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【基礎知識編】

GDPについて初心者にもわかりやすく解説!日本にとっての輸出の重要性とは?

東大ぱふぇっとです。

投資家の皆さんなら”GDP”という単語をよく目にするはず。

国の経済力を示すアレですよね。

一方で、GDPが具体的にどう計算されているか、内訳はどうなってるのかまで知ってる人はほとんどいないと思います。

知ってるようで知らないGDP。。。

今回はそんなGDPについて徹底解説します。

GDPとは?

GDPは”Gross Domestic Production”の略ですね。日本語でいうと”国内総生産”です。

GDPは一言でいうと「日本国内で生み出された付加価値の総和」です。

ここでいう付加価値とはなんでしょう?

これは具体的には、商品の販売価格から原材料費を除いたものです。

商売では、原材料になにかしらの価値を加えて、原材料費より高く売るわけです。

パン屋さんは、原材料である小麦粉を買って、それをこねて、発酵させて、焼いて、初めてパンという商品ができます。

ここでいう、「こねて、発酵させて、焼いて」という部分が、パン屋さんによる付加価値ですね。

それでは国内の付加価値の総和はどのように計算すればいいのでしょうか?

ものすごく簡単にいうと、消費者が購入した最終商品の販売価格の合計が付加価値の総和となります。

これを理解するためには、自動車の生産工程を考えてみるとわかりやすいです。

自動車をつくる場合、まず最初に鉱山で鉄鉱石が採掘されます。(上図の一番左)

鉄鉱石は地球に元々ある資源なので原材料費はタダですね。

よって、鉄鉱石の販売価格の構成要素は、採掘労働者への「賃金」と鉄鉱石採掘企業の「利潤」のみです。

次に、ここで得られた鉄鉱石を原材料として、そこに更に労働者が付加価値を加え、鋼鉄を作ります。

鋼板の販売価格は、鉄鉱石の「原材料費」に労働者への「賃金」と企業の「利潤」が加わったものです。

その後、プレス、塗装などの工程を経て最終的に自動車が完成します。

この図を見ると、原材料を大元までたどると「賃金+利潤」のみで構成されていることがわかります。

下図の通り、自動車の販売価格と、生産過程で生み出された付加価値の合計(「賃金+利潤」の総和)は一致するのです。

よって、最終商品の販売価格を全て足し合わせれば、生産過程も含めたすべての付加価値の総和、つまりGDPになるのです。

1つ注意が必要なのは、GDPは”日本国内”で生み出された付加価値の総和であるという点です。

自動車の例で、鉄鉱石が全て海外輸入の場合、鉄鉱石を得るまでの付加価値は海外で生み出されたものです。

よってGDPに換算できる付加価値は「自動車の販売価格」ではなく、「”自動車の販売価格” – ”鉄鉱石の輸入額”」とする必要があります。

三面等価

次に、GDPの”三面等価”という性質について説明します。

上述のように、自動車の販売で生み出された付加価値の合計は、大元までたどれば「賃金+利潤」のみであらわせます。

賃金は労働者へ、利潤は企業の債権者や株主に分配されます。

また、生産された自動車は必ず誰かに購入されるので、自動車の販売価格である「生産金額」と、購入した消費者による「支出金額」は一致しますね。

実際には自動車が売れ残ってしまうケースもありますが、GDPの計算上、在庫は生産者が購入したものとされます。

これらをまとめると、自動車の「生産金額」(販売価格)と、それを購入した消費者の「支出金額」と、労働者と債権者・株主への「分配金額」は全て同じ金額になります。

これは、個々の生産物の総和であるGDPにおいても同じことが言えます。

つまりGDPには「生産金額」、「支出金額」、「分配金額」が一致するという特性があるのです。

これを「三面等価」の原則と言います。(下図)

GDP_三面等価の例出典:内閣府

 

GDPは3つの側面から見ることができることを理解した上で実際のGDPについてみていきましょう。

GDPの内訳

日本のGDPは内閣府のHPで見ることができます。

2020年のGDPを”支出”、”分配”、”生産”の三つの側面から見てみると以下のような感じです。

支出面

  1. 民間需要:391兆円
  2. 公的需要:145兆円
  3. 輸出:84兆円
  4. 輸入:-85兆円

合計:535.5兆円

民間需要には、家計の最終消費支出に加え、民間企業の設備投資なども含まれます。

公的需要は、政府部門の需要です。

政府は多くの場合、無償で行政サービスを提供していますが、GDPを計算するにあたってはあたかも有償で行政サービスが提供され、それを政府自身が消費しているものと考えられます。

公的需要というのは、この前提に基づいた政府の消費支出や、公共工事などの投資額を表しています。

輸出は、日本で生み出された付加価値が海外で消費されているので、GDPとして加えられます。

逆に輸入は、海外で生み出された付加価値が日本で消費されているので、GDPからはその分だけ控除されます。

ちなみに日本のGDP535兆円に対して、輸出は84兆円でしかないんですね。輸出はたった15%程度でしかない。※これを貿易依存率と言います。

ダナハーちゃん
ダナハーちゃん
日本は輸出の国!って思ってる人には意外かも🐰

日本の貿易依存率は国際的に見ても小さく、日本は割と内需で成り立っています。

分配面

  1. 雇用者報酬:284兆円
  2. 財産所得:26兆円
  3. 企業所得:66兆円
  4. 固定資本減耗、税:160兆円

合計:535.5兆円

雇用者報酬は、労働者に対する「賃金」ですね。

財産所得は、利子収入や配当収入のことを指します。

企業所得は、営業活動で得た企業の利益から財産収入を除いたものですね。

固定資本減耗とは、減価償却の概念に近く、企業が保有している設備などが毎年減耗していくコストを表しています。

このように固定資本減耗は、原材料費と同様コストなので本来であれば付加価値から除いて考えるべきです。

但し、固定資本減耗額を正確に推計することはかなり難しいので、固定資本減耗を控除しない付加価値の合計という意味で、国内「総」生産といわれているのです。

生産面

  1. 市場生産者:473兆円
  2. 一般政府:49兆円
  3. 非家計民間非営利団体:14兆円

合計:535.5兆円

市場生産者はいわゆる民間企業ですね。

一般政府は、中央政府、地方政府、社会保障基金などによって提供される様々な行政サービスを指します。

支出面で説明した通り、通常これらは無償で提供されるケースが多いですが、あたかも有償で提供され政府自身がそれを消費したとみなして生産面に表れるんです。

非家計民間非営利団体は、利益追求をしない民間非営利団体です。政党、宗教団体、私立学校などが含まれます。

 

ちなみに、株や土地の売買で発生するキャピタルゲイン・ロスにはGDPには出てきません。

なぜならこれは、株や土地の所有者が移転しているだけで新たな付加価値が生み出されているわけではないからです。

GDPの国際比較

次に、GDPの国際比較を見ていきましょう。

ここでは米ドル建ての名目GDPの比較をみます。

ちなみにGDPには名目GDPと実質GDPがあります。

名目GDPは単純に金額の積み上げで、実質GDPは名目GDPから物価変動要因を除いたものです。

つまり名目GDPが前年対比2%増加していても、物価も2%増加していたら、実質GDPの成長率は0%ということになります。

それでは国際比較を見てみましょう。

名目GDPの国際比較出典:内閣府

 

日本の名目GDPは世界3位です。

但し、2位の中国の約3分の1、1位の米国の約4分の1と、上位とはかなり水をあけられていますね。

今の日本の状況を考えれば、この差が拡大することはあっても、縮まることはないでしょうね。

そして注意が必要なのは名目GDPというのは、国内で生み出された付加価値の総和なので、当然人口が多い国が有利です。

日本の人口は世界11位ですが、上位は新興国が多いので、先進国としてはかなり人口が多い方です。

よって”一人当たりGDP”を見るほうが国民の豊かさは測りやすいです。

そして一人当たりGDPの国際は比較は以下。

一人当たり名目GDPの国際比較出典:内閣府

 

この表は、上位から順に書いたものではなく、主要国を抜粋したものです。

日本の一人当たりGDPは先進国で構成されるOECD加盟国の中では19位です。

いっきにランクが下がりますね。

それだけ、日本の経済力というのは衰えているのです。

東大ぱふぇっと
東大ぱふぇっと
よく「GDPは世界3位だから日本はまだまだ大国だ!」という人がいるんだけど、本質的には1人当たりGDPで見る必要があるよね。1人当たりGDPで見れば、日本の衰退っぷりはえげつない()

まとめ

  • GDPとは「日本国内で生み出された付加価値の総和」。
  • 付加価値とは、商品の販売価格と原材料費の差額であらわされる。
  • 付加価値の総和は、最終商品の販売価格を足し上げれば計算できる。
  • GDPは三面等価(生産、分配、支出が同じ額になる)という性質がある。
  • 日本の名目GDPは世界3位だが、一人当たりGDPはOECD加盟国中19位で沈没中。。。

失われた30年、と言われるように日本の一人当たりGDPは停滞しており、世界的に見たら沈みゆく船になりつつあります。

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