豊田商事会長の事件を初めて知ったんですが、こんな映像が流れた事に驚きです。

質問

豊田商事会長刺殺事件を初めて知ったんですが、こんな映像が流れた事に驚きです。りおぽんさんはテレビ局にも新聞社にもいらした様なので当時の事を知っていれば言える範囲で教えてほしいです。

回答

僕は社会部記者でも当時大阪にいたわけでもないので、特別なことは何も知りません。ただこの現場に居合わせていた記者に後で聞いた話では、報道関係者は当初、みんな「なんだ、なんだ」と思っていたら、あれよあれよという間に目の前で犯行に及んでしまったそうです。不謹慎な喩えかもしれませんが、野球なんかで「お見合い」でフライを取り損ねることがあるじゃないですか。報道関係者はあの瞬間、みんなでお見合いして、一種の思考停止状態になっていたんだと推測しています。

当時、豊田商事は何万人もの被害者を出す悪徳商法で追及されていて、この日は永野会長が逮捕される絵を撮りにテレビ局が詰めかけていました。これは当時、社会的な大問題になっていたので、当初は逮捕に際してちょっと揉め事が起こるのは仕方ない、永野会長が殴られるぐらいなら、むしろ絵になると少しの間、傍観していた感じです。テレビ局の人間って絵になるかならないかっていうのは、どうしても頭の中にこびりついてしまっているんです。

そうしたら犯行に及んでいたので、それはそれでカメラを回し続けるしかなくなっていた、と言っていました。ただ刺殺するシーン自体を直接撮った局はなかったんじゃないでしょうか。事件は室内で起こったので。確か永野会長が血だらけで搬送されるシーンが各局で撮影されていたと思います。

うちの局ではニュース番組の冒頭で、ニュースキャスターが、「今日はお子さまには刺激の強い映像がありますので、お子さまのいるご家庭ではご注意ください」といったようなおことわりを入れたと記憶しています。海外のニュースでは、カメラを回していて殺人事件が起こるのは、ない話ではないんですが、日本でこの手の事件が起こるのは極めて異例でしたね。