米国株村では連日のように高配当株vsグロース株論争が行われています。
東大バフェットからすると「文系vs理系の会話」と同じように、
双方が重要視しているポイントがすれ違っているのが論争の原因ではないかと考えております。
結論を言うと「どのポイントを重要視するか」は人によって異なるため、どちらが良いかは人それぞれ異なります。
「高配当株投資→インカムゲインの最大化を目指して配当金に注目する手法」
「グロース株投資→キャピタルゲインの最大化を目指して総資産に注目する手法」
と以下では定義します。
もくじ
高配当株投資のメリットは?
高配当株投資(インカムゲインの最大化)のメリットとしては以下のようなものが考えられます。
- 配当金にのみ着目することで、株価の短期的な上下に一喜一憂しなくなる
- 毎月の副収入が可視化され、収入増加が目に見えて分かりやすい
- (減配が無ければ)再投資を続けることで、配当金が年々右肩上がりになる
と言ったところでしょうか。素晴らしいですね。まとめると、
・株価の短期的な上下に一喜一憂しなくて済む → 狼狽売りを避けられる
・収入増加が目に見えて分かる → 継続するモチベーションを維持できる
・配当金が年々右肩上がりになる → 成功し続けている実感を継続的に得られる
と言ったように、主に精神面でのメリットが挙げられます。
後述しますが、株式投資においては継続性が重要なため、精神面でのメリットは大きいです。
では、総資産の最大化を目指した投資のメリットとは何でしょうか?
総資産額に着目するメリットは?
グロース株投資(キャピタルゲインの最大化)のメリットとしては以下が挙げられます。
- 総資産額に着目することで、総資産の最大化が出来る(当たり前)
- 配当金に掛かるはずだった税金を先送りに出来る(税金分も複利運用できる)
総資産の最大化、つまりお金持ちになることが出来ます。(当たり前ですが、とても重要)
総資産額に注目した場合は、例えばVOOなどの市場平均を買うだけで年率平均7%程度のキャピタルゲインを得られます。一方、配当金の伸びは緩やかでしょう。(そもそも着目している数値は配当金ではなく総資産ですし)
配当金にのみ着目して高配当の個別株を探し出して投資続ける場合、年間でもらえる配当金は毎年増加しているが、総資産自体の伸びは緩やかな可能性があります。(そもそも着目している数値は総資産ではなく配当金ですし)
- VOOを超える高配当株だってあるかもしれないじゃないか!
→そうかもしれません。とある高配当株が20年後の総リターンにおいてVOOを超える可能性もあります。それは神のみぞ知るところでしょう。
ただ、仮にVOOの年率平均リターンと、とある高配当株の配当金利回りが同じだった場合、VOOの方が圧倒的に有利な投資となります。以下ではその点について解説します。
配当金を受け取ると実は損してる
配当金はもらえると気持ち的には嬉しいですが、数学的に考えると実は配当金をもらうたびに損をしています。
米国株に投資をされている方々であれば、配当金には30%(確定申告で取り戻した場合は20%)の税金が掛かることはご存知かと思います。
キャピタルゲインであれば税金の支払いを先送りにして税金分も複利運用できるのに、
インカムゲインの場合は税金を支払って残った額を再投資するため、複利効果が減少します。
どういうことか、具体的に以下の例で見てみましょう。
○以下の2タイプの企業に1000円ずつ投資する。
- 自社株買いなどで毎年10%株価が上がる無配当企業に投資して放置する
- 株価に一切変動が無く毎年10%(税引き後8%)の配当金が得られる企業に配当金を毎年再投資し続ける
年数 | 自社株買い | 配当金再投資 |
0年目 | 1000 | 1000 |
1年目 | 1100 | 1080 |
2年目 | 1210 | 1166 |
3年目 | 1331 | 1260 |
4年目 | 1464 | 1360 |
※単純化のために売買手数料・配当金再投資までのタイムラグ・確定申告で取り戻すまでのタイムラグなどは未考慮。
驚くべきことに、1000円を投資してたった4年運用しただけで、トータルリターンに100円もの差が生まれてしまいました。投資元本の1割ですので、今あなたが1000万円を持っているなら100万円もの差が生まれます。
要するに、配当金を一度受け取って税金を支払ってから再投資した場合、年率リターンが2割減少してしまうということです。
年率リターンを仮に10%とすると、無配当自社株買いの場合は年率10%ずつ資産が増えますが、配当金10%の場合は税金で2割持っていかれて8%ずつしか増えないんですよね。
売買手数料やタイムラグを考慮すると、さらにリターンは下がります。
※なお、最終的には自社株買い企業の含み益に対し、売却税が乗ります。
まとめると、
- 総資産が最大化される
- 税金の支払いを先送りにすることで、リターンが向上する
と言ったように、主に数学的に考えた際のメリットが大きいです。
一方で、「株価の短期的な上下で一喜一憂しがち」といったようなデメリットも存在します。
ちなみにですが、シーゲル流において高配当株を一部組み込むことが推奨されているのは、
多額の配当金を受け取りたいからではなく、
多額の配当金を出す企業は優良企業が多く市場平均をアウトパフォームしやすいからである
という点に留意して頂ければと思います。
結局どっちが良いの?
結局の所、どちらが良いのかは人によって異なります。
- 精神の安寧を図りたい場合はインカムゲイン投資
- 数学を信じ、総資産の最大化を目指すならキャピタルゲイン投資
というのが結論になります。
東大バフェットの場合は、数学的なリターンの良さを信じて総資産の最大化を目指しているため、VOO・VGTなどに投資をしております。
一方、精神面の安寧を図るために簡単なリスク管理! ~トービンの分離定理~及び安定運用と積極的運用の両立 ~コア・サテライト戦略~という2つの手法を導入しております。
参考:良い投資の条件とは?
- 米国株を中心とした国際分散投資
- 10年以上の長期運用
東大バフェットが考える良い投資の条件はこの2点のみですので、
究極的に言ってしまえばどちらの戦略でも上記を満たしていれば問題ないでしょう。
- インカムゲインの最大化で配当金を再投資
- キャピタルゲインを重視し総資産の最大化
どちらの戦略を取ろうともある程度のリターンはほぼ約束されていると考えております。
そのため、このブログをご覧になっている方々は、「デイトレードで儲けよう」「競馬で儲けよう」「パチンコで儲けよう」といったギャンブル・投機しか知らない方々とは一線を画する存在であり、どちらの戦略を取ろうとも投機しか知らない方々よりも勝てる可能性が極めて高いと言えます。
私自身はインデックス&グロース株派ですが、高配当株派の方々とケンカするつもりは毛頭ございません。
むしろ、競馬やパチンコや仕手株といったギャンブル・投機ではなく、米国株を中心とした「投資」を行ってる仲間だと思っているので仲良くしていただければと思います。
精神的なメリットが得られて株式投資に継続性が得られる高配当株投資か、数学的なリターンの良さを追求できるインデックス投資やグロース株投資、どちらの方があなたに向いているかは神のみぞ知るところでしょう。

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高配当個別株の利回りを5%と試算していますが、何か根拠となるデータがあるのでしょうか?
TAK様
コメントありがとうございます。
→5~7%程度と考えておりましたが、根拠となる具体的なデータはございません。
高配当株投資を考えていた際に、5%以上の利回りを一つの基準とされている方が多かったかな?と肌感で決めた形です。
税金の支払いを先送りにすることで、リターンが向上する
という点が最も重要なため、焦点がズレないように記事を少しリライトしますね。ご質問ありがとうございました。
上記記事、多少リライトしましたがいかがでしょうか?
分かりにくい箇所があればまたご質問頂ければと思います。
なお、下記記事においては配当金利回りを5%としておりますが、こちらは半分ネタですのでご容赦ください。
【悲報】勤労感謝の日、令和時代において1年で最後の祝日
東大バフェット様
>グロース株投資(キャピタルゲインの最大化)のメリットとしては以下が挙げられます。
配当課税の先送りの話の後でVOOの話が出てきますが、ご存じだとは思いますがVOOだと配当課税されますし、グロース株でもないので読んでいて混乱しました。
税金繰り延べの話だけだと、無分配投信と分配投信の比較と同じになってしまいますね。
>多額の配当金を出す企業は優良企業が多く市場平均をアウトパフォームしやすいからである
個人的にはこのあたりが今後も通用するのかどうかがポイントで、税金繰り延べ効果は些末な問題だと思います。
シミュレートのように10%の利益全てを配当で吐き出す企業などほとんどありませんし、高配当企業は自社株買いをよくする企業も多いですから。
有名なダウの犬戦略は2000年以降もSPYをアウトパフォームしているようですし、これだけを見ると「数学を信じ」はそうなのかもしれませんが、「資産の最大化」についてははまだまだわかりませんね。
TAK様
ご返信ありがとうございます。混乱させてすみません。
まず認識をすり合わせたいのですが、
A,インカムゲイン・配当金をKPIとするか(高配当株投資)
B,キャピタルゲイン・総資産をKPIとするか(インデックス・グロース株投資)
と東大バフェットは認識しております。
このうち、Bの中でインデックス投資とグロース株の場合分けをあまり明確にしていなかったのが混乱を招いた原因かもしれません。すみません。
>多額の配当金を出す企業は優良企業が多く市場平均をアウトパフォームしやすいからである
>個人的にはこのあたりが今後も通用するのかどうかがポイント
この点からTAK様は「総資産をKPIとしているが、高配当株に投資を考えている」と推察したのですが如何でしょうか?
この記事で論じているのは、
A,インカムゲイン・配当金をKPIとするか(高配当株投資)
B,キャピタルゲイン・総資産をKPIとするか(インデックス・グロース株投資)
ですのでTAK様のように「総資産をKPIとしているが、高配当株に投資を考えている」という方は議論の対象外になっており、認識に齟齬があった点も含めて分かりにくさを招いてしまったのかもしれません。
まだブログを始めたてのため、こういった点でご質問を頂けるのはありがたいです。
なお、「総資産をKPIとしているが、高配当株に投資を考えている」というのは「市場平均をアウトパフォームできそうな優良ETF・優良企業」であれば良いと思います。
ざっくり言うと東大バフェットの場合、ハイテクセクターが市場平均をアウトパフォームしそうだと考えているためVGTに投資をしております。
TAK様の場合、高配当株が市場平均をアウトパフォームしそうだと考えているのであれば、VYMに投資をするのは如何でしょう?
______
以下は本筋とは逸れますが、ご返信しますね。
>VOOだと配当課税されますし、グロース株でもない
→VOOはもちろん配当課税されますが、例えばこれを以下のように厳密に議論すると分かりにくくなるのではないでしょうか?
「
VOOでは、5%は株価上昇によるもので無課税、2%は配当金によるものなので課税。つまりトータルでは5%+0.8*2%より6.6%のリターン。
一方、株価変動なしで7%の高配当株は0.8*7%より5.6%のリターン。
よって、年間7%分の増加が見込まれるVOOや高配当株においては、VOOだと6.6%だが高配当株では5.6%となるため、配当が比較的少なくキャピタルゲインが多めなVOOが良い。
」
東大バフェットは、なるべく物事はシンプルにしたいと考えております。
ここでのポイントは、「インカムゲイン・配当金には税金が掛かるが、キャピタルゲイン・未実現利益に対しては税金が掛からない」という点ですので、
「配当を出す代わりに株価変動が一切ない株」「配当を一切出さない分、株価が上昇する株」の2点に分けて説明しました。
__________
10%としたのはわかり易さのためです。高配当株10%なら税引き後8%なので。税引き後も整数のほうが分かりやすいでしょう。
現実として10%の配当を出す株はまずないでしょう。
ここでも、以下のように説明すると分かりにくくなるのではないでしょうか?
「
配当がx%の株と、毎年x%株価が上昇する株に同じ額だけ投資した場合、n年後までのリターン率は、
前者では(1+0.8*0.01x)^nに対し、後者では(1+0.01x)^nとなるため、後者のほうがお得である。←半分寝ぼけながら書いた式なので間違ってるかもしれませんが。
」
この辺り、「どの程度厳密に議論するか、それとも分かりやすさを重視して分かりやすい数値で議論するか」は難しいところです。
以上でご回答になっているでしょうか。
1記事分くらいの文字数になってるので、よろしければリライトしつつ記事として投稿したいのですがよろしいでしょうか・・・?
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[…] 高配当株vsグロース株論争に終止符を打つ! […]