りおぽんさん家のじいややばあやは、どういった方々だったかご存じですか。

もう半世紀以上前の話ですから、奉公先を探す人がいて、口入れ屋さんと俗にいう人材斡旋業者がいました。その紹介だと聞いています。ばあや、と言ってもおばあさんではなく僕の幼少時で40代の女性でしたが、彼女は集団就職で青森県の大鰐村というところから上京してきたと聞いています。独身だった理由は知りません。当時はそういうものだと考えていました。

じいやは不思議な人で、なんでも器用にこなす人でしたが、昔話を聞こうとしてもニコニコはぐらかされたので、どういう出自の人だったか、結局わかりませんでした。

女中さんたちはすべて口入れ屋さんの紹介だと思います。運転手さんはもともと祖父の会社で働いていた人でした。

後は書生さんがいましたが、これは祖父が仕事で関係が深かった東北地方出身で、東大や早大に進んだ苦学生の中で、祖父が将来有望と見込んだ学生を住まわせたものです。衣食住はただになりますし、授業料などは祖父が負担したと聞くので、一種の私的奨学金制度のようなものでした。