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黄金比はそんなに昔から意識されていたのでしょうか。

質問

黄金比の説明をするときにモナリザが使われることも多いと思うのですが黄金比はそんなに昔から意識されていたのでしょうか。
ここがこんな感じで黄金螺旋になっていますよ!とか言われても黄金螺旋の大きさがバラバラで「そんなこと言ったらどんな写真や絵画でもどこかしらに黄金螺旋見つけることができるんじゃないの?」なんて思ってしまいます。白銀比、白金比、青銅比とかも考えると、もうなんでもありなの?ってか感じです。
りおぽんさんは構図におけるこれらの説についてはどんなお考えですか?

回答

「黄金比」的なものが発案されたのは古代ギリシャ時代の話ですから、以来、陰に陽に、黄金比は意識されていたと思います。ただ、建築に比べて絵画での応用はさほど多くない気がします。レオナルドの「モナリザ」をもって黄金比の代表とする方もいますが、あれは本当のところはわからないんですよね。「モナリザ」の素晴らしさを説明するために、後世の評論家が後付けでした解説であるような気が僕はしています。

ちなみに「ミロのヴィーナス」も「ピラミッド」も「パリ凱旋門」も黄金比を使った作品と言われていますから、「素晴らしい作品だ。きっと何か秘密があるに違いない→なるほど、それは黄金比か」という思考回路なんじゃないかな。「モナリザ」のあちらこちらを計測していけば、黄金比や黄金螺旋は見つかるでしょう。

「黄金比」という言葉を初めて使ったのは「オームの法則」で知られるゲオルグ・オームの弟の数学者、マルティン・オームです。1835年に出版された「初等純粋数学」が初出とされているので、「黄金比」という言葉自体の歴史は比較的浅いんです。だから回答の冒頭でギリシャ時代に発案されたのが「黄金比的なもの」と表現しました。それまでは「神聖なる比」などと呼ばれていました。ユークリッドが「原論」の中で「外中比」という言葉で黄金比らしきものを定義しています。

19世紀中盤以降、「黄金比」という言葉が人口に膾炙するようになって、過去の名美術品の中の「黄金比探し」が始まったというのが僕の理解です。もちろん現在ではインダストリアルデザインなどで黄金比が強く意識されているのは、ご承知のとおりです。

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