日本、コストプッシュインフレかと思いきや実質賃金がマイナスなのでスタグフレーション入りでしょうか…

数字の見方が誤っています。名目賃金は35ヶ月連続の増加、今月も前年対比で3.0%増でした。ですから景気は悪くはない。スタグフレーションとは現状では言えない。ところが円安ドル高インパクトが大きく影響して、名目賃金増加率をインフレ率が上回って4ヶ月連続で実質賃金が減少する、という事態に至っているわけです。

いま必要なのはインフレをもう少し抑えることで、そのためには輸入物価高によるコストプッシュインフレを抑えることが必要。それにはドル円を今の158円前後から10円は下げたい。

悔やまれるのは昨年7月の日銀の利上げを円安ドル高の転換点に出来なかったことですね。７月上旬には161円まで進行した円安は、為替介入と日銀利上げで8月5日には一気に144円ほどまで戻す。しかし同日に起こった急激な株安に慌てて、その後の利上げを見送ってしまう。

9月には一時141円まで円高に振れるものの、植田日銀は利上げしてこないと舐め切った、ヘッジファンドなどの海外の為替投機勢が円売りで、その後はまた円安基調に戻してしまった。そのため質の悪いコストプッシュインフレが発生、名目賃金の伸びをインフレ亢進が上回っている。

トランプ新大統領の経済政策は、おおむねドル高方向のインパクトがあると見ています。もしこの上、原油高になるようなイベントがあれば、日本はスタグフレーション入りで終了します。

今の日本は目先の痛みにあまりに弱く、長期的な利益を狙えない。植田日銀がちゃんと利上げという刀を抜く、とわかれば海外投機勢も野放図な円売りは出来なくなりますから、そうすれば140円台にドル円は戻ってインフレも少しはおさまる。

市場と対話しながらちゃんと利上げして諸外国と金利水準を合わせて行けば、日本はまだ大丈夫なんじゃないですか？