最近の日本でのインフレについてご教授ください。｜東大ぱふぇっとの米国株投資ブログ

質問

2025年05月21日　回答

最近の日本でのインフレについてご教授ください。
金融緩和、金利差からくるドル安、コロナの時のサプライチェーンの問題、ロシアとウクライナの戦争など様々な要因があったとおもうのですが、ドル円も140円から150円の間から動かなくなり落ち着いていると思っています。インフレの大きな要因の為替は落ち着いたので、そろそろ落ち着いてもいいのではと思うのですが、なかなか落ち着かないのはなぜなのでしょうか。為替以外で大きな要因は何でしょうか。
このままだと、政策金利を上げない限りはやはりインフレは落ち着かないのでしょうか。

回答

ドル安は円安の間違いですよね。為替レートの修正がインフレ抑制に寄与するまで、3ヶ月ぐらいのタイムラグがありますから、おそらくドル円が10円ぐらい円高に振れたことは7月ぐらいの統計から寄与してくると見ています。ただ購買力平価で計算したあるべきドル円の水準は1ドル130円以下です。為替レートの修正はまだ十分とは言えないです。

それには政策金利の引き下げと若干の金融引き締めという痛みを伴う政策変更が欠かせないと思います。何しろ国家あげての内需喚起で金利を引き下げている中国でさえ5年ものの金利は1.5%程度なのに日本は1.0%。金利を引き上げることに警戒感は確かにありますが、今のままでは日本経済は人工呼吸器を付けないと生きていけない経済になってしまいます。

他に指摘点があるとすれば、少子高齢化による労働力不足のインパクトは見過ごせないですね。特に物流コストや建築コストに跳ね返っていて、物価を押し上げています。この対策が難しい。誰でも思いつくのは移民の受け入れの大幅拡大ですが、国として十分に準備した上でやらないと大混乱を引き起こします。

就労意欲はあっても家庭に閉じこもっている人が女性を中心に400万人ぐらいいるので、どうやって労働市場に引っ張り出してくるかですね。不足が著しい看護師さんなんて、働いていない看護師資格を持った方の就労を支援できれば一発で解決なんじゃないですか。

これに加えて制度的なインフレも無視は出来ませんね。これほど構造改革を進めることでしょうが、下手なやり方でやるとかえって副作用に苦しむのが構造改革です。やり方をよくよく練らないと。日本社会は赤字の中小企業や零細事業者が山ほどあって、それを互助する構造になっています。そんな彼らを救済する制度が張りめぐされていて、それが物価を高止まりさせる要因になっています。これを打破しないと。

ただこれらは圧倒的な国民の支持を集める本格政権でないと実行は不可能でしょうね。