もし、これから農家に転身するとしたら、日本の何処で何を作りますか？

あらどちらでしょうか。僕は大田と千住の青果市場に勤めている知人がいます。

その上で僕がもし農家をやるなら、申し訳ないですが①市場を通さず、直販やネット通販できるもの、②新品種がどんどん作れて、消費者の目先が変えやすいもの、③贈答品需要があるもの、④付加価値の付けやすいもの、⑤儲かる土地で農家になることーー以上の5条件で農家をやります。

果物だったら、桃、ブドウ、メロン、桜桃、野菜であれば、トマト、ナス、枝豆、ホワイトアスパラガス、ブランドにんにく、エシャロットのような希少性がある野菜、京野菜のように地域性やブランド力が高いもの、ということになります。

メロン農家は平均年収が少ないことで有名ですが、ブランド力を上げて、これを直販で売れば、年収が1億円近い農家もある果物です。桃やブドウの農家はやっている友人がいるんですが、次々と新しい品種を手がけていて、出来るだけ付加価値が高いものを栽培するのが大変みたいです。しかし僕は彼の農園で作ったものは味に間違いがなく、あんまり市場に出回っていないので希少性もあるので、お使い物として、例年大量に注文しています。

彼に聞いたところ、こうして直販でちゃんとお客さんが付くと、農協や市場を通して売るのとでは利益率の桁が違うそうです。それに市場を通すとまるっと「山梨県産の◯◯というブドウ」になってしまいますが、直販になれば「◯◯農園の◯◯ブドウ」として売れるので、売り値を自分で決められますし、それでブランド力が上がって固定客が付けば、儲かりやすくなりますからね。実際、彼の年収は数千万円あると聞いています。もう一つ、イチゴも魅力的なんですが、あれは腰が辛いので却下しました😅。

野菜もおんなじ理屈です。大根で儲けるのは困難ですが、ブランド性が高いトマトやナス、美味しい枝豆であれば、直販出来ます。昨今は冷凍の枝豆が出回っていますが、冷凍にされる枝豆では商売としてあんまり面白味がありません。僕は枝豆が好きなんですが、冷凍枝豆は不味いので食べる気がしません。

お取り寄せしているのは、山形鶴岡の「だだっちゃ豆」、津軽の「毛豆」、丹波篠山の「黒大豆」、京丹波の「紫ずきん」、新潟黒埼の「黒埼茶豆」といったところなんですが、この中には農家と契約しておかないと、市場経由では入手困難なものがあります。お値段もずっと高いですから、これを農協や市場抜きで売れば儲かると思います。今は神奈川県の三浦半島の数軒の農家が栽培しているという「はねっ娘」という枝豆をチェック中です。

エシャロットや紫アスパラガス、ホワイトアスパラガスなどは、フレンチやイタリアンでの需要は高いのに、手掛ける日本の農家がまだ少ないので、需給バランスが良いからです。こういう野菜は他にもあります。京野菜のようにブランド力と特定の販路や直販も出来るものなら、経営努力次第でナンボでもなります。

漫然と大根やじゃがいもを栽培して、これを農協を経由して市場に卸す商売は、儲かるわけがないので、やりたくありません。

とまあ偉そうに書きましたが、農家の皆さんが大変な努力をされているのに、天変地異や病害虫でそれがぜんぶ台無しになることがあるのも承知しているので、農家はあんまりやりたくはないです。

僕は現在、お庭に梨や桃、梅、杏、花梨、柿、栗、オリーブ、キウイフルーツ、マタタビ、柘榴、みかん、レモン、ベルガモット、カボス、ゆず、金柑、ハスカップ、枇杷、ラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリー、イチジク、アケビ、ムベ、パッションフルーツなどを栽培しています。そこそこ美味しい実がなるものもありますが、食べて「うぇ、これは不味い」と思うものもあります。近所にお裾分けできるのは梨と梅、柿、レモン、キウイ、枇杷で、後は自家消費できる程度です。

家政婦さんが庭の一角でハーブを育てていて、イタリアンパセリ、パセリ、各種ミント、アーティチョーク、カモミール、セージ、ステビア、チコリ、チャービル、バジル、チャイブ、ポリジ、フェンネル、タイム、ディルなんかを栽培しています。これらには夕食に出てくるものもあります。

またジャスミンやアロエが勝手に増えているので、これをジャスミン茶にしたり、食べたりしています。薔薇の花びらでローズティーも作っています。イングリッシュガーデンではラベンダーやローズマリーがどんどん大きくなりました。大きな山椒の木もあります。家政婦さんもジャム作りに余念がありません。

趣味でやっていると、これらを栽培することは本当に楽しいです。その上で言うと、農家をやるのは大変そうなので、やりたくはありません。