大原美術館のコレクションに関してお気に入りのものがありましたらお聞きしたいです。

大原美術館と言えば、僕にはまずギュスターブ・モローのどこか妖しい「雅歌」、そしてアルプスの透明な空気を点描画法で描き切ったジョヴァンニ・セガンティーニの「アルプスの真昼」ですね。なんでこの2枚が日本に流れついて来たのか。

それにエドガー・ドガの「赤い衣装をつけた3人の踊り子」とパウル・クレーの「燭台」という見飽きない1枚、それにアルベルト・ジャコメッティの貴重な女性の彫刻「ヴェニスの女1」を観に行くために、僕は大原に向かいます。

あの観光客で溢れる大原美術館で維持に苦労しているというニュースを聞いた時(たぶんコロナ禍の影響だったかと思っていますが、ビックリしたものです。いかに美術館の維持が大変なのか痛感しました。

日本の美術館はコレクションを手放すことを恥と考えますが、いざとなったらコレクションの一部を売って生き延びるのもアリではないでしょうか？ジャコメッティの彫刻を観に大原に来ている人はほとんどいないでしょうが、昨今のジャコメッティの価格を考えれば、大原の「ヴェニスの女1」は数十億円、サザビーズなどのオークショニアに出せば3桁億円の値が付くかもしれません。

それで維持費を捻出するとともに、新しいコレクションの購入資金に充てる。それも一つの在り方です。美術館は生き物です。