
質問
2024年09月16日 回答
自民党総裁選、選択的夫婦別姓と解雇規制(雇用流動化)が2大争点になりそうですね。正直この2つのテーマどう思いますか?
回答
「選択的夫婦別姓」って、現実問題として、もう進行しているんじゃないでしょうか。うちの娘も結婚はしましたが、仕事場では旧姓のまま、通しています。女性の社会進出が進んだ現状、「結婚したら夫の姓に変える」という慣習にはデメリットの方が多い。あるとしたら、女性が「私は結婚できました」っていう意味で、「◯◯(旧姓◯◯」って書くぐらいではないのかな🤣。
「選択的」すら拒否するじーさんばーさんたちって、伝統的な「イエ制度」にしがみつこうとしているだけのようにしか見えませんね。今回はどうなるのかは別として、方向は「選択的夫婦別姓」に向かっていくんじゃないでしょうか。「イエ」に妄執を持つじーさんばーさんもだんだん死んでいきますから。
一方の「解雇規制緩和(雇用流動化)」はかなりの難問ですね。「解雇規制緩和」の賛成論者のお話を読んでいると、企業における採用の現実をご存知ないなぁと思われるものが多いです。
「お試し採用が増える」っていう主張がありますが、企業の本音は「良い人を出来るだけ安く雇いたい」です。ですからお試し採用が例え増えたとしても、その給与は相当抑えると思います。ではこの人を採用し続けることを決めた場合、給与を上げるでしょうか。ふつうは上げませんよ。上げるのは「上げないと他社に逃げられそうな有能な方だけ」です。ですから低給与で雇われる方がやたら増えるでしょう。
「解雇規制が緩和されると再雇用市場が活発になる」という主張もお見かけします。しかし日本にはその再雇用市場が極めて小さいこと、再雇用に関する企業のメンタリティが低いことが問題なんですよ。「解雇規制緩和」は本来「再雇用市場の醸成」がセットで論じられるべきテーマなんですが、現状の議論では解雇規制の緩和論だけが先行して、緩和すれば再雇用市場が勝手にできると安易におっしゃっている論者があまりに目立ちます。はっきり言えばバカです。
再雇用問題はその国の文化に大きく根差します。米国のようなチャレンジ型の社会では、A社を解雇された方を、その職務経歴書などを見て「我が社なら役に立つかもしれないから雇ってみようか」という意識が働きます。たくさんの人が辞めて、たくさんの人が再就職する社会ですから、企業が業績などの事由によって解雇をするのは「よくあること」ですから、解雇されたという経歴は少しも傷になりません。
しかし日本ではどうか。日本における経営者や人事担当者は、A社を解雇された人間が求人に応じて来た場合、通常は「なるほどA社はこの人が要らなかったのか。それには然るべき理由があるんだろう」と考えるのが一般的です。ですから通常は不採用にするか、お試しで雇う場合は、A社時代よりは相当給料を抑えて雇って見ます。
日本で再就職を経験された方ならお分かりでしょうが、日本において前職より大きな企業に採用されたり、良いポジション・良い給料で転職できるキャリアアップ型の転職はそうは多くありません。第二新卒を含めて前職の仕事をなんらかの事情で辞めた方を、比較的お安く雇うキャリアダウン型の転職の方が多いです。
A社が業界大手であった場合、同レベルのB社、C社がヘッドハントするのは「優秀な方だけ」で、一般的にはA社より格下の準大手やさらには中小、あるいは創業間もないベンチャー企業が転職の受け皿になります。その意味で人手不足に悩む中小やベンチャーが、大企業が抱えている余剰人員をリリースしてくれることは有り難い話だと思います。しかしそうやって応じて来た人を高い給与で雇う必然性はありません。日本ではA社をクビになったという経歴が傷として残るので、「雇ってやる」という意識が経営者サイドに働くからです。ですから低給与で雇われる方がやっぱり増えます。
「解雇規制が緩和されると再雇用市場が活発になる」は本当でしょうか。ちょっと考えて見ましょう。日本には氷河期世代と呼ばれる世代がいます。優秀だったかどうかに関係なく、昭和バブルの崩壊の影響で企業の新卒採用自体がなかったため、就職で相当苦労された世代です。結局就職できず非正規雇用で働き続けている方も少なくありません。余っている人がいっぱいいるわけです。
ではこの方たちをアベノミクス以降の日本の経済情勢の好転で、雇用してみようとか、リスキリングをしてキャリアアップさせてあげようとか、そういった動きがそれほど活発になっているでしょうか。そんなの役所が主導したごく一部の話です。
大部分は今もハローワークに行って、最低賃金レベルの求人票を見ながら、あれこれ応募してはたくさん不採用になっている方や、もう正規雇用を諦めた方のほうが多いんじゃないですか。「雇われなかった人が日本社会でどうなるのか」という意味において、氷河期世代の現実は良いモデルケースだと思います。
「いったんレールを外れると、そのレールには容易に戻れない社会風土」、これにメスを入れないで、雇用規制緩和を訴える論者の言っていることは、すべて絵空事で無責任論者です。しかしこの社会風土にメスを入れることは非常に難題です。
「解雇規制緩和」の結果で起きる事象を僕なりに予測してみます。
①大企業が抱えている中高年の余剰人員の整理解雇が大量に発生する。あるいはそれを脅しとしての待遇改悪が発生する
②この中高年層の整理解雇によってできた余剰資金を、若い人を雇用する資金に振り向ける。その意味で若い人の雇用が増えるというプラス要因にはなり得ますが、一部の方がおっしゃっている「若い人の奪い合い」は発生しないと思います。もともと大企業ではIT化などの進行で、かつてほどには人員を必要としなくなっているからです。これはバックオフィス部門などで特に著しいですから、企業はこれらの部門の要らない中高年社員をこれ幸いと辞めさせるでしょうが、代わりに若い人を雇うのではなく、IT化やAI化の設備投資資金に振り向けると思います。
若い人を雇うのは営業部門など、人手をかけてお金を稼ぐ部門でしょうが、これは営業成績による歩合制などにした方が効率的です。ですから優秀な人を除く若い人の雇用条件はさして上がらないでしょう。いずれにせよ、今の日本の大企業には営業職や情報システム職、技術職などの職種を除けば、それほど旺盛な雇用吸収力はないでしょう。
③大企業を整理解雇された中高年層も働いて収入を得ないわけにはいきません。しかしバックオフィス部門など、今さら大企業の同業他社には不要です。となると彼らが向かう先はシステム化が遅れている中小企業です。でも中小企業には雇いたいという気持ちはあっても、雇用原資がそれほどありません。解雇規制が緩和されたからと言って、それが急に増えるわけでもないです。
ですから再就職を希望する中高年層は自分を安く売る必要があります。これにはライバルも居ます。僕らと同世代の大企業を定年退職した再雇用層です。僕の大学・高校時代の友人も多くは定年退職後、再雇用されて働いていますが、ほぼ共通するのは「給料は別に高くなくても良い。生活の足しになれば」というスタンスです。天下ってさまざまな仕事を兼職しているようなの以外、前職の7割とか5割という給与で働いています。
解雇規制が緩和されれば、中小企業の事務系の再雇用市場は、現役時代で成功した実績がある老年層と、企業を整理解雇された中高年層、それになんとか定職にありつきたいと考えている氷河期世代の3つ巴になるんじゃないですか。当然雇用条件のダンピングが起こるので、中小企業経営者には嬉しい話ですが、被雇用者にとってはありがたい話ではないです。低賃金で働かされる人がやたら増えるんじゃないですか。
④ベンチャー企業への人の集まり具合は良くなるでしょう。ただベンチャー企業というのは、従来も若手、経験者と満遍なく旺盛な採用需要がありました。ただベンチャー企業ってお給料は安いんですよ。集めた資金を事業を成功するまでどうやってキャッシュバーンを抑えて資金的につないでいくのかが経営者の腕の見せどころですからね。あえて高額給与で招くのは、その人がいないと事業が成功しないキーパーソンだけです。あとはストックオプションを配って成功の暁の報酬とするのが一般的です。
ベンチャー企業ではこれまで経理や財務、人事といったバックオフィスの責任者を委ねられる経験者の採用で苦労してきました。雇用規制が緩和されるとこれがずいぶん楽になりそうなので、日本のベンチャー企業にとっては望ましいことです。でもだからといって高給で雇うわけではありません。
まだまだ書くべきことはあるんですが、面倒くさくなってきたのでここまでにします。ただここまで言ってきたことだけでも、雇用規制緩和論者が言っているような、「若い人への求人が殺到して、企業が争奪戦をやる結果、彼らの給与が上がる」なんて主張が絵空事であることがわかると思います。この主張をする人は「良い人を出来るだけ安く雇いたい」という経営者の心情も、「一度レールから外れた人の評価は著しく低下する」という日本社会の構造もわかっていません。
解雇規制が緩和されると、ハローワークがさらに大混雑して、求人票を眺めてはため息をつく人がやたら増えるだけ、転職サイトで良い職が見つけられるのは、特定のスキルや経験を持っている一部の人だけでしょう。組織をマネジメントできるレベルの幹部社員は引くて数多でしょうが、これは従来からもそうでした。
大企業はこれまで自社で抱えてきた余剰人員をなんとかリスキリングして活用しようとしてきましたが、解雇規制が緩和されればその努力をやめて解雇するだけです。当たり前ですが、だからといって新しい人をリスキリングしてまで雇いません。雇うのは自分たちに必要なスキルをすでに持っている人だけです。大企業はこれまでだって若い人の採用で困って来ませんでしたから、雇用規制が緩和されたからといって、若い人の求人を特に増やしたりはしません。大企業の雇用では20年30年といったレベルでの雇用をどうするのかという計画があり、スキルがない若い人をたくさん雇えば、教育コストもかかるし、教育担当者のアサインも必要になりますから、取れるからといって野放図には増やしません、だから採用でよりどりみどりになるだけです。
人が集まらなくて困っていた中小企業経営者は助かって、人手不足倒産は減るかもしれません。でも被雇用者サイドからみれば、非常な低賃金で雇われる人が増えるだけです。僕の友人にはちょっとした企業を経営する友人がけっこういます。彼らが口を揃えて言うのは、「氷河期世代は安く雇える」です。月給で20万円に満たない水準で求人を出しても、氷河期世代の40代、あるいは35歳以降でも、10人20人と応募して来て買い手市場なんだそうです。
僕は解雇規制緩和を再雇用市場が大きくなるシステムや土壌を作らないままで日本に導入すれば、これが若い人から中高年層まで、日本の労働者全体に広がるだけだと思います。
はっきり言えば、僕は雇用者サイド、経営者サイドの人間ですから、これはそこまで悪い話ではありません。ただ景気は冷え込みそうなのが嫌なぐらいです。でも雇われる人たちにとっては地獄なんじゃないですか。
旺盛な再雇用市場がある米国でうまく行っているからといって、それをその土壌がまったくない日本に移植しようとしたって、うまくはいきませんよ。言っている人は頭が悪過ぎます。
ちなみに自民党総裁選で解雇規制緩和論を訴えている小泉進次郎さんには、お父さんの事務所でお父さんの秘書として働かれた以外の就労経験をお持ちではありません。ぬるま湯にずっと浸かって来た方です。たぶん就活や転職活動がどんなに大変か、まったくわかっていないんじゃないでしょうか。
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