チームみらい全体の政策にはとても共感しているのですが、子育て支援に関して少し懸念がありますので、共有させてください。

質問

2025年07月15日　回答

以前も質問させていただいた30代前半の者です。

チームみらい全体の政策にはとても共感しているのですが、子育て支援に関して少し懸念がありますので、共有させてください。

所得税の定率減税を軸にした政策は、中間層（年収750万円前後）を中心とした支援だと理解していますが、定率減税の性質上、どうしても所得が高い人の方が恩恵を受けやすくなります。その点、上限設定などで一定の配慮はされていると思いますが、所得税をほとんど払っていない若年層や非正規雇用の方には、恩恵が届きにくいのではと感じています。

また、少子化の原因は「結婚しても子どもを持たない」だけでなく、「結婚そのものができない」層の増加も大きいと思います。
所得の低い若年層が婚活市場からも外れてしまっている中で、支援が中間層以上に偏ると、かえって若者の結婚・出産意欲を削いでしまうのではないでしょうか？

さらに、仮にこの政策が実行に移されるとしても、その頃には今の中間層は子育てを終えている可能性もあり、結果として後手後手の支援になってしまうのでは…という不安もあります。

このような視点について、りおぽんさんはどうお考えになりますか？

回答

この文章を読むと、無理矢理アラ探しをしているようにしか読めませんでした。定率減税に反対しているわけではなく、減税政策にも恩恵を被れない貧困層を救えってお話しですよね。所得税を払っていない人が、減税策で救われないのは当たり前の話じゃないですか？

もし本当にこの層を速攻で救うなら、①生活保護をじゃぶじゃぶに支給する、②負の所得税を創設する、③最低賃金を大幅に引き上げるーーといった対策が考えられると思います。いずれも子育て支援というよりは貧困対策ですね。そして問題はこれには莫大な予算が必要だということです。

これまた簡単にこの原資を捻出したいのであれば、①社会保険料を高所得者層ほど引き上げて、所得上限をさらに引き上げる、②所得税を大幅に引き上げる(低所得者は所得税をほとんど払っていないんですから問題ありません)、③法人税を引き上げる、④金融所得課税を大幅に強化する、⑤高率の富裕税を創設する、⑤その他、国民負担率を現在の50%弱から70%ぐらいに引き上げて富の再分配を徹底するーーこんなところでしょうか。

別にやってもいいかなという政策もありますが、皆さんは賛成できるでしょうか？これは冗談ではなく、若い貧困層を支持基盤にしている参政党は、金融所得課税の強化や企業の利益を株主ではなく従業員に分配することなど、これに類する政策を訴えているわけです。面白いことに最低賃金と生活保護の関係を見直して働かない方が儲かる仕組みを変えることも訴えているんですが。

このように若い貧困層を即座に救えという政策は、しっかり働いて稼いでいる現役世代及び富裕層から富の再分配、富の移転をするものにならざるえません。一見良い政策のようでいて、働く人のやる気を損ない、企業のやる気を損ない、富裕層のキャピタルフライトを引き起こします。

この手の政策をやった近年の事例では、東西ドイツの合併後、貧しい旧東ドイツ民を救うために手厚い支援策をやったドイツがあります。この政策の結果、西ドイツ時代は高成長を遂げていたのが一変、1990年代のドイツは、国民はやる気を失い、企業は他のEU諸国に逃げ、「欧州の病人」と言われるまでに落ち込みました。

このように、貧困層を給付金などで安易に救うのは、利点より弊害の方がはるかに多いんです。こんな話、この手のことに関心がある人には常識ですから、子育て支援策として持ち出されないのも当然です。

貧困層を救うには、10年単位で当の救われる貧困層から不人気になる政策を地道に進めて社会構造から変革するしかありません。これが1990年代後半からの10年余のドイツにできたことであり、それを真似た日本の小泉純一郎ー竹中平蔵ができなかったことだと思います。今なおツイッター民には闇雲に竹中平蔵氏が憎まれているように、本当の意味での貧困層の救済は汚名を着る覚悟で進める政策であり、実際にやれるのは十分な勢力を持つ与党だけです。これをチームみらいに今望むのはないものねだりもいいところでしょう。