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国会議員は何人いれば運営できそうなのでしょうか??

質問

2024年10月21日 回答

国会議員は何人いれば運営できそうなのでしょうか??

回答

「予算や法案を審議する」という機能だけ見れば、20-30人もいれば事足ります。ただそこまで減らすと、その人たちが関心を持たない分野への「国政調査や必要な立法の機能」は失われるので、100人はまず最低でも必要でしょうか。

ただ民主主義においては「自分たちの権利や思想を反映する」という意味が、議員定数には反映されているわけです。これをあまり考えなくてよい王国などは議員数が20-30人からという感じですが、地域や階級が争ってきた歴史がある英国(1435人前後)、フランス(925人前後)、ドイツ(805人ほど)は、日本(713人)より人口が少ないのに議員数が多いです。各地域や富裕層、軍などが自分たちの代表を送り込む中国の全人代に至っては、一院制なのに定員3000人が上限とわじゃわじゃいます。

一方、米国やインドは日本よりずっと人口が多いのに議員数は少ないので、この辺には国ごとの特徴が反映されます。議員1人が抱える人口(国会議員1人あたりの人口)では、日本は多い方から数えて世界20位前後ですので、この点ではむしろ議員数は少ない方だとすら言えます。

この「議員1人あたりの人口数」ではインド、米国がぶっちぎりのワンツーフィニッシュ。日本より上位にいるのは中国を含むアジア諸国やアフリカの開発途上国、メキシコやブラジルなどの中南米各国で、G7で日本より多いのは米国だけです。この事実は知っておいた方がいいでしょう。

その上で日本の現状を考察すると、衆議院小選挙区は、「その地域の権利を国政で主張する」という機能があります。人口が少ない県では島根県、鳥取県、高知県などは選挙区が2つ、つまり2人の代議士を送り込めます。これを国民の「一票の格差」が出ないように配分すれば、東京など人口が多い都市部は今の議席配分になってしまう理屈です。

ですから島根県や鳥取県、高知県の人たちが全県1区に納得して、それに合わせて地方の選挙区を統合することに、人口が比較的少ない道県の人が納得すれば、衆議院小選挙区の議員を半減できますが、これは「地方の切り捨て」という反発が出ると思います。最低でも1県に2人としている以上、衆議院小選挙区の議員数289人を大きく削減するのは難しいです。

一方、衆議院比例ブロックは、衆議院小選挙区だけだと全国津々浦々に候補者を立候補させられるのは大政党だけになることを補完するためのものです。地方の小選挙区には、「自民党、立憲民主党、共産党の候補者しかいない選挙区」がたくさんあります。こうした選挙区の選挙区民は、立憲民主党や日本維新の会の主張が良いと思っていても、これを反映する機会がありません。

衆議院比例ブロックを全国1区の比例代表区にして、例えば定員を現在の比例ブロック176人から100人とか50人に減らす手はあります。ただそうなると、「地方の代表」として選ばれた小選挙区の議員と、「政党への支持」で選ばれた比例区の議員とのバランスが悪くなってしまいます。そうなると、小政党の影響力はなくなり、あるいは消えていきます。たぶんこの改革をすれば、衆議院は自民党と立憲民主党の影響力が増しますが、これを望む人がどれだけいるのか。

僕は現在の衆議院の定数465人と、小選挙区と比例区の比率は、議員1人の国民数や政党支持票を反映させるという観点から見て、まあまあバランスが取れているので、変にいじらない方がいいと考えています。ただ小選挙区で選挙民が選ばなかった人を比例区でどんどん比例復活させるのはいかがなものかと思います。この辺はもっと洗練させるべき点があります。

参議院の方は考えるべき点がいろいろありそうです。二院制にする理由は、「チェックアンドバランス」と言って、一院の暴走を防ぐ意味があります。また衆議院が議論したものを、参議院でもう一度審議して、審議を尽くす、という意味もあります。

しかし日本の参議院は選挙制度の構造も衆議院に類似しており、そのため選ばれる議員も類似してくるので、「衆議院のカーボンコピー」などと言われています。実際、選挙の時期のズレや任期の違いから衆議院とねじれることでもなければ、あんまり参議院に意味があるとも思えません。ですから参議院をバサっと廃止して一院制にする手はあります。

実際、世界の国の約6割が開発途上国を中心に一院制だと言われています。中国や韓国のほか、デンマークやフィンランドが一院制です。ただ一院制の国は往々にして時の世論の流れやムードに流されやすいのが難点です。「環境問題が重要」と世論が動けば無茶な法律も通ったりもします。

「参院改革」は必要なので、廃止するか、衆議院とはまったく別の選挙制度にして本当に「良識の府」になるようにして残すかでしょう。戦前の貴族院は弊害がとても多かったですが、「勅選議員」として学者や有識者が選出されたりもしました。

人口に比して議員数が少ない米国の場合、下院は人々の代表です。この定数は小さい州でも最低1人の下院議員を選出できるようにして、それをヒル方式で人口比で配分、最多のカリフォルニア州には52人が割り当てられる仕組みです。日本の衆議院小選挙区と類似していて、議員定数は435人とけっこういます。比例区はなく、この仕組みの小選挙区制のみなので、やはり米国は少数政党がない2大政党制になります。

一方、米国の上院は人口に無関係に各州で2人です。50州ありますから定員は100名。米国は下院を「人民の院」とする一方、上院を「州の代表を送り込む院」とすることで、上院と下院を棲み分けたわけです。上院を英語で記せば「United State Senate」ですから、直訳すれば「合衆国元老院」です。「House of Representatives」の下院とはまったく位置付けが異なるのが分かります。

位置付けが異なるので、上院、下院の役割も異なり、「条約の批准」について米国大統領に「助言と同意」(advice and consent)を行う権限は、上院にしかありません。このため米国では外交と安全保障戦略は上院の専権事項のようになっています。また米国では大統領が変わると、日本のように大臣だけでなく、高級官僚が一斉に変わる仕組みですが、この政府高官の指名人事についても、大統領案に「助言と同意」をするのは、上院だけです。

一方、利権がいろいろ絡む予算案や予算関連の法案は、発議権があるのは下院だけで、上院は審議するだけです。ですから米国上院は利権誘導型の政治家にはなり難いという面があります。このため上院議員は良識ある議員が数多く輩出されてきました。よくあるジョークで、「ワシントンの高級レストランでは上院議員は良客として扱われるけれど、下院議員は一般客として扱われる」といった類いのものがありますが、これもそのためでしょう。下院議員は一般国民の権利代表ですから。

この米国の上院と下院の構造には、米国の成り立ちが密接に絡んでいるので、そのまま日本に移植するのはムリですが、現在の衆議院のカーボンコピーの参議院には存在意義がありません。ですから、定数を今の248人から100人ぐらいまで減らして、地域の利権とは切り離して、政党の主張だけに投票する選挙制度に変更、米国上院のように外交などを検討するほか、衆議院の暴走を止める「良識の府」にするのが、僕は一番良いと考えています。

ということで、僕の回答は「議員数は148人ぐらい減らせる」です。

でも、議員を抱えるのは「民主主義のコスト」でもあります。ですから論じるべきは、議員の数(量)より、あまりにレベルが低い議員が多い日本の現状を変える「議員の質を上げる」議論の方だと僕は考えます。現状では日本の政治家は「バカにならない人にはなれない」仕組みなんですが、このため「本当のバカ」がたくさん混ざってしまっています。

本当に論ずべきは「量より質」の問題です。質を上げる工夫が必要でしょう。

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