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都庁と言えば丸の内と新宿、どちらでしょうか?

質問

東京都庁と言えば新宿を思い浮かべますが、その前は丸の内にあったんですね。
私は40代なので丸の内時代もTVニュースで見たんじゃないかと思いますが
まったく記憶にありません・・・。
りおぽんさんにとって都庁と言えば丸の内と新宿、どちらでしょうか?
仕事などで訪れることもありましたか?

丸の内の跡地は東京国際フォーラムになったそうですが、
名前は聞けどもイマイチ何に利用されているのか馴染みのない施設です。
コンベンションセンターと言えばビッグサイト、幕張メッセ、パシフィコ横浜のほうが
色々イベントをやっていて、何となく馴染みがあります。

回答

僕にとってはどっちもなんだよな。丸の内庁舎は古すぎるって言うんで都庁舎の建て替えが議論され始めたのは、あの美濃部都知事時代。この時から丸の内庁舎をぶっ壊して、そこに新たな高層庁舎を建てるか、新宿の再開発地に移転するかという長い議論が始まった。新しいことをやろうとすれば反対する人が出てくるのは必然で、新宿移転が決定するまで、都職員の大勢は「新宿なんかに移転しては、日本の中心部から離れるから、仕事にならない」だったと記憶している。

でも今は東京国際フォーラムが都庁舎跡地とされているけれど、実際には手狭だったので、山手線の外側、いわゆる八重洲側にも施設を借りて、運用していたと記憶している。そっちに用事があると、東京駅と有楽町駅間の幅広い鉄道路線のガード下を潜っていく羽目になった。薄暗いし、なんか水は滴って来るしで、これでは東京都政にはもう無理だよな、と思った。

ただ美濃部時代に議論が始まったものの、美濃部時代の都財政は苦しく、都庁舎の移転どころではなかったんじゃないかな。ここで懐かしい話をすると、僕が記者になったばかりの20代前半、なぜか新宿区役所に広い記者クラブがあった。でも常駐しているのは社会部の記者数人でガラガラ。だからここに登録しておいて、仕事をサボりたい時、この記者クラブに行って、昼寝をしたりしていた。新宿区役所の方々、ごめんなさい🙇。もうこんなのはムリだよね😅。

さて鈴木俊一都知事が都財政を立て直して、いよいよ新宿移転を決定したのが、僕が20代半ばの話。本決まりになると、今度は誰が設計して、どこが建設を受注するかで大競争になった。この取材には僕は無関係だったけれど、都政担当はものすごく大変だった。

建築家としては、丹下健三だとか磯崎新、前川國男事務所に日建設計など、高層建築に腕に覚えがある日本を代表する建築家が集合した。これ以外でも、黒川紀章や槇文彦といった日本を代表する建築家がいろんな形でアプローチし、これを芦原義信や菊竹清訓といったこれまた大御所たちが審査委員会を開くという、日本の建築史に残る大騒ぎになった。

投票の結果、ご存知のように丹下健三が勝ち取るんだけれど、鈴木俊一都知事と丹下健三さんは1970年の大阪万博以来の仲だから、なんらかの忖度があったんではないのかと勘ぐる向きも多かった。特に丹下健三の弟子である磯崎新だけ、さして高層建築ではない案を出したので、こっちの方がいいんじゃないのか、という声も強かった。いずれにしても、師弟の真っ向対決になったので、マスコミが騒ぐネタには事欠かなかった。

しかしそういう声を押し切るように話は進んで、丹下健三案をもとに施工会社のJVが組まれる。このJVでも熊谷組や戸田建設が中核になったけれど、鹿島、清水、大成なんかがぜんぶ落ちたので、これは経済部的にちょっと話題になった。でも確か1988年に着工して、1991年に竣工しているはず。あれだけの建物がわずか3年で建設されたから、竣工当時は記者仲間で「相当な突貫工事をやったんじゃないのか?いつか傾くんじゃないのか」なんて笑い話をしていたもの。

記者には早大文系の出身者が多いから、母校の理工学部にまつわる「大久保キャンパス(今の西早稲田キャンパス)の理工学部の校舎の建物は傾いているので、責任を取って建築学科が最上階に入っている」という伝説を披露、「都庁舎も最上階がどうなるのか注目だぜ」なんてくだらない飲み話をしていた。この飲みの席に早大理工の建築を出て幕張メッセの建築にも携わったような僕の友人が同席していて、一生懸命にそれを否定していたけど🤣。

東京国際フォーラムの方は国際コンペが開催されて、ラファエル・ヴィニオリっていうウルグアイ人で、ニューヨークで活動する建築家がこのコンペで勝って、これも話題になった。ヴィニオリの他の建築物を見ると、ガラスを多用するのが好きな建築家みたいだね。なんかの要件で調べた時、あれは「船」をモチーフにしているんだと知った。確かに言われてみれば大型客船みたいな形をしているんじゃない。いずれにせよ、あの廃墟みたいだった東京都庁第一庁舎が生まれ変わったのは確か。建物の良し悪しにはいろんな意見があるけれど。

国際展示場としての規模はそりゃ幕張メッセや有明の東京ビッグサイトにはぜんぜん敵わない。

ただ幕張メッセはむちゃくちゃ遠い気がするんだよ。フルに展示会場が使われている大規模な展示会を観に行くと、もう疲れて大変。僕はあそこで開催されたシンポジウムのゲストスピーカーを何度もやっているけれど、行きか帰りのどっちかは主催者に言って、近隣のホテルで一泊させてもらっていた。まあ、ホテルに泊まって夜は近所の千葉マリンスタジアムに行き、ガラガラの3塁側内野席に座ってのんびりビールを飲みながら野球観戦するのも悪くなかったけれど、とにかく「ちょっと行ってくる」という場所ではなかった。展示ならまだしも会議に使う場所ではない。

東京ビッグサイトについては、その前の晴海にあった「東京国際見本市会場」、通称「晴海」から始めなきゃいけないよね。あそこは展示場自体が古臭かったけれど、それ以上に地獄だったのは、会場への足だった。イベントが開催されると、東京駅や有楽町駅からバスが運行されたんだけど、大規模イベントになれば、そんなもので間に合うわけがない。バスを待つ長蛇の列にウンザリした。もちろん僕らは行きはタクシーで行けるんだけれど、晴海じゃ帰りのタクシーなんてつかまらない。タクシー乗り場も長蛇の列。

晴海には日比谷の松本楼が入っていたから、僕は閉場ギリギリまでそこで粘り、それで外に出ても混雑していたら、近所にあったショボいホテルのレストランに場所を移した。最後の最後に銀座まで歩いたこともあった。

それで有明ができて少しはマシになるかと思ったんだけど、当初、鉄道であそこに行くには足が2つ。一つはゆりかもめに乗る手なんだけれど、大きなイベントだと殺人的な混み具合になる。その上、お台場にあるホテルの客がデカい荷物を持ってくるから、さらに混沌の度合いが増した。

そこで鉄道で現実的なのは東京高速鉄道のりんかい線ということになるんだけど、有明ができた当時には新木場駅と東京テレポート駅の間でしか開業していなかった。ということで鉄道内はガラガラだったけれど、このルートだと有楽町線か京葉線で新木場駅まで出て、りんかい線に乗って国際展示場駅まで戻るしかなかった。地図で見れば分かるけれど、これは三角形の二辺を行くどころじゃないムダだらけ。

東京駅なんかからバスという手もあったんだけど、これもめちゃくちゃ混むし、時間もかかる。結局、タクシーで行くことになった。ビッグサイトができた当時には周囲はなーーんもなかったから、海風がひとしお身に染みた。有明が良かったのは晴海よりはレストランが充実していたことで、やっぱり日比谷の松本楼あたりで飯でも食いながら、そこで仕事をすることになった。

もうここまで来ると気分はハイになっていて、遊覧気分で水上バスに乗って、日の出桟橋まで出て、浜松町駅に出るまでに力尽きて、飲み屋に入ることもしばしばだった😅。

えーーい、思いっきり昔の愚痴になっちゃったじゃないか🤣。

その点、東京国際フォーラムは、展示場として中途半端、会議場として中途半端、コンサート会場としては音響が悪いんだけれど、とにかく「ちょっと行ってくる」で行ける足の良さが魅力だった。ビックカメラにも寄れるしね。だからこっちでなんか一席話せと言われた時、東京国際フォーラムなら断る理由がなかった。

僕は幕張メッセや東京ビッグサイトは、行く必要がどうしてもある時だけ行った。面倒くさくなって行かなかった場合も多い。一方、東京国際フォーラムはヒマなら覗きに行った。

コミケみたいな放っておいても客がたくさん来るイベントなら、東京ビッグサイトか幕張メッセだけど、動員が難しいイベントであれば、東京国際フォーラムの存在意義があると思うよ。特に大手町から日比谷にかけてオフィスがある大企業のビジネスパーソンを、こういう具合に呼べるかどうかの差は大きい。それとイベントを観て帰る客はともかく、来場者と商談するなら大小30室ぐらい会議室もある。なんなら近くのホテルでも打ち合わせできたしね。

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