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投資法・投資哲学

預金封鎖について。

質問

2024年11月17日 回答

預金封鎖について。もう少し詳しく教えてください。

回答

預金封鎖に関する僕の回答は、「預金封鎖が起こりうるから気をつけろ」ではなく、「預金封鎖に帰着しかねないようなアホな経済政策はやめるべき」という点にウェイトがあります。念のため。その上で僕のやり方をお答えします。

多くの資産を割り当てるのではなく、一定期間の生活が成り立つようにすればいいと考えています。その上で、一定レベルの現金と金、宝石のルースを保有しています。

現金(いわゆるタンス預金)は、手元流動性が高いのがメリットです。ですから有事の時の当座の生活費にはなります。しかし、1946年の預金封鎖の時のように、新円切り替えとセットで実施されてしまうと、古い紙幣は紙ゴミになってしまいますから、そうなると銀行にまるっと預金せざるを得なくなります。

その点、金や宝石は無価値にはなりません。特に金価格は日本の固有の事情ではなく、世界の金相場で決定されますから、こういったケースには強い資産と考えています。宝石は金より小さいものでも資産価値があるのがメリットですが、市場が明確ではありませんから、売り方がわからないと、二束三文になってしまうかもしれません。ただ国外脱出するような時に携行する資産として有効だというのは、世界の富裕層の一般常識だと思います。

海外預金口座については、「ぜったいここなら大丈夫」というところはありません。いくつかの選択肢から組み合わせることになります。

一般的な海外の銀行の預金口座では、以前は三菱UFJ銀行のカリフォルニアアカウントプログラムを使って、カリフォルニアのユニオンバンクの口座を、日本にいながら開設するという鉄板の手段がかつてはありました。しかし三菱UFJがユニオンバンク株をUSバンコープに譲渡した結果、新規の口座開設が停止されてしまいました。

原則的に米国で銀行口座を開設するには、SSN(ソーシャルセキュリティナンバー)が必要ですから、米国非居住者は口座を開設出来ません。例外がハワイ州です。ここはSSNを持っていない人間でも口座を開設出来ます。

日本居住の日本人がハワイ州の銀行に口座を開設する上で、よく知られているのが、セントラルパシフィックバンク(CPB)とバンクオブハワイです。どちらもハワイ州の大手地銀になります。前者は日系の人たちが設立した銀行なので、日本語のサポートが充実しています。後者はSMBC信託銀行と業務提携を結んでいて、SMBCが富裕層顧客向けに紹介サービスをやっていたりします。

欠点は、口座開設のため、1回はハワイの現地本支店に赴かなければならないことです。また海外の銀行では口座維持手数料がかかる場合が多いですが、上記2行でもかかります。ですから預金が少額では開設の手間やコストに見合わない場合もあります。

このほか、香港に行って、HSBC香港、スタンダードチャータード、恒生銀行(ハンセンバンク)と言ったところに口座を開設するというのも、よくある手です。富裕層向けにこれらの銀行で口座を開設するサポートサービスをやっている会社もあります。

シンガポールや台湾などでも、そう簡単ではないですが、非居住者が口座を開設することは可能です。一般的にはシンガポールで口座を開設するにはシンガポールの住所を持っていないと開設できないとネットには書かれているようです。

しかしDBSバンクやオーバーシー・チャイニーズ銀行といった大手銀行には「トレジャリー口座」「プレミア口座」と言われる特別な口座があって、この口座であれば、非居住者でも(つまり日本居住者であっても)口座開設は可能です。ただおおむね35万シンガポールドル(約4000万円)以上の預け入れ資産が求められるなど、種々の条件はあります。

台湾では、非居住者でも日本のマイナンバーカードとパスポート、それに中華民國統一證號という台湾のマイナンバーカードのようなものを取得する必要があったりします。

また以上のような海外の銀行口座を開設する場合、銀行から多くの場合、問われるのは、(1)預ける資金の出元、(2)なんのために口座を開設するのか、の2点です。前者はマネロンを防止する観点からです。後者は例えば「台湾でビジネスを行うため」であるとか「台湾に投資するため」であったりすれば、理屈が明快なので、口座が開設しやすいです。

ただ年々、非居住者の口座開設は困難になる傾向にありますし、一度は現地の本支店を予約した上で訪問して、2時間ぐらいかけて手続きをする必要があります。そこまでする資産を預けるかどうかがポイントになります。

以上のようなハードルがなく、日本からネットベースで口座が開設できる銀行として人気があるのが、ラオスのJDBバンクという大手商業銀行です。僕はここは口座を持っていないんですが、確か預け入れ資産は1500米ドルからだったと記憶しています。金利も悪くはありません。ほかにもモナコのプライベートバンクやカンボジアのアクレダバンクが知られています。

資産のハードルはグッと上がりますが、スイスなどのプライベートバンクに預金する手はやっぱりあります。日本では「プライベートバンク」と「プライベートバンキング」の区別が付いていない人を多く見かけるんですが、「プライベートバンキング」は大手金融機関が富裕層向けに行っているウェルスマネジメントサービスのことです。スイスであれば、UBSがこれに該当します。ロンバー・オディエやピクテも、現在では事実上プライベートバンキングです。

一方、「プライベートバンク」というのは、狭義では、経営に無限責任を負う「プライベートバンカー」が最低でも1人以上いる銀行を指します。無限責任を負うわけですから、これらの銀行の運用方針は極めて保守的です。目標利回りは思った以上に低いです。しかしガチガチの安全資産になり得るところにポイントがあります。

「プライベートバンクは儲からないから預けない方がいい」とポストしていた株クラの某インフルエンサーがいたので、これには吹き出してしまいました。プライベートバンクは、本質的に利回りを求めて資産を預けるところではないんです。300年経っても、この資産はきっとガードされている、と考えて資産を預けるんです。また頻繁に細かい預金をしたり、預金を引き出したりしたいような人には向きません。

プライベートバンクの最低預け入れ資産額は各行さまざまですが、利用して意味があるのは、おおむね10億円からだと思います。スイスのほか、リヒテンシュタインなどにあります。やっぱり資金の出元がチェックされるほか、口座開設には種々の審査もあります。これらのプライベートバンクを本格的に利用するには、やっぱりスイスやリヒテンシュタインに赴いて、審査を受けたり打ち合わせをしたりする必要があります。プライベートバンキングであれば、ハードルはグッと下がって、2億円ぐらいからあります。

最後、一番簡単な方法は、Wiseなんかのマルチカレンシー口座でユーロ口座情報などの口座情報を取得する方法です。これで外貨ベースで資産を持てますし、預金封鎖があっても制約外です。ただマルチカレンシー口座と紐付いたデビットカードなどは自由に利用できるでしょうが、海外の銀行に預金口座を持っていないと、預金封鎖時の出口がありませんから、現金は下ろせなくなります。

おおむね以上のような口座の組み合わせから、選択することになります。僕の場合は、①ユニオンバンクが移行したUSバンク、②スイスとスイス以外のプライベートバンク各1行、③香港のHSBC香港と恒生銀行、及びスタンダードチャータード銀行のマルチカレンシー口座、④シンガポールのDBSバンクとオーバーシーズ・チャイニーズバンク、⑤台湾の台北富邦銀行、⑥ハワイのパシフィックセントラルバンク、⑦Wiseのマルチカレンシー口座、⑧ロンドンにあるバークレイズ銀行のインターナショナルアカウント(ユーロ口座、最低預け入れ金額10万ポンド程度)、⑨りおぽん会社の欧州現地法人😅の法人口座、これは事業と投資活動用ですーと言った具合に分散しています。

以上は一長一短という感じです。手続きには語学力を必要としますから、自信がない方は口座開設サービスを利用した方が無難です。海外銀行口座開設では、有名な海外金融機関にFXなどの名称を付けただけやMLMまがいの怪しい勧誘も多いですから、面倒でも海外の銀行の支店に出向いて口座を開設することをお勧めします。

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