町内会長とかでしたでしょうか？これはなんの為にやっておるのでしょうか？

僕が現在住んでいるところは、里山をデベロッパーが切り開いてできた郊外の住宅街です。僕は事情があってこの里山の権利者の1人であり、開拓後、自分の土地を提供した見返りに1.5haほどの土地を持つ地主になりました。現在住んでいる家は、その一部に建てたものです

こうして成立した街なんですが、この結果、2種類の住民が出来ました。1つは農家などとして昔から住んでいた人たちです。里山の元権利者もやはり居て、多くが地主です。もう1つは新しく移り住んで来た方たちです。一戸建てを建てて住み始めた方もいれば、マンションを購入されて入居された方も数多くいます。

街が成立した当初、町内会の主な役職は旧住人である地主たちが務めるのが慣例でした。多くが農家のおじいちゃんか古くからある商店のおじいちゃんです。

しかし街がどんどん発展して、新住人がどんどん増えるとともに、この旧住人と新住人の意識の齟齬、考え方の違いが目立ってきてしまいました。対立と言ってもいいかもしれません。新住人の多くはベッドタウンとして住んで、旦那さんは都内に仕事に行って、奥さまは一部共働きがいる方は専業主婦です。ほとんどが大学卒です。

一方、旧住人には大学卒はほとんどおらず、非常に保守的な考え方をする方が多かったんです。この旧住人主体の町内会運営に新住人からの不満が非常に募りました。

現在8000人ほどが住む町内ですが、旧住人は数%しかいません。そういう意味で新住人が町内会長をやるのが適切と言えます。しかし過去の経緯があります。そして町内にある小学校の土地や公園の土地、そして町内会館の建物なども、旧住人の寄付によってできています。ですから旧住人の「自分たちのもの」という権利意識も非常に強い。

この対立の結果、出てきた折衷案が、僕が町内会長に就くことだったわけです。僕は街がデベロッパーによって開発される前から里山の権利を持っていた地主層ではある。デベロッパーとの折衝を通じて地主間の信頼もある。

しかし一方、新しく移り住んで来た人間であり、メンタリティも新住人である。こうして緩衝材として僕が町内会長に就任、旧住人の町内会幹部は相談役などの名誉職に退いてもらいました。

僕が就任する際、町内会の組織を非常に強固に作ったので、多くのことは各部会長と副会長たちのところで処理されています。僕がやることはさほど多くはありません(それが就任の条件でした)。僕は月1回の定例会合に出席するほか、

①市役所や区役所の職員との折衝、町内会の要望実現
②市議や区議、地元選出議員との折衝、彼らに町内会のために働いてもらう
③警察署や小中学校など、その他行政との折衝
④さまざまな権利調整
⑤民生児童委員の依頼と行政への推薦
⑥町内会の予算案の原案作成
⑦町内会費の管理と運用先専任、銀行など取引先の選任
⑧防犯防災体制の企画立案
⑨街の長期計画の立案と、その年度計画への落とし込み
⑩住民間トラブルの仲裁

こんなことをやってきました。ただ今春、大学に復職することに伴って、町内会長を退任します。後任には新住人からバランスが取れた方を推しています。旧住人と新住人の融和も進んだので、やるべきことはもう終わったのかなという気持ちです。