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投資法・投資哲学

FANG+に集中投資してきました。このまま続けるべきか、S&P500やオルカンに切り替えるべきか不安になっています。

質問

2025年03月01日 回答

りおぽんさん、いつも貴重な情報をありがとうございます。
私はシングルマザーで、子供の教育費や生活費のやりくりが厳しい中、なんとか将来のためにNISA口座でコツコツ投資を続けています。
今は毎月の塾代を捻出するのも精一杯ですが、15年後、息子が『医学部に行きたい』と言ったときに、学費を出してあげられるようにと考え、FANG+に集中投資してきました。
しかし、最近の市場の変調を見ると、このまま続けるべきか、それともS&P500やオルカンに切り替えるべきか不安になっています。
将来のために、どのような投資戦略が最適でしょうか?ご助言いただけると本当に助かります。

回答

15年後にどのインデックス投資のパフォーマンスが良いのか分かるのは神さまだけです。当然、僕には分かりません。ただインデックス投資では、自分が何に投資しているのか、見極めが甘くなりがちです。これについては説明できます。

まず「S&P500」というのは、米国の代表的な約500銘柄を、時価総額加重平均で算出したS&P500インデックスをベンチマークにしています。500銘柄もあるので好調な銘柄も不調な銘柄もありますが、テクノロジーや金融から一般消費財、公益事業まで全11セクターに満遍なく配分されています。日経平均のように値がさ株の影響を受けることはあまりありませんが、時価総額加重平均なので、時価総額の大きい銘柄、つまりFANGの値動きの影響を受けやすくはあります。

しかしS&P500はもっとも代表的な米国の株価指数ですので、これをベンチマークにした商品に投資することは、米国株に投資することとニアリーイコールになります。ですから格別良いパフォーマンスになることはなく、米国株の市場平均のパフォーマンスが得られることになります。

「オールカントリー(オルカン)」は米国株に欧州株、日本株、インドや台湾などの新興国株への投資もミックスさせたものです。ただしオルカンといっても米国株の比率が65-66%程度ありますし、現在の運用で組み入れ比率が1%を超えるのは、マグニフィセント7の8銘柄とAVGO、TSMCなので、テクノロジー株のインパクトを強く受けます。

基準価額に与えるインパクトを分析しても、圧倒的に強いのは米国株式で、次いで為替レート。日本株式や新興国株式のインパクトはほんのスパイス程度なので、パフォーマンスはS&P500とたいして変わらず、為替レートの影響の方をより重視するべきだと見ます。

S&P500以上に分散効果を効かせているので、思考停止で保有するには安全性が高いと言えますが、分散を効かせ過ぎているが故、パフォーマンスという点ではS&P500にも劣後する可能性があります。特に景気後退局面では、日本株や新興国株というのは米国株に劣後しやすいからです。パフォーマンスを追求するという点では賢い選択だとは僕は思いません。

「FANG+」は以上2つとはまったく異なる投資になります。FANG+はニューヨーク証券取引所が2017年から算出している株価指数ですが、銘柄数は10で、分散効果はほとんど効いていません。現時点で選ばれているのはAMZN、AAPL、MSFTなど、TSLAを除くマグニフィセント7の6銘柄と、NFLX、NOW、CRWD、AVGOです。

3ヵ月ごとに採用銘柄の見直しが行われますが、採用基準は時価総額や流動性などで、事実上テクノロジーセクターの大型グロース株から選ばれると見られます。ですから各採用銘柄のパフォーマンスの影響をS&P500よりはるかに受けやすいですし、テクノロジーセクターが不調だと、FANG+も不調になりやすいです。

それが現在起きていることで、ここ1ヵ月ほどのパフォーマンスは−6.65%と低迷しています。しかしテクノロジーセクターのグロース株に投資する以上、これは許容すべきリスクです。FANG+はその構成上、S&P500よりずっと個別株投資に近いです。

FANG+が不調だったことは過去にもあり、2022年は一時25%近い下落をしています。それでも5年間の騰落率は285.05%で、3つのなかでもっともハイパフォーマンスでした。

これが今後15年後にも同様のことが起きる保証はどこにもありません。ただS&P500よりリスクを取る分、ハイリターンを狙えます。そういう指数です。四半期ごとに採用銘柄が入れ替わりますので、パフォーマンスを予想することは困難で、おそらく3月でもいくつかの銘柄が入れ替わることが予想されます。

米国株の市場平均を取る安全策を取るのであれば、S&P500連動のインデックス投資でしょうし、市場平均では物足りない、リスクを取ってもハイリターンを狙いたいというのであれば、FANG+という選択があり得ます。ただ目先のパフォーマンスで15年先の長期投資の投資判断をウロウロ変えるのは、損をする投資家の思考パターンだと思います。

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