も続くことを信じてこれらのメガテック企業を持ち続ければ、市場をアウトパフォームし続けることができるのでしょうか?
今回はそれについて考えていきたいと思います。
メガテック企業が強い理由
メガテック企業が強い理由として、ワイドモートを有していること、機関投資家の保有が多いことが挙げられます。
ワイドモート
ワイドモートとは経済的な堀、つまり参入障壁を意味します。
The Little Book That Builds Wealth: The Knockout Formula for Finding Great Investmentsという本に書いてあります。
投資家がワイドモートの企業を選好する理由は、それがあることで価格競争に巻き込まれにくく、利益率の高いビジネスを継続することができるからです。
ワイドモートを構成する要素としては以下の5つが挙げられます。
無形資産
Capitalism without Capitalによれば、無形資産の特徴は、サンクコスト(埋没費用)、スピルオーバー(波及効果)、スケーラブル(拡張性)、シナジーの4つで言い表されます。
研究開発や製品デザインへの投資で生み出したアイデア、ブランド価値、サプライチェーンや社内構造、研修で構築した人的資本などがその例です。
乗り換えコスト(スイッチングコスト)
スイッチング・コストとは、ある商品から他の商品、あるいはあるブランドから他のブランドに切り替えることに伴って発生する費用のことです。金銭的な費用に限らず、切り替えに伴って必要となる習熟や慣れに要する時間(の機会費用)や心理的費用なども含まれます。
例えば、普段仕事でAzureやOfficeを使用していた場合、別のシステムに乗り換えることは容易ではないでしょう。
ネットワーク効果(ネットワーク外部性)
製品やサービスの価値が利用者が増加すればするほど、加速度的に大きくなっていく効果のことです。
ロックイン効果
スイッチングコストから、消費者があるメーカーの商品を購入した場合に、商品を買い換える場合にも引き続いて同じメーカーの商品を購入するようになり顧客との関係が維持される効果。
バンドワゴン効果
ある選択肢を多数が選択している現象が、その選択肢を選択する者を更に増大させる効果。SNSを代表例として、みんなが使っているから使うというもの。
例:メトカーフの法則
ネットワーク通信の価値は、接続されているシステムのユーザ数の二乗に比例する。
コスト優位性+規模の優位性
一般に企業規模が大きいほど、規模の経済性によって製造・流通コストや原材料の購入費用を抑えることができます。
コストのうち、変動費は売上に比例し、固定費は売上に関係なく計上されます。
特にIT企業の場合はプラットフォーム費用や研究開発費といった固定費が莫大で、1人1人のユーザーに対してかかる変動費はほとんどないコスト構造になっているため、規模の経済性がコスト優位性に直結しやすいといえます。
こうした要因によって商品やサービスを低価格で提供できることが価格競争力につながります。

変動費と固定費の経費削減方法から抜粋
まとめ
こうしてみるとワイドモートを構成する要素は相互に繋がっており、簡単に崩れるものではないことが分かります。
またドットコムバブルの時と違って、現在の低い金利水準を鑑みれば、メガテック企業の株価は概ね企業収益に沿った適切なバリュエーションとなっています。
ハイテクは暴落しますとか言っていた人もいますが、メガテック企業がワイドモートを有していることを考えれば、今回のコロナショックにおいても、そうでない企業と比較して下落幅が小さかったのはごく自然なことと考えられるのです。
機関投資家のポジション
株価が上下する理由
そもそも株価は何故上がったり下がったりするのでしょうか?
優良株や割安株であればいつか上がると考えている人もいますが、そうした要素は株の需給の間接的な原因にすぎません。
その株を誰かが買わない限り、どんなに優良株や割安株だろうが株価が上昇することは絶対にありません。
今日では市場における個人投資家の影響力というのはごく限られたものであり、相場を動かしているのは大量の投資資金を有した機関投資家であることに注意する必要があります。
例えば米国株ブログ村の億越え投資家は個人投資家の中では影響力は大きいものの、彼らがどの株を買おうとその株が上がるかどうかにはほとんど何の影響もありません。
むしろ私たちは機関投資家の動向に細心の注意を払う必要があるといえるでしょう。
機関投資家には大きく分けて年金機構などのパッシブ運用をするタイプと、ファンドマネージャーがアクティブ運用をするタイプに分かれます。
パッシブ運用
パッシブ運用とは、運用目標とされるベンチマーク(S&P500など)に連動する運用成果を目指す運用手法のことです。
パッシブ運用をする機関投資家は、年々増加傾向にあります。彼らは時価総額の多い株を優先的に保有しているとも考えられるため、パッシブ運用の増加は既に時価総額が大きいメガテック企業の株価上昇が継続することに有利に働くと考えられます。
アクティブ運用
アクティブ運用は、投資のインデックスを上回ることを目標に、様々な投資を行ってポートフォリオを管理する投資戦略を指します。
ヘッジファンドが代表的で、市場を上回ると考える個別株を保有し、市場平均を空売りすることで市場の超過リターンを得ることを目的とするマーケット・ニュートラル戦略や、世界経済の動きを予測して様々なアセットの売買を行うグローバル・マクロ戦略などが代表的な投資戦略として挙げられます。
実際にヘッジファンドがコロナショックで株価が下落した時にどのような株を買ったのかというと、下図のようにMicrosoftやAmazonのようなメガテックを買っていることが分かります。一方でSPYを売却しているため、MicrosoftやAmazonが市場をアウトパフォームしたのは当然と言えるでしょう。

Delivery, Streaming Were Hedge Funds’ Biggest Bets at Pandemic Startより引用
ヘッジファンドがメガテック企業を選好する限りは、優位性は継続するといえるでしょう。
アメリカの優位性が継続するか
メガテック企業のパフォーマンスにも影響しますが、アメリカ市場自体の優位性がいつまで継続するかという問題もあります。
私は今後しばらくはアメリカの株式市場が優位性を保ち続けると考えています。
理由は、アメリカが現在の覇権国家であるからです。
それを支える要素は以下の観点が挙げられます。
★世界一の軍事大国であるため、自国の企業に不利な外交取引をする必要がない。
★米ドルが基軸通貨であるため、国家債務が問題になる可能性が低い。
★高等教育の水準が世界一(世界大学ランキングではアメリカの大学が上位を独占)であるため、優秀な人材が世界中から集まる。それが株式市場の成長を牽引するイノベーションを起こす。
・先進国の中で数少ない人口増加国である。
・株式市場の透明性が高く、企業利益を株主に還元する文化が根付いている。
・先進国で数少ない資本主義国家であり、企業の競争原理が働いている(EUや日本は事実上の社会主義)。
・労働市場の流動性が高い
・多数派を占める宗教であるプロテスタンティズムと資本主義の親和性がある。
逆に言えば、アメリカの株式市場の継続的な成長を支えてきたこれらの要素が崩れ始めたら、投資対象や投資手法を見直す必要があるということです。
リーマンショック・コロナショックによる国家債務の膨張や、格差の拡大とそれに伴うポピュリズムの台頭はアメリカの優位性を後退させます。
EUの国々やその通貨の歴史を考えれば、未来永劫に渡ってアメリカの覇権国家・ドルの基軸通貨が継続することはないでしょう。
まとめ
過去の株式市場を振り返れば、日本企業が世界の時価総額上位を占めた時期もありましたしBRICsへの投資がもてはやされた時期もありました。
GEやIBMの栄枯盛衰も考えれば、現在のメガテック企業であるGAFAM(+V/MA)のパフォーマンスが未来永劫続くことはないでしょう。
しかし、これらの企業がワイドモートを有しており、少なくとも現在のところは優秀な経営者によって運営されていること、ヘッジファンドが選好していること、アメリカ市場の優位性が今後しばらくは続くと見込まれることから、メガテック企業の優位性はそう簡単には崩れず、長期投資の対象として適切であると考えます。
逆にメガテック企業が衰退するリスクシナリオとしては、上記の要素が崩れることの他に、影響力が大きくなりすぎた結果として独占禁止法によって事業分割されて競争力を失うことが考えられますね。
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