チャイナショックは来るでしょうか？

中国恒大のチャプター15申請そのものは十分予測可能で、すでに市場には織り込まれていると分析しています。短期的な影響は若干あるかもしれませんが、暴落の引き金になるようなものではないです。

ただ恒大の一件は、僕がかねてより気にしている2つの事象にとって象徴的です。

一つは、中国の景気後退。GDP世界2位の国家のマクロ動向は、少しずつ市場に影響を及ぼすと考えた方が合理的です。中国は今や「世界の工場」ですから、中国企業の景気先行き見通しが弱気で一致した時、日米企業の受注残の減少という形でそれは現れると思っています。中国の影響が大きい、比較的先進的ではない半導体関連製品の受注動向などを注視しています。

もう一つは、世界的に不動産市況が曲がり角にくるかどうか。個人、企業双方の積極的な不動産購入意欲が、マクロ経済の指標を押し上げ、このことが株式市場のセンチメントを強気一辺倒にしてきました。しかし、中国などの市況の変化に加え、米国など絶好調の国でも、個人向け高額物件の売上げや商業用不動産の需要の鈍化といった形で、その兆候が現れています。

後者では、僕は商業用不動産価格指数(CPPI)の動きに注目しています。CPPIがクレジットクランチを予測する先行指標になるからです。

繰り返しますが、中国恒大の一件の影響は軽微だと思います。ただ機関投資家などの大口投資家が、上記2つの点で現在の市場が抱えるリスクについて神経質になるきっかけにはなるかと。次の大きな株価調整は、上記2つと米個人債務の焦付きという3つのいずれかが原因になると僕は予測しています。