夏目漱石などの作品を読んでみたいと思っています。｜東大ぱふぇっとの米国株投資ブログ

質問

夏目漱石などの作品を読んでみたいと思っています。青空文庫は無料で読めますがなんだか風情がないと思うので、文庫を買おうと思っています。岩波文庫や新潮文庫など、いくつかの文庫から出ていますが、おすすめの文庫はありますか？ちなみに内容は同じですよね？

回答

夏目漱石などの明治大正期の文豪の作品を文庫で読む場合、江戸期以前の古典と異なり底本が異なるということはまずありません。ただ出版社の方針によって内容も変わる部分があります。もっとも明確なのは新潮文庫と岩波文庫の違いです。

新潮文庫の場合、原文の旧字旧仮名遣いを、編集部独自の校訂によって新字新仮名遣いに置き換えています。一方、岩波文庫は原文に忠実に旧字旧仮名遣いのままです。また新潮文庫は読みやすさ重視で本文の注釈も最低限。一方、岩波文庫には詳細な注釈が付いています。ですから小説として読むなら新潮文庫が読み易く、原典を忠実に味わいたいなら岩波文庫が適している、ということになります。

角川文庫は新潮文庫寄りで、講談社文芸文庫は岩波文庫とはちょっと異なりますが、作家への研究色が強い編集方針です。解説を書いているのも、それぞれの編集方針に沿った方になっています。

また本を読む上で気になる読みやすさですが、新潮文庫はリュウミンっぽい細めのフォントで、字面小さめ、行間狭めです。このため版面が引き締まっていて、読書する上での緊張感が維持しやすいです。一方、岩波文庫は秀英明朝体を使っており、フォントに力があります。このため岩波文庫の組版はいかにも格調高く見えます。

講談社文芸文庫はフォントは新潮文庫に似ていますが、字面大きめ、行間広めの組版で、じっくり読むのに向いた体裁になっています。

以上のことから、夏目漱石や森鴎外を初めて、ないし久しぶりに読むのであれば、僕は読みやすさの観点から新潮文庫をオススメします。読んで時代背景や出てくる地名などを詳しく知りたくなったり、原文の味わいを忠実に味わいたくなったら岩波文庫ないし講談社文芸文庫を買い足すというアプローチでいいんじゃないですか？読み慣れない旧字旧仮名遣いだと挫折するおそれもありますから。