質問
「自国通貨建国債はデフォルトしない」という主張を見ますが、なぜ国債が「自国通貨建」か「他国通貨建」かで結果が変わるんでしょうか?常識だったらごめんなさい。
回答
これは非常に単純な話でして、「円建ての日本国債」であれば、償還したり利子を支払ったりするのは「円」です。政府には一般的に「通貨発行権」があります。日本政府は「円貨幣」であれば理論上はいくらでも発行して調達できますから、円建て国債であればデフォルトは起こらない理屈です。
一方、「ユーロ建て日本国債」のような外貨債であれば、償還や利払いの支払いをユーロで約束していた場合には「ユーロ」が必要です。つまり外貨建て債務です。
日本政府は自分たちが発行した「円」を使って、どこからか「ユーロ」を調達してこなくてはいけません。しかし円の信用がどんどん落ちていく状況では、ユーロを持っている人が円に交換するのは、合理的ではないということになります。このため「ユーロ」の調達に失敗あるいは遅延して、ユーロ建て国債の償還や利払いができなくなる。これがデフォルトです。
もちろん「円」で支払おうとすることはできます。例えばユーロで支払うと約束して発行したユーロ建て日本国債の利払いを、ユーロクリアに送りつけてしまう手もありますし、ユーロ建て日本国債を円建て日本国債に置き換えることだって、可能と言えば可能です。しかしユーロ建て日本国債を持っている投資家がそれを受け入れるかどうかです。
国債のデフォルトには発行体である政府がデフォルトを宣言する場合以外に、格付け機関がその国債をデフォルトだと認定することでも起こり得ます。ですから日本政府が約束を違えて円で支払おうとすれば、デフォルト認定される可能性が十分あります。
アルゼンチンはしばしば国債のデフォルトを起こすことで知られていますが、デフォルトを宣言したのは基本的にドル建てなどの外貨債でした。またロシアはウクライナ戦争による制裁の結果、ドル建て国債とユーロ建て国債の利払いが滞ってデフォルト状態になりました。
じゃあ自国建て国債を発行する方がいいじゃないということになりそうですが、そう単純にも行きません。外貨建て国債を発行するのは、多くの場合、外貨を調達するためです。
また自国建て国債も過剰に発行すれば、当然ですが償還や利払いのために過剰に円を発行する必要があります。マネーサプライを過剰にすればハイパーインフレが発生して、極度の自国通貨安になります。ですからこの悪影響を勘案して、自国通貨建て公債であっても、政府がデフォルトを宣言した事例もあります。ですから「自国通貨建て国債はぜったいデフォルトしない」というのは、あくまで理論上のお話しです。
国債の話が続いたので余談ですが、ツイッターでは「日本はもっと赤字国債を発行しろ」とか「国債を償還している国は日本だけだ。国債を償還するのは財務省の陰謀だ」的な言説を時折お見かけします。三橋貴明さんの本でも読まれたんでしょうか。
まず「日本国債をどんどん発行する」ということについては、「どんどん引き受けてくれる投資家がいるのか」という問題が生じます。国債は「自国通貨建て長期債務」に区分されます。ムーディーズによるこの格付けは「A1」、S&Pだと「A+」です。
ムーディーズでAaaのドイツ、スイス、カナダ、北欧諸国、そして米国に遠く及びません。韓国がAa2、台湾やカタールがAa3ですからそれ以下ということになります。中国やイスラエルと同等です。S&Pだとイスラエル以下で、これが日本という国の財務状況に対する信用の実態です。
しかしその信用の低さの割に日本国債の利回りは低い。それでも現在、外国人債券投資家が円建て日本国債をこぞって買うのは、通貨ベーシスの円金利ディスカウントがあるからです。単純に言えば、為替ヘッジのため円ショートした上で円建て日本国債を購入すれば、ドルベースの投資家にとって投資リターンが10%を超えるんですね。これも円安が進んだ一つの大きな要因です。
実質ドル建てになった日本国債が外国人に買われて円安が進む。その円安を食い止めるために財務省が介入して、外貨準備高から外貨をどんどん使うという構造は、いつまでも続くものではないですね。日本という国を売っているのとあまり変わりがありません。
じゃあ円建て日本国債を日本国内で市中消化できるかと言えば、すでにできなくなっています。日銀にどんどん引き受けさせれば、マネーサプライもどんどん増えて、インフレが亢進して円安も進んでしまいます。ですから日銀は昨今、日本国債の買い入れ額の減額を進めているわけです。
たまに日銀が所有している日本国債を帳消しにしてしまえばいいという暴論もお見かけしますが、日銀のバランスシートから債権である日本国債をまるっと消せば、当然ですが反対の債務の方から市中銀行の当座預金、つまり我々が持っている貨幣の価値が590兆円分ぐらいまるっと消えるということで、これはたまんないですねぇ😅。
ちなみに日本政府が債務の返済ができなくなった場合、どうなるのかということに関して、参考になるのが第二次世界大戦直後の事例です。
この時、日本政府は対外債務については実質的なデフォルトにしてしのぎました。国内債務についてはハイパーインフレによるインフレ税で相当目減りさせましたが、それでも払いきれなくなったので、国民の預金を「預金封鎖」して引き下ろせないようにした上で、少額紙幣を除く額面10円以上の旧紙幣(旧円)は、銀行に預金しない限り無効にするという措置を取って、銀行に実質的に強制的に預金させています。
そしてその後は1世帯当たり月額500円までを限度として預金の引き下ろしを認めてつつ、新紙幣(新円)への切り替えを進めて行きました。当時の大卒の初任給が500円ぐらいだったそうですから、日本国民は1世帯が等しくそれで生活することになったわけです。「500円生活」が当時の流行語になっています。
この預金封鎖と新円切り替えの措置を取った結果、政府は国民全員の資産をまるっと把握できることができました。ですからそのあとには最低税率25%、最高税率90%という極めて税率が高い「財産税法」を施行して、国民の資産を事実上差し押さえています。
こんなことをされたら、こりゃたまんないですよねぇ🤣。でも日本政府の国内債務が今後もどんどん膨らんでいけば、これに類似したことが行われることも、ありえないことではないと僕は考えています。
政府が国内債務の返済に窮した時の解決策として使える奥の手は、その返済原資を国民から強制的に税として徴収することなんですよね。徴税権って「国家の見えない資産」と言われるぐらいですから。これは覚えておいたほうがいいでしょう。
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