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投資法・投資哲学

アルケゴス問題の余波で沈んだクレディ・スイスについて

質問

少し前の話なのですが、アルケゴス問題の余波で沈んだクレディ・スイスについて、株は紙切れにならなかったというのに、株よりも優先的に償還されるべき劣後債(AT1債)が紙切れになったと聞いたのですが、これはどのような論理に基づく結果だと考えられますか?クレディ・スイスを引き受けるUBSへの配慮という話も聞いたのですが、いまいち要領を得ません……。りおぽんさんの認識を伺いたいです。

回答

これは少し難しい話なんですが、「弁済順位」ということであれば、おっしゃる通りAT1債の方が株式より上です。しかしそれは会社が倒産した場合の話なんです。クレディスイスは倒産することなく、普通株式はUBSの株式と交換されたので、株式は無価値にはなりませんでした。

一方、AT1債は、10%超の高利回りで人気を集めたんですが、目論見書に「元本削減条項」と言って「CET1比率が7%を下回ったとき」「公的機関からの支援を受けたとき」、元本は無価値になるという特殊な条項が記載されていました。このうちCET1比率というのは、BIS(国際決済銀行)が国際的な取引をする銀行に対して行った自己資本規制「バーゼルⅢ」で導入された指標で、普通株式などのTier1で構成されるCET1とリスクアセットの比率を見るものです。

つまりこの「元本削減条項」に抵触した場合、クレディスイスがまだ経営破綻していなくても、AT1債は元本ごと無価値になるという条項です。実は僕もクレディスイスのAT1債の購入を証券会社から勧められたんですが、目論見書を読んでこの条項に気が付いたので、その時のクレディスイスの経営状態を考えれば、「こんなものは買えるわけがない」と思って断っています。結局、クレディスイスのAT1債は、「公的機関の支援を受けた」という条項に従って無価値になった、それだけの話です。

問題だったのは、クレディスイスのAT1債を売っている側でさえ、この「元本削減条項」を知らずに売っていたケースが多かったことです。特にクレディスイスが用意した目論見書は英文で、日本で売った証券会社などの営業たちは、自分たちもちゃんと読まずに売り、しかもこれを日本語に翻訳しないで、顧客に見せていたことです。僕が断った営業も、僕が「こんな条項がある」と指摘したら、最初はなんのことか理解できず、説明したらびっくりしていました。そんなもんです。

だから高利回りに惹かれて、こんな条項があるとは知らずに買った人が多かったんです。それでクレディスイスは倒産しなかったのに、自分が持っているAT1債が無価値になったのは「なぜ?」という話になりました。「高利回りには裏がある」と考えるべきでしたね。

「元本削減条項」は英文とはいえ、目論見書には明記されています。AT1債を無価値にする決定を下したのはスイス当局ですから、特にUBSに配慮したわけではありません。目論見書の通りになっただけです。

AT1債というのは、そもそも商品設計した方自身が「劣後債は経営破綻したら返さなくてもいい債券だが、AT1債は経営破綻処理に入る前の銀行がまだ生きている状態でも返さないようにできるものとして設計した」と明確におっしゃっています。AT1債が無価値になったからこそ、UBSは買ったんだろうとも言われています。なおAT1債には無価値になる代わりに株式にスワップされる条項が付いているものもあります。

クレディスイスのAT1債は結局2.4兆円ほどが世界で無価値になったと言われています。それだけ高利回りに目が眩んで、目論見書をちゃんと読まなかった方が多かったんですね。

投資の世界で自分の身を守るのは自分しかいません。このように証券会社の営業だって、まったく信用できません。クレディスイスのAT1債と同じような話に「仕組み債」があり、あれで大損した人がいっぱいいます。「仕組み債」はデリバティブが絡んで、アレンジャーとスワップハウスがカバー取引をする非常に複雑な商品です。目論見書を読めば、危ない落とし穴がいろいろあるのがわかります。でもこれも高利回りだと証券会社に勧められて、目論見書をちゃんと読まずに買って、大きな損失を出してびっくりという人がいっぱいいます。

「仕組み債」とはよくつけた名前で、一見すると安全資産の「債券」のように思えるので、「債券なのにこんなに高利回りが期待できるのか、ウハウハ」と買ったお年寄りが多いそうです。でもあれは「オプション取引のプットのショート」を組み合わせた、とんでもないハイリスクハイリターン商品です。オプション取引をされている方ならおわかりのとおり、「プットの裸売り」は地獄へまっしぐらのリスク行為です。僕はあんなもん怖くてできません。僕は仕組み債を勧めてきた営業を全員出禁にしています。

聞いた話ではクレディのAT1債と仕組み債でダブルパンチを喰らった方もけっこういるようです。欲の皮が突っ張っているのに、自分でちゃんと調べないからですね。これは2018年のVIXショックの時、保有していたVIX関連商品が早期償還されて、大損された方も同様です。

野村證券が売っていた「VIXインバースETN」はショックが起こる前日、約3万円でしたが、ショックで早期償還条項に抵触して、1144円で償還されています。率にして約96%の下落です。あの時は株クラでも何百万円も損をしたとポストしていた方がいましたが、あれもちゃんと目論見書には書いてありました。ただあの時も、売っていた野村證券の営業でさえそんな条項があるとは知らずに売っている人や早期償還条項を説明せずに売った人が多く、野村證券が陳謝することになりました。でも当然ですがお金は補償していません。損失補填は違法ですからね。

ツイッターでは直ぐ憶測で「UBSへの配慮」とかいい加減な話をポストされる方がいますが、これはお金が絡んだ「契約」の話ですから、そんな契約にないことをすれば、訴訟を起こされて、コロっと負けます。契約の前提である目論見書に明記されているから、AT1債は無価値になったんです。

僕は質問箱の回答でもよく答えていると思います。自分でよく調べろ、自分が理解できていない商品は買うな。投資では初心者だと言えば、特別に保護されることはまったくありません。質問箱の質問者にも、クレディスイスのAT1債に引っ掛かりそうな方がたくさんいますよね。僕はクレディスイスのAT1債で損された方を少しも同情しません。

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