大阪の新世界で将棋をされた事はありますか？

若気の至りで1回だけ行ったことがあります。僕はこの辺の地理に詳しくないので、阪教天出身の京大生だった友人に案内してもらい、友人数人で「坂田三吉の故郷を見てやるぞ」と乗り込みました。行ったのは、ジャンジャン横丁の「王将倶楽部」と「三桂クラブ」です。そこでなかなかディープな将棋体験をしました。

もう40年以上昔のことですから、今はもう変わっているでしょうが、当時は奥の方の席にヌシみたいな強い方がいらっしゃいました。その方に手合いを付けてもらおうとすると、「にいちゃん、真剣ならやるで」という返事。真剣(賭け将棋)は当時、東京の将棋クラブでも、新宿の三桂クラブとかでよくあったので驚きませんでしたが、その後が大変でした。

皆さん、番外戦術を使うんですね。タバコを吸って息をこっちに吹きかけてくるぐらいは可愛いものでした。僕は当時、そのクラブで強豪だった人とも対戦したんですが、徐々に観戦する人が増えて来ました。それがみんなあっちの応援で、いわゆる完全アウエーでした。そして当時は真剣でもチェスクロを必ずしも借りなかったので、形勢が悪くなると、相手は長考に沈んで、いっこうに指さないんですね。確かにそれなら負けません。

こっちはいつまでもいるわけには行かないので、これには参りました。ほぼ必勝になった形勢の将棋を、「すいません、引き分けにしませんか」と申し込むと、仕方ないからそうしてやるかという返事。これではどっちが勝っていたか、まったくわかりませんでした。いやはやこれがディープな新世界の将棋クラブかと良い体験をさせてもらいました。

もちろんその後は、その阪教天の友人の案内で、ディープな新世界の世界を満喫しました。なかなか思い出深いです。