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オイルダラー協定更新しないってのはホントかどうかご存知ですか?サウジとアメリカの。

質問

オイルダラー協定更新しないってのはホントかどうかご存知ですか?サウジとアメリカの。

回答

真偽はコメントできる立場にありませんが、状況説明はできます。この5年ほどのサウジの動きをみれば、それはあってもぜんぜん不思議ではないです。まずツイッターのみなさんが「オイルダラー協定」と言っていますが、そんな協定はありません。だから継続も更新もありません。またツイッターはデマばかりです。

オイルダラーの起源になったのは、50年前に米国とサウジの間で結ばれたとされる、一般に「ワシントン・リヤド密約」と呼ばれるものです。「密約」という言葉でわかるように、これは「協定」のように世界に向けてオープンに結んだものではありません。具体的な内容は今も公開されていません。ただ関係者から色々と漏れ伝わっているだけです。当然、それが今後どうなるのか、本当にわかっているのは、サウジと米国のごく限られた人だけです。それを憶測する報道が流れているわけです。

だいたいの経緯は、1974年、米国経済防衛の必要性に迫られた当時の米ニクソン大統領が、財務長官を特使としてサウジに派遣して、サウジに互恵的な提案を行なったのが始まりとされます。ちょうど前年の1973年10月に第4次中東戦争が勃発します。この戦争は当初、アラブ諸国側有利に進むんですが、イスラエルが米国に支援を求め、これを米国が受け入れたため、徐々に戦局がイスラエル有利にひっくり返ります。

これに怒ったサウジなどのアラブ諸国が、米国には原油を売らないという原油禁輸措置で対抗します。これで米国の原油価格はだいたい4倍になったと言われています。第1次オイルショックと呼ばれるもので、世界経済が大混乱しました。当然、これは米国経済に大きな影響を与えて、激しいインフレが起こりました。ニクソン大統領はこれをなんとかする必要に迫られたわけです。

伝えられる内容は、①米国はサウジから原油を購入するからサウジはこれを認める、②サウジはこの取引でドル決済を認める、③米国はお礼にサウジに軍事援助を行う、④その見返りにサウジはドルで米国債を購入して米国債を買い支えるーーと言われています。これでニクソン大統領は、サウジによって財政をファイナンスしてもらおうと思ったわけです。

サウジの当時のファイサル国王は、この米国債購入が間接的にイスラエル支援と中東諸国に見られることを恐れたため、米国はさらに⑤サウジが米国債を購入しても、それが一般にはわからない仕組みを作ることを約束した、とされています。だからこれが「密約」になったわけです。ですからサウジがどれだけ米国債を購入して、ドルを米国に還流しているのか、これは今も統計には出てきません。

以上の密約の結果、米国はドルでサウジの原油が買えるようになっただけでなく、それで米国債を購入してもらって財政ファイナンスができるという、美味しい仕組みが出来上がりました。

ですからペトロダラーに、公開されている「協定」のようなものはないんです。ただ単にそれ以降、サウジが原油取引の決済で、「ドルしか受け入れない」ということが「原油取引上の習慣」になりました。サウジは中東のイスラム教スンニ派諸国の盟主ですから、これらの原油生産国もこれに倣いました。これが一般に「ペトロダラー」と呼ばれるものの正体です。その後の米ドルの威信を支えて、ドル覇権体制を支えることになります。

ですから、「ぜったいにドル以外の原油取引は認めない」という協定はもともとないんです。「ペトロダラー」は「国際原油取引における慣習」なので、協定終了も何もありません。すでにサウジは中国などとの間では人民元による決済を一部で認めていると言われてきました。ウクライナ戦争に対する制裁で、ドルを入手する手段を失ったロシアもそうです。別に「ドルじゃないとサウジ産原油を売らないよ」とはサウジは米国には約束していないと思います。

ただ、この両者の関係はさらに密接になり、1980年代にはサウジのリヤルは、米ドルに紐ずく「ドルペッグ制」を採用しています。

しかし近年、米国とサウジのこのウィンウィンの関係が、壊れ始めます。ポイントがいくつかあります。

①米国がかつてほどサウジ産の原油を買わなくなった
米国はもともと産油国ですが、それでも足りずに中東産の原油を輸入していました。しかし2010年代、「シェールガス革命」が米国で起こります。これは以前は困難であったシェール層から天然ガスや原油を掘削する技術が確立されたことです。その結果、かつては「世界最大の原油輸入国」だった米国は、むしろ「エネルギー資源を輸出できる国」になってきました。もはやサウジにとってはライバルなんです。

サウジは原油の輸出が全輸出で金額ベースで約8割を占めます。その輸出相手国は近年は安定して首位が中国、2位がインド、3位が日本です。米国はもはや重要な原油の輸出相手国ではないのに、なんでその決済を米ドルにするのか、サウジにはもうその理由がないんです。

②多極化が進んだ
1980年代のサウジは、米国に頼って自国経済を守る必要がありました。リヤルの価値下落を防ぐため、ドルペッグ制を採用したのが典型例です。しかしサウジも着々と力をつけました。

そして世界的な多極化がトレンドです。貿易輸入相手国も、今や中国が首位で、2位の米国の倍近い金額です。伸び率が高いのも、中国、インド、韓国、エジプトあたりです。輸出入とも最大の貿易相手国が中国なのに、自国の圧倒的な輸出品目である原油の取り引きで、ペトロダラーなんて言っている理由がありません。サウジにとって、今や一番必要なのは中国の人民元です。

③BRICS諸国への急接近
①②の事情もあって、今年1月、中国、インド、ロシア、ブラジル、南アフリカの5カ国で構成されていたBRICSに、サウジ、イラン、エジプト、UAE、エチオピアの5ヵ国が一気に加盟、拡大BRICSが発足しました。さらに40ヵ国前後が加盟を検討しているという報道もあります。

この拡大BRICSの大きな議論のテーマになっているとされるのが、冷戦終了後に進んだ米国一極支配からの脱却と、その力の源泉の一つであるドル覇権からの脱却です。真偽はともかく、BRICS共通のデジタル通貨創設がたびたびリークされています。以前回答しましたが、昨今の金価格が急上昇した背景は、金産出国である中国とロシアが自国の外貨準備高に占めるドルのウェイトを下げて、金のウェイトを積み増したためです。

サウジもBRICS加盟に舵を切った以上、BRICSの論理で動くのは自然の摂理です。

④武器輸入が多極化できるかもしれない?
米国と蜜月関係を結ぶ必要性があんまりなくなっていたサウジにとって、米国と手を切れなかった最大の理由は「最先端の武器を輸出してくれる相手国」としての米国の存在です。

米国は世界最大の武器輸出国です。これに準じるのがロシア、ちょっと離れてフランス、ドイツ、中国が世界のベスト5です。

一方、世界最大の武器輸入国がインドですが、ほぼサウジが並びます。UAE、エジプト、パキスタンがベスト5です。ですからサウジやUAEにとって、原油での米国の関係性が薄れても、武器を購入するためにはドルが必要でした。

さらには中東で何かあると、米国がかつての軍事支援の約束を守って、サウジに積極的に武器を引き渡してきた歴史があります。最近では2022年のイエメン戦争で、米国はサウジに地対空ミサイルのパトリオットを5000億円ほど供与しています。この最新の武器をくれる相手として、米国を無視できなかったんです。

しかしここ数年、この輸入先が急拡大しました。そもそもBRICS加入でロシアと中国が有力な相手先になりました。サウジは中国の協力で弾道ミサイルを開発中であるという報道もあります。ドイツなども売り込んでいます。また日本ではあまり報道されていませんが、英国と日本、イタリアの3ヵ国で、次期主力戦闘機を開発しようという計画があります。この開発にサウジは自国も参画させてもらう交渉をしていると言われます。米国に気を使っている日本だけが躊躇しているらしいので、日本が認めれば4ヵ国の共同開発になります。

このようにサウジは着々と米国以外の国からも、最新の武器を輸入できるルートを開拓してきたわけです。

⑤そして昨今の中東情勢
冒頭に触れたように、ペトロダラー体制ができたきっかけは第4次中東戦争でした。米国の親イスラエルのスタンスに中東産油国が禁輸措置で対抗、その解決策として、ニクソン大統領が「ワシントン・リヤド密約」を提案したわけです。

それ以降、アラブ諸国とイスラエルとの本格的な戦争は起こっていません。イランイラク戦争はあったし、2度に渡る湾岸戦争がありましたが、いずれもサウジは米国を応援できる立場でした。

しかし現在生じているイスラエルとハマスの紛争は違います。サウジが自国が例えば難局に置かれても、ぜったいに認められないのが、イスラエルがイスラム教の聖地を好き勝手にすることです。これを許したら、サウジという国が崩壊するか、少なくとも中東諸国の盟主の座から失墜します。

これまでもおそらくサウジ、UAE、カタールは米国政府にいろんな注文を付けてきたと想像するんですが、バイデン政権がなかなか親イスラエルの姿勢を崩さない。そこで今や原油禁輸に代わって最終手段になっている、「これ以上自分たちが言うことを無視したら、ペトロダラーを崩壊させるぞ」という脅しに出た可能性が高いです。

今後ですが、中東の原油の決済は「ドルでのみ行う慣習」という意味でのペトロダラー体制が崩壊するのは必然なので、驚くには値しません。問題は「サウジ産原油取引の決済ではドルの使用を認めない」というところまで、サウジが踏み込むのかどうかです。

米国をそこまで追い込めば、サウジもドルペッグ制を取っていたり、おそらく米国債を大量に持っているなど、無傷ではすみません。米国と本気で対立するとどうなるのか、湾岸戦争のイラクを見ています。原油取引先としてのウェイトは下がっても、軍事的な支援国としての米国の存在はまだまだ無視できません。何より一気に中東産原油がドルで購入できないようにしたら、世界経済に与える影響が大きすぎます。第1次オイルショックではサウジもたくさん返り血を浴びています。

とりあえずまずは米国を「これ以上、イスラエルに肩入れしたら、殿下の宝刀を抜いちゃうよ」と脅してみたんだと予想します。ただサウジにとって、優先順位が高いのは経済より宗教ですから、米国がこの警告を無視すれば予断を許しません。

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