ポジションのうち、20%は現金だったと記憶してますが、ポジションを80%持つのは、一年のうちどのくらいの期間ですか？

20%というのはポジションの話ではなく、アセットアロケーションの話です。資産全体の20%は流動性が高い現預金及びその等価物に配分、このウェイトはほぼ変えません。

それとは別に、有価証券投資用に割り当てている資金というものがあります。これは大きいものから①ドル建て資金、②ユーロ建て資金、③円建て資金ーーがあります。この他、香港の証券会社の口座であれば香港ドルで資金を管理していて、これを中国やアジア圏の投資に充てています。台湾の証券会社には台湾ドルです。

これらの資金を実際の株式購入にどれぐらい充てるか、都度調整しているわけです。①-③については最少で10%程度、最大で60%程度キャッシュ化することで動かしています。現金0%にするフルポジは基本的にやらず、現金余力は残しておきます。

ただ正確に言えば、相場下落を予想してキャッシュ60%まで引き上げるような場合、ドル建てや円建て資金では、実際にはその20-30%ほどの資金を株式のショート(空売り)に充てていたりします。

僕はドル建て資金を米国の銀行の預金口座に預金してある部分が大きいので、それ以外でも、現金でただ眠らせておくのはムダなので、ある程度の期間で株価低迷が続くと見た場合、CD(Certificate of Deposit=譲渡性預金)や米国社債(米国国債よりスプレッドが十分あるBaa2格付けぐらいの社債。年利7-10%ぐらい)などで短期運用させたりする場合があります。これは円建てでも同様で、さらにソーシャルレンディングなど多様な運用をしています。ボーッと現金で持っているわけではありません。

またドル建て資金と円建て資金では、別口でデリバティブ用資金というものが設けてあります。株価の大きな調整を予測した場合、これらの資金はヘッジとして、あらかじめ決めておいた限度いっぱいで指数先物をショートしていたり、プットオプション買いを軸にしたオプション戦略(例えばプロテクティブプット戦略)をやっていたりします。

この場合、株式現物は下落を跨ぐと決めた銘柄ばかりになっているので、下落で損切りする可能性は極めて低いです。ですから予想通りに相場が下落してくれれば、株式ショートと先物ショート、それにプット買いのトリプルで実現益の爆益が出る仕組みです。ただこれはとても初心者さんにオススメできるものではありません。

どれぐらいの期間、株式投資資金のキャッシュ比率が高いのかというのは、年によってもまったく違いますし、各資金によっても違うので、一概には言えません。円建て資金やドル建て資金は大きめに操作していますが、下落の発生が予想される回数が年によって違うので、それに依存します。

今年であれば、2-3月にキャッシュ比率を上げて4月後半から5月に投入、7月に上げて8月5日に投入、10月上旬-中旬に上げる操作をしています。例えば10月後半については、10月上旬ぐらいに「10月末の下落を想定」とポストしたため、たくさんの質問をいただきました。相場予測については回答しないことに決めたので、回答はしませんでしたが、僕自身は当然、下落に備えた準備を進めていました。これで増えたキャッシュを11月5日前後にフル投入したわけです。