『華麗なる一族』や『白い巨塔』等の人間の思惑が絡み合う小説が好きです。

うーーん、自分の一族があーである僕は、あれを笑って読めないんだよ😅。実際のところ、あれを上回っているしな😅。「りおぽん家の一族」だと、ふつーに総理大臣も地方新聞社や地銀の社長一族も県議会のボスも旧華族も旧陸軍将校も登場するんだよな🤣。しかも絶賛没落中🤣🤣🤣。

それはさておき、好みかどうかはわからないけど、この手のものなら三島由紀夫だろうな。三島由紀夫もやっぱり自分ちが華麗なる一族だから、その一員である相剋を生涯抱えて生きた。その集大成とも言えるのが「豊穣の海」全4巻。山崎豊子も古い大阪の昆布屋の生まれだけど、本質的には記者として取材し、それを脚色して小説に仕上げた人。その点、三島の作品には、中の人間ならではのねちっこさ、陰湿なぬめり感がある。三島ではもう1作、戯曲だけど「朱雀家の滅亡」かな。

三島由紀夫では一族ものではないけれど、「青の時代」や「愛の渇き」と言った初期長編に妖しい雰囲気がある。

こういう話を書かせたらもう1人、谷崎潤一郎。やっぱり「細雪」だろうな、まずは。しかし三島も谷崎も、山崎豊子みたいに居心地の良い小説にはしてくれていないから、感性が耐えられるかどうか。

その意味では同じ山崎豊子の「不毛地帯」や「大地の子」「白い巨塔」は一族ものとは言い難いけれど、読みやすいはず。

「大河小説」ではまったくない、基本は推理小説だけど、中井英夫「虚無への供物」、小栗虫太郎「黒死館殺人事件」、久生十蘭「魔都」あたりのペダントリーはたまらんって、これは回答ではなく、僕のタダの趣味だな😅。

最近のものでは「檜垣澤家の炎上」(永沢恵美)あたりが一族ものの路線を狙っていた。この路線では「赤朽葉家の伝説」(桜庭一郎)もある。いずれもミステリー、少女文学としては良いんだけど、中にいた人間感はなかったな。どうしても絵空事。

最近入手出来るのかどうかだけど、「楡家の人々」(北杜夫)はあり。

でも日本における一族ものの原点は、「源氏物語」じゃないか。そして歴史小説であれば、一族ものはたくさんある。古くは「阿部一族」(森鴎外)。最近ものでは一族ものと言えるかどうかだけど「捨て童子・松平忠輝」(隆慶一郎)は面白い。一代記だけど同一著者の「
一夢庵風流記」。りおぽんのご先祖さまがけちょんけちょんに書かれているけど😅。

「生きて候」(安倍龍太郎)の主人公、本多正重もそうだけど、加賀藩って、徳川家譜代の本多正信の次男を筆頭家老の家に据えたり、地元の戦国武将を家老家に取り込むかと思えば、前田利家の甥は米沢の上杉家、直江兼続の元に出奔する。代々、徳川将軍家からお姫さまを押し付けられそうになるかと思えば、殿さまの子は有力家臣に嫁がせる。

そして明治維新後には加賀藩主の前田家は侯爵に叙せられるんだけど、家の職員が160人という殿さま並みの生活を続ける。家臣も10家が男爵に叙爵されるんだけど、彼らも旧殿さまの家に出入りしてその生活を助けて、前田家奉公会なんて組織があった。尾張徳川家、薩摩島津家あたりとともに、日本の華麗なる一族の題材として面白い素材。誰か書かないかな。そんときは協力するから、ちょっとはご先祖さまをかっこよく描いてくれ🤣。

世界に目を転ずれば、中国古典の「紅楼夢」は長かったけれど、最高。もう一冊、映画で有名な「ゴッドファーザー」(マリオ・プーゾ)

「チボー家の人々」(マルタン・デュ・ガール)や「失われた時を求めて」(マルセル・プルースト)も思いついたけれど、日本の今の若い人が読んで面白い小説ではないな。おおそうだ、「百年の孤独」(ガルシア・マルケス)があるじゃないか。これはオススメ。

でも本当に「犬神家の一族」にいると、結構つらいぞ🤣。僕は父方の実家の集まりで、物心付いてから母とも父とも同席したことがない。幼稚園児が1人で男たちの部屋の末席で控えていた。それでキチンと座っていると、周囲から「かたい子」(行儀の良い子、賢い子の意)と褒められるのを知った。