東大グレアムです。
以下の記事に対して、読者の方から質問を受けました。
初めまして。いつもブログやツイートを拝読し参考にさせたいただいております。
私も株価の変動理由について理解できていなかったので、大変勉強になりました。
初歩的な疑問ですが、
①株は上場や発行した時にのみ会社に出資額が入ってくるのでしょうか?
発行後は投資家同士で売買され、株価が変動しても株式会社には出資額の点では恩恵がないように思えます。②会社は長期的に見て成長するとはいえ、配当を出し続けると損をするのではないか?
上記とも関係するかもしれませんが、例えば年10%の配当を出し続けると、11年目以降は出資を受けた額以上に株主に還元してしまい損失になるような気がします。対価も払わず恐縮ですが、御回答いただけたら幸甚です。
これに対してコメント欄で以下のように返信しました。
①株は上場や発行した時にのみ会社に出資額が入ってくるのでしょうか?
⇒その通りです。”過去の”資金調達には影響はしませんね。
しかし、株式は自己資本であり且つ、会社の信用・価値を表す指標なので、株価が下落すると将来増資をするときにも困りますし、人材獲得が困難になったり企業買収の的にされかねなくなったりと別の面でも経営に支障が生じますね。②会社は長期的に見て成長するとはいえ、配当を出し続けると損をするのではないか?
⇒記事化を検討します。単純に企業の資金調達の面から考えれば、配当なんて出したくはないですからね。
バブル崩壊後30年という長期に渡り、実質ベースで株価の上昇が無かった日本においては配当金は過度に重視されており、注目度も高いため記事化することにしました。
投資家側のメリット・デメリット
企業が配当金を出すことについて、投資家側・企業側に分けてメリット・デメリットをまとめました。
メリット
・株価の変動と比較すれば配当金の変動は少ないため、収支計画を立てやすい。
・株価が中長期にわたって上昇しない場合でも、インカムゲインを得られる。
デメリット
・配当再投資は自社株買いと比較した場合、2重課税となり税制面で不利。課税は複利効果を薄める要因となる。
・財務状況が悪化すれば減配・無配当落ちするリスクがある。
企業側のメリット・デメリット
メリット
・将来の事業の成長性に魅力がなくとも、配当金を出せばそれ目当てで株式を購入する投資家が存在するため、目下の資金調達や株価維持のハードルが下がる。
・10年以上連続増配した実績があれば、景気循環に対しても業績が左右されにくい安定した実力がある魅力的な投資先とみなされ、株価が上がりやすくなる。
・現金を投資家の手元に直接届けることができるため、株主を優先する姿勢をアピールできる。
デメリット
・現金が流出するためキャッシュフローが悪化する。
・成長企業の場合は内部留保をして必要に応じて事業に再投資したほうが投資家の期待に応えることができるため、配当金を出すことで社内に有望な投資先がないことへの懸念を持たれ、事業の成長性を低く評価される惧れがある。
事実、MicrosoftとAppleが配当金を出し始めたとき、成長速度が衰えるのではないかとの懸念が投資家の間で広がった。
・配当金を出しても、自社株買いのようにEPSの上昇から即座に株価を押し上げる効果は薄い。
株価指数をベンチマークとするインデックス投資や先物取引の普及により、時価総額を押し上げること自体が株価のさらなる上昇に繋がる。
特に年金機構などの機関投資家は、個別企業の業績を見て購入を判断しているのではなく、株価指数を丸買いする傾向にある。この点で株価を上げる効率が悪い。
・EPSの継続的な上昇が株式の購入判断において重要性を増してきているため、配当を出すことは効率が悪い。
・配当金は既存株主への還元、自社株買いは将来の潜在的な株主も含めた還元となる。特にストックオプションを保有する経営陣にとっては自社株買いの方が都合がよい。
例えば、ある人が1か月後に現在1,000ドルの株式を1,000株受け取るストックオプション報酬を付与される権利を有しており、1か月後も株価は変わらないものとします。
今の段階で企業利益を配当金として、例えば10ドル株主に還元してしまえば、現在株を保有する株主にとっては10ドル分の利益がありますが、1か月後にストックオプション報酬を受け取る人にはうまみはありませんね。1,000×1,000=1,000,000ドル分のままです。
それに対して自社株買いであれば、1株当たりのEPS向上により株価が上昇しますので、1か月後に受け取る株式は、1株1,000ドルではなく1,010ドルになる(ここの増加分の計算は適当です)ため、受け取るストックオプション報酬は1,010×1,000=1,010,000ドルに増加しますね。
まとめ
企業が配当金を出すのは、資金調達や株価維持が目的です。
配当金を出すこと自体は、資金調達の観点からみれば、企業にとってマイナスです。
配当金を出さずとも十分な資金が集まり、社内に有望な投資先があってそこに投資することが株主に還元するよりも将来的には株主のためになることを納得してもらえれば、配当金を出す必要はあまりないと考えられます。
しかし、将来性に乏しい企業は新株発行増資をする際に配当金を出さなければ必要額を調達できない可能性が高いですし、そうでない場合でも配当金を出さなければ既存の投資家から見放されてしまう可能性が高く、株価の維持のために支払うといった面が大きいですね。
ご質問の通り、長年に渡り配当金を出し続ければ、当初の出資額を名目ベースで上回ることもあります。ただし、このキャッシュフローを正しく評価するためには、例えばNPV(正味現在価値)を用いて時間的価値を反映する必要がありますね。
PG/JNJ/KOなどの非常に長い期間に渡って連続増配している企業は、実質ベースでも当初の資金調達額よりはるかに多い金額を株主に還元しています。
こういった企業は、安定して利益を稼いでおり、それを全て使い切るだけの有望な投資先が社内にないので、株主に還元しているといえるでしょう。
ちなみに高配当株を選ぶ場合は単に配当金の高さに注目するのではなく、企業が安定して収益を増加させているか、財務状況は健全か、配当は連続して増加しているか、株価が継続して上昇しているかにも着目するとよいでしょう。
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