ストラディバリウスの音色は違うものなのでしょうか。

状態の良いストラディバリの張りがあって深みのある朗々とした音色は、やっぱり違うんですよね。モダンヴァイオリンにも現代ヴァイオリンにもとても良いものはあります。ただ、比べてしまうと違うんです。あれはなんなんだろう。エージングの働きとかもあるんでしょうか。古い楽器にはやはり良いものがあります。僕の腕前でさえ、100万円ぐらいのチェロとオールドイタリアンのチェロとでは、別次元の音がします。

良いヴァイオリンは良く鳴ります。例えばヴァイオリンコンチェルトでソリストが良いヴァイオリンを弾くと、その音だけが一際鮮やかに聴こえるということがよくあります。その点でストラディバリは極め付けですから、ヴァイオリニストが良いストラディバリを見かけたら、家を売ってでも手に入れようとする気持ちはわかります。

ただ、古い楽器ですから、状態はさまざまです。世界には現在、約600本のストラディバリがあると言われていますが、そのすべてが良いわけではないです。これは実際に試奏してみないとわからないです。ワインとちょっと似ています。

楽器はほんと千差万別なんです。我が家にはスタインウェイとベーゼンドルファーという2台のグランドピアノがありますが、どちらのピアノも評価が高いものですが、同じ妻が同じ曲を弾いても2台は全然別の音色がします。ヴァイオリン本体が良いものでも、弓がそれに相応しいものでなかったら、良く鳴らないです。コンディションも重要。なかなか奥が深い世界なんです。