ダイヤモンド半導体ってすごいんですか？

めちゃくちゃ凄いです。現在のシリコン半導体や窒化ガリウム半導体に比べて、耐電圧性や耐放射線性、耐高温性で優れ、放熱性も良いです。これはパワー半導体に革命を起こします。高速で高周波数の動作が可能になりますから、量子コンピュータへの応用に期待が高まります。ダイヤモンド半導体が量産化されれば、EVや次世代の高速通信で利用される半導体はダイヤモンド半導体に置き換わるでしょう。そして耐放射線性に優れているということは、宇宙空間でも安定的に動作するということです。

というわけで市場は無限大ですから、みんなダイヤモンド半導体の研究開発でしのぎを削っているわけです。ダイヤモンド半導体開発の難所である「ドーピング」と「パッシヴェーション」で大きなブレイクスルーを起こせれば、ノーベル物理学賞は確実だと思います。

実はダイヤモンド半導体の研究で一番先行しているのは日本なんです。海外勢が軒並み失敗する中で、高品質のダイヤモンド薄膜の合成に成功したのも日本なら、世界初のダイヤモンド半導体パワー回路の開発に成功したのも日本です。ダイヤモンド半導体を日本が先駆けて実用化できれば、現在の半導体業界の勢力地図はガラッと変わるでしょう。基礎的な特許を抑えれば、もう誰も逆らえません。日本が半導体産業で巻き返しを図りたいのであれば、些細な微細化で争っている既存半導体産業の誘致に大金を使うより、ダイヤモンド半導体の研究開発に、国家をあげて可能な限りのヒト・モノ・カネを注ぎ込むべき、というのが僕の持論です。