質問
日本は子供に優しい国とは言えないのでしょうか?
海外がどうなのかわからないので、
客観的にどうなのか教えてください。
回答
これは比較対象と何を重視して評価するか次第。米国のUS Newsとペンシルバニア大学ウォートン校が毎年「子育てをしやすい国ランキング」というものを、主に先進・中進諸国を中心に大規模な調査を87国でやってランキングを発表している。それによれば、日本は昨年20位。87国の下には、子育てに優しくするどころではない、数多の開発途上国がある。
だから「世界の中で見れば」、日本は「子育てしやすい国」、すなわち「子どもに優しい国」と評価せざるを得ない。日本よりランクが上の国には、トップのスウェーデンなど高福祉の北欧諸国やドイツ、ベネルクス3国、ドイツ、スイス、カナダ、ニュージーランドやオーストラリアなんかが例年並ぶ。日本は米国とほぼ同レベル。
だから「子育てしやすい国」の方ではあるんだけど、この調査項目をよく見ると、日本のランクが上位国に及ばない理由が明確になってくる。
日本の評価が高いのは「治安の良さ」「公教育の充実」「公衆衛生の充実」あたり。この辺が100点満点で60点以上で評価を引っ張っている。
一方、点数が異常に低いのが「男女の平等」で、何と10点にも満たない。この他「収入の平等」「(国民の)幸福度」「人権への配慮」のスコアが低いのが、日本が20位に甘んじている理由。男女平等と経済的にみんなで平等に不幸になっている現状を変えないと、このランクは上がらない。かつて低かった「家族への優しさ」はスコアが上昇中だけどね。
面白いのはジェフリーズが調査している「子育てにかかる費用ランキング」で、これはGDP比で子育てにかかる費用をランキングしたもの。費用がかかる国でワンツーフィニッシュを決めたのは、もちろん中国と韓国。これに子育てへの公的支援が極めて低くて、「子育てするとフェラーリ1台かかる」と悪名高いイタリアが3位にランクイン。
このランキングでも日本は米国やドイツとどっちつかずの14カ国中中位置グループ。子どもに優しいとは言えないけれど、冷たいとまでは言えない。
この手の調査は他の調査機関でもやっているんだけど、おおむね「治安の良さ」「公教育の充実」が高ポイント。アッシャーアンドリリックの調査では、足を引っ張ったのは「父親が子どもと過ごす時間」の少なさ。
そして国連の一機関が毎年調査している「世界幸福度報告」のランキング。これは子どもに絞ったものではないし、主観的な項目が多い調査だけれど、日本はだいたい60位前後を推移している。2012年には40位ぐらいだったのが、緩やかに不幸になっている。先進諸国では相当、幸福度が低い。ランクは気にする必要がないと思うけれど、問題は下がって行くベクトル。
日本は少子化が進んでいるわけだから、米国と同レベルで満足していたら、少子化は進むばかりだぜ。これらの調査結果を見れば、僕があえて説明しなくても、日本の課題、取るべき対策はみんなにも見えてくるんじゃない?
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