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ブルーカラー人材が不足していると言われていますが、どの程度深刻な問題だと考えていらっしゃいますか?

質問

ブルーカラー人材が不足していると言われていますが、りおぽんさんはこの問題をどの程度深刻な問題だと考えていらっしゃいますか?また、どのような対策が有効だと思われますか?ご意見を伺いたいです。

給料を上げられて、待遇改善が進めば解決できそうなものですが、建築資材高騰の影響も含むものの昨今の不動産価格の値上がりと日本人の平均所得の水準を考えると、これ以上に価格転嫁して人材の待遇を改善していくことは難しいようにも思います。(実需層は夫婦でのペアローンが主流という話さえ耳にします。2人でもダメなら、となると子供を働きに出す産業革命期みたいなことに、、、とは流石にならないと思うのです)

その一方で、そもそも日本は人口が減少してきており、そもそも建築の需要は減っていくのが筋だと思いますし、都心でもこれ以上に爆発的な開発が行われるような地域は残っていないように思えるので、それほど危惧するような問題なのだろうか?という気持ちもあります。

まとめると、
ブルーカラーの人材不足は、上記の値上げが難しい構造から解決し難い深刻な問題なのか、はたまた人口減少による需要減で次第に改善されるような一時的なものなのか、についての、りおぽんさんの考えと、りおぽんさんの考える解決策をお聞きしたいです。

漠然とした質問で申し訳ございません。

回答

まず「建設現場作業員=ブルーカラー」ではないですよ。工場の現場で働く人、トラック運転手や配送業者、整備工など「工」が付く人、港湾労働者など、「自分の肉体を使ってお金を稼ぐ人」がブルーカラーです。これが「自分の頭を使ってお金を稼ぐ人」であるホワイトカラーとの対比になります。ただ営業とかサービス業のように頭脳労働も肉体労働も半々にやる層もありますので、この層をグレーカラーと呼んだりもします。

ブルーカラー労働者の特徴は、若い時の収入がけっこう良いことです。大工さんとか下手な事務労働者の何倍もの収入があったりします。やっすーい給料で働いているホワイトカラーより自分の肉体を使って働いているセールスドライバーの方がよっぽど高収入です。

しかしブルーカラーは自分の肉体を使って収入を得ている以上、年を取っても生産性が上がるどころか、むしろ低下するという大きな弱点があります。このためブルーカラー労働者をまとめるマネージャーとして事実上のホワイトカラー化していくか、よっぽど代替が効かない熟練工になっていかない限り、収入が上がっていかない構造です。大工の棟梁は高収入ですが、あれは自分の抱える職人だけでなく、いろんな職種の作業員を現場でまとめなければならないので、実際はマネジメント職でしょう。

ではこのブルーカラー労働者が今後日本で増えていくのかどうかですが、日本人ではそれは困難だと思います。上司にちょっと怒られたり、ちょっと失敗すると凹んで立ち直れない現代の多くの日本人の若者に、ブルーカラー労働者として働き、さらにはそれで成功しろっていうのはムリです。

ブルーカラー、それにグレイカラーには旺盛な求人募集があるんですが、成り手が少なく、どんどん外国人労働者が進出している現状です。そして現代の若者は自分に適性があるのかどうか無関係に、みんなホワイトカラーを目指しています。

言っておきますがブルーカラーやグレーカラー労働者の収入は悪くありませんよ。建築費高騰に触れられていますから、建築現場で言えば、まったくの未経験者はそりゃ安いです。でもその労賃もどんどん上がっているんです。

例えば大工さんの平均年収は450万円超と言われており、近年どんどん上昇する傾向にあります。日本のサラリーマンの平均年収とほぼ同じかそれをちょっと上回ります。特に熟練した大工さん、現場を仕切れる大工さんは貴重なので引くて数多です。貴重ですので、大工さんを雇う側はどんどん福利厚生も手厚くしようとする傾向にあります。

鳶職や佐官といった職業も同様です。これらも経験が浅い人が多くなるケースが多いので、統計的には平均年収が低めに出ますが、熟練工であればけっこうな収入になります。そして労賃はどんどん上昇する傾向にあり、これが資材価格とともに昨今の住宅建設費の高騰、ひいては住宅価格の高騰の一因になっているわけです。

一番簡単な労働賃金の決定理論は「労働需要供給曲線」ですが、需要は高いのに供給(成り手)が少ないんですから、そりゃ「均衡賃金」は上昇して行きます。しかも上がっても成り手が増えない。外国人労働者がなっていなければ、均衡賃金はもっと上昇していたと思います。

もうちょっと複雑な賃金の決定理論に「ミンサー型賃金関数」というものがあります。職業訓練を含めた教育の投資効果や勤続年数が人的資本を蓄積させる結果、賃金を向上させるという労働経済学の理論です。この理論はけっこうややこしいので詳細は省きますが、大工さんや鳶職さんは高卒など比較的低学歴層が多く、職業訓練コストもかかっていないんですが、その割には賃金が高い。つまり賃金プレミアムがある職業なんです。勤続年数による上昇効果は低いんですが。

この「ミンサー型賃金関数」は昨今いろいろな労働賃金の研究に応用されていて興味深いんですが、例えば日本で「博士課程」に進むことは、投資リターンが極めて低く、理系に至っては修士課程から博士課程に進むと、投資リターンはマイナス、まったくプレミアムがないという調査結果が出ています。

日本においては博士課程に進むのは、労働賃金という観点で見れば見合わないというわけです。まだ大規模な調査が行われていないので正確なことは言えないんですが、これまでの調査結果を見る限り、大学院に進んで大きく投資効果が見込めるのは、経営大学院に進んでMBAを取得した場合ぐらいということに落ち着きそうだと見ています。

話を元に戻してブルーカラー労働者の成り手がいないことが問題かと言えば、僕は多少労賃を上げたからといって、日本の若者の就業者は増えないだろうし、それでかまわないと考えています。労働生産性が低く、今後はロボット化などによって徐々に代替されていくことが見込まれているからです。ただロボットで代替できない一部の熟練工や現場監督などのマネジメント層だけは育成する。後は必要であれば外国人労働者に就業してもらうのが合理的でしょう。

日本は少子高齢化が進んでおり、その少ない子どもを労働生産性が低く、ミンサー型賃金関数で見て賃金年数によるプレミアムが低いブルーカラー労働者に誘引しようと考えるのは理屈に合っていません。それは人口が急増して若い労働者が余っている国の労働者に委ねる国際水平分業をするべきです。

僕としてはむしろ問題なのは先ほど触れた大学院進学者、特に理系の博士課程進学者の教育投資リターンがマイナスであるなんていう状況です。これはぜったい改善しなくてはなりません。

少子化が進む日本において、労働集約型産業に人を割り当てて行ったら日本はどんどん沈んでいきます。頭脳集約型の産業に特化させて行き、IP、つまり知的財産(特許権や著作権、芸術や文化などの創造物、営業や技術的ノウハウ)を生み出すことに集中して行って、それを世界各国に売る「知財立国」で日本は生き延びるべき、というのが僕の持論です。

これなら少子化でも他国に劣後しませんし、例えば重要な特許を確立してしまえば、後は左うちわで他国からお金が入ってきます。半導体産業で言えば、僕らはもう工場を抱えてどんどん設備投資をするTSMCやSamusungと戦うのはムリだから、半導体の設計図を作って他社に売るARMやファブレスのNvidia、あるいはその周辺で稼ぐSynopsisを目指せっていうわけです。

「ものづくり大国日本の復権」とか「製造業の復権」とか言って、そこにお金をかけるという政策を聞くとアホかと僕は思いますね。だって人がいないんですもん。そりゃムリですよ。人手がかかるビジネスに力点をおくべきではないです。

研究開発力を上げてパテントを売る。著作権を売れるようなコンテンツの創造に力を入れる。複雑なノウハウを確立してその販売で儲ける。これが今後の日本が生きるべき道だと思います。

ところが何と、その前提になる「教育コストをかけた場合の投資リターン」が、博士課程進学者や修士課程進学者に対する初期的な調査ではプレミアムがない、あるいは理系の博士課程進学者に至ってはマイナスなんですよ。

それじゃあ他国を上回る研究開発力や技術開発力を付けるのも、高度な教育を受けた人間が他国に売れるほどのノウハウを構築するのもムリというものです。僕はこの「高度な教育を受けさせることに対する賃金関数で見た投資リターン」が日本においてはプレミアムがないことに、深い懸念を持ち、憂慮しています。これは国策として、早急に手を打たなければならない喫緊のテーマなんじゃないでしょうか。

ですから僕は質問のブルーカラー労働者の人手不足についてはやむおえないし、そう大きな問題とは考えていません。深刻な問題は、知財の研究開発従事者の労働条件の改善でしょう。

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