能力の高い人や資産家が資本主義を肯定するのは当然のことですが、そうではない方々も資本主義を肯定する事が合理的な選択になるのでしょうか？

質問

能力の高い人や資産家が資本主義を肯定するのは当然のことですが、
そうではない方々も資本主義を肯定する事が
合理的な選択になるのでしょうか？

回答

なこたぁないですよ。資本主義というのは本質的に「資本家が労働者を使って利潤を生み出すシステム」です。ですから経済格差が発生しやすいシステムです。ですから「修正資本主義」なんてものが生まれたわけですし、日本では立憲民主党左派や共産党、米国なら民主党左派は、「富の再分配」を強く打ち出しています。これらは表向きの表現はともかく、言っている内容は、「資本主義」というより「社会主義」的です。

資本主義の諸問題に対する対応策として、「新自由主義」があるんですが、日本ではこの訳語をマズったと思います。「社会主義的な市場経済に対して、個人の自由や市場原理をもっと尊重せよ」という「ネオリベラリズム」を日本では「新自由主義」とまず訳しました。

ところが資本主義の矛盾に対処して自由放任に委ねる伝統的な意味での自由主義に対して、いやもっと「社会的公正を重視せよ」、政府がある程度介入して、公正な富の再分配をして社会保障が国民全体に行き渡る社会を実現しよう」という「ニューリベラリズム」も「新自由主義」と翻訳してしまったんです。両者ははっきり方向性が逆です。

ですから個人の自由を最大限尊重して、市場原理に任せれば上手く行く、政府は出来るだけ介入するな、とおっしゃっている方が、何故か政府の手によって富の再分配をしようとする立憲民主党をリベラルとして支持すると言った奇妙なことも起きています。日本における「新自由主義」はおかげで非常にわかりにくく、時に矛盾しています。

まあそれはともあれ、自分の経済的な利益を最大化しようとするのが人間というものですから、資本家ではない人間が、資本主義以外の経済思想を支持するのは、ぜんぜんおかしいことではありません。