どうしてプラチナアクセサリーがゴールドアクセサリーより高いのでしょうか？

質問

どうして金よりプラチナの方が安いのに、プラチナアクセサリーはゴールドアクセサリーより高いか同じくらいの価格なのでしょうか。気分ですか？

回答

プラチナ価格と金価格の見通しについては過去何回か回答しているから、それを見てね。その上でプラチナジュエリーが金ジュエリーより高い理由を考察してみる。

①日本だけが特殊
みんなジュエリーの素材って、金とプラチナ、それに銀があると思っているでしょ。特に高価なジュエリーの素材は金とプラチナの2択になる。でもこの現象は日本だけなんだよ。海外ではまず金がある。プラチナはずっと離れている。

そもそも欧米諸国でプラチナジュエリーが広まった歴史は100年ちょっとしかない。欧州の王家に伝わるプラチナジュエリーってないでしょ。プラチナ価格が金価格より高かった理由も、自動車のディーゼルエンジンなどでの工業用途が多かったからで、ジュエリー用途が多かったからではありません。これがフォルクスワーゲンショックで逆転してから、プラチナ価格は金価格より安いままです。プラチナが資産運用用途のジュエリーとして重視されていなかったことは、プラチナの純度を示す国際的な表示が定まっていないことでも伺えます。

しかし100年ちょっと前に、女性がジュエリーを身にまとう文化が、西欧から金とプラチナ一緒に入って来た日本だけは事情が異なるんです。特に金ピカを嫌う日本人の美意識にはプラチナがよく合った。僕もマリッジリングの素材はプラチナにしました。

日本では人気がある。だから過去に高い価格で売ってきたのを日本のジュエリーショップはあえて下げる理由がない。作り手やお店にとって、利益率が高い金属として機能しているんでしょう。

②日本ではプラチナの純度表示が信用できる

過去の回答でも触れていますが、海外のプラチナ製品の純度表示はややこしくて整備されていません。東南アジアのジュエリーショップなどで、プラチナ製品とプラチナメッキ製品を選り分けるのは意外に困難です。この純度表示が信じ切れないことが、プラチナが資産運用の手段として利用されることを阻害してきたと、僕は見ています。

しかし日本においては、我らが造幣局が、プラチナの品位証明を金などとほぼ同等に行ってくれているんです。ですから日本ではプラチナジュエリーを安心して購入できます。プラチナはインゴットなどでの流通もないし、各国中央銀行も外貨準備として備蓄もしません。ですから資産運用手段として世界的に見れば金に大きく劣後しますが、日本では資産運用手段足り得るんです。

③金より純度が高い

これは非常にシンプルな理由ですが、金のジュエリーで一般的に使われるK18の金の含有比率は75%以上です。K24であればこれが99.9%になりますが、ジュエリーとして利用するにはちょっと柔らか過ぎるという難点があります。

一方、プラチナジュエリーは、先ほどの造幣局の基準では、最低でも85%からです。90%、95%、99.9%と細かい品位証明が、造幣局のホールマークでは行われています。少なくともK18の金ジュエリーよりは品位が高い理屈です。

日本ではプラチナの人気が高く、公的な品位証明が信用できて、金より高品位でもある。ですから日本では金より高く売れるので、ジュエリーショップでも安心して金ジュエリーより高い価格設定をしているんでしょう。