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勉強法

りおぽんさんのように経済や経営に広く知識をつけたいと思っているのですが、大学、学科選びに参考にできることがあれば教えてほしいです。

質問

関東在住の高校生です。
りおぽんさんのように経済や経営に広く知識をつけたいと思っているのですが、大学、学科選びに参考にできることがあれば教えてほしいです。
模試成績は東大はわかりませんが、早慶は受かる見込みがある程度です。

回答

「高校まで」と「大学から」は、発想を根本的に切り替えた方がいいでしょう。高校まではカリキュラムがあり、生徒は授業に出て、勉強をさせられます。生徒がするのは、この授業に出て予習復習をすることで、自由度がありません。

昨今はあまり勉強の習慣がない学生を受け入れている大学ではこの高校方式で学生のカリキュラムを組んでいるところもあるようです。でもこれは本質的に言えば大学教育ではありません。高校でやり残したことの補習です。

あるレベル以上の大学に行けば、やるべきことは「学生自身が決める」のが原則です。もちろん大きな枠はあって、経済学を学びたいなら「経済学部」、経営学を学びたいなら「経営学部」ということになります。

また「必修科目」と言って必ず選択しなければならない科目もあります。ただこれはどの大学でも、大学1-2年次にはその学問の基礎を学ぶため比較的ありますが、大学3-4年次にはあまりなくなります。年次が進むに従って、学生は自分が学びたいものを学び、研究するのが、本来の大学教育です。大学の先生がするのは「授業」ではなく「講義」です。そしてそれがいつしか「共同研究」になります。

僕は大学時代、この「学ぶことの自由」を最大限に活用して、謳歌しました。

僕は経済学部の学生で、最終的に専攻したのは「数理経済学」というものです。これは単純に言うと数学的な手法を使って経済を分析しようとするものです。僕が大学3年以降主たる研究対象にしたのは、このうち当時の日本ではまだほとんど知られていなかった「不均衡動学」というものでした。

通常の古典派経済学は「神の見えざる手」といって、市場が自由に放っておくとうまくいくことを前提に理論を組み立てます。不均衡動学を高校生の方にわかりやすく言えば、この逆に、経済ではインフレや失業、不況は「起こるもの」と考えて理論を組み立てるものです。僕がこれをやった1980年代初頭は「市場は放っておけばうまくいく」という主張が圧倒的に強く、特にノーベル経済学賞も受賞したミルトン・フリードマンをはじめとするマネタリズムではそれが顕著でした。

幸い、僕が学んだ当時、このフリードマンでさえその批判を恐れたとされ、宿敵とも言われた先生が東大にいました。大変厳しい先生でしたが、僕は幸いこの先生の薫陶を得ることが出来ました。そして僕はこの先生の指導のもとで、不均衡動学に関する論文を卒論として書いています。不均衡動学はその後長らく理論経済学にあっては日陰の学問、傍流の理論でしたが、僕が研究してから約30年後のリーマンショックで、市場の均衡を信じていた古典派経済学の前提が崩れて、経済学者がみんなが呆然としていた時、ほぼ唯一、このリーマンショックを説明し得た経済理論だったので、一躍注目されることになります。大学の学問の研究では、こういうこともままあります。

じつは僕が教わった先生のゼミでは、経済学の研究者になる人が圧倒的に多く、出身者には現在の日本を代表する経済学者になっている方が何人もいます。海外の有名な大学の教授になっている先輩もいます。僕も先生から研究の道に進むことを期待されていたので、テレビ局の記者になることを報告に行ったら「不祥の弟子だな」と笑われました。でも社会的な問題にも積極的に関わった先生だったので、励ましてもいただきました。

でも僕が大学生の時にやったのは経済学だけではありません。自分の興味関心に従って、何を学んでも許されるのが大学というものです。例えば僕は「映画論」も東大で学んだし、「西洋美術史」の講義も先生の特別許可を得て講義に顔を出しています。どちらかの先生も、その分野では日本を代表する先生でした。

そして大学内にとどまっていたわけでもないです。政治学と社会学に関する研究会に属して幹事をやっていたんですが、これでいろんな他大学の先生を招いて、研究会を催しました。日本の大学にはやる気のない学生の方がはるかに多いので、やる気のある学生だと思うと、当代の一流の先生であっても、喜んで来てくれるものなんです。

例えば、国際政治学は早大政経学部教授で、後に戦後初めて私立大の教授から東大の教授になった鴨武彦先生、平和研究は後に大阪大学教授で日本平和学会の会長になる馬場伸也先生に研究会に参加していただきました。馬場先生は当時、津田塾大学の教授でしたが、「僕の政治学を真面目に聞いてくれる女子大生なんていないんだよ」と苦笑され、「君たちが来てくれたら張り合いも出る」とおっしゃったので、僕は津田塾大学まで出向いて女子大生に混じって講義も受けました。

経済学でも僕は東大の先生だけでなく、一橋大や慶大の先生の講義に出張っています。これは先生の許可を得ないとダメなんですが、ちゃんと申し出れば、断られた経験はあまりありません。

そして僕と同世代であれば、たぶん驚かれる経験を僕はしています。高校生ではご存知かどうかわかりませんが、丸山眞男先生という方がいらっしゃいます。戦後の思想史研究を代表する先生であり、日本の政治学や戦後の思想の巨人の1人です。東大のアカデミズムを代表される方だったので、全共闘の学生の標的になり、研究書を踏みにじる学生の姿に失望されて、学園紛争の時に東大教授を早期退職され、ご自宅で研究三昧の日々を過ごされるようになりました。

僕らはこの丸山眞男先生が書かれた「現代政治の思想と行動」「日本政治思想史研究」という代表作を1年かけて読み込んで来たので、「これは僕らの解釈でいいのか、一度丸山先生に講義していただこう」ということになりました。そこで僕ら幹事が丸山先生のご自宅にうかがって、研究会に来て講義していただけないか、お願いしました。

丸山先生の回答はこうでした。「私はもう大学を退官しているから、講義の仕事はやっていない。しかし若い諸君との共同研究であれば、喜んで参加しよう」。日本の戦後思想を代表する1人にして「丸山思想史学」とも言われ、数々の政治学者を「丸山学派」として生み出した丸山眞男先生でさえ、場合によっては「共同研究」に応じていただける。これが「大学」というものです。結局、有志が吉祥寺にあった丸山先生のご自宅にご都合のいい時にうかがって、約1年教えていただいたんですが、先生と会話するのはまさに至福でした。あの甲高い声が今も脳裏に焼き付いています。

でも、以上のような話はすべての学生が経験しているわけではありません。自分から行動しなければ、何も与えてもらえないのも、大学というものです。先生はオムツを取り替えてはくれません。それが高校との決定的な違いです。

東大文科Ⅱ類には「犬の文Ⅱ」というありがたくない異名がかつて東大生の中にはありました。東大は1-2年は「リベラルアーツ主義」の思想のもと、全員がこの教養学部に属します。理Ⅰや理Ⅱ、文Ⅲのように、この教養学部時代の成績をもとに「進振り」があって、後期の専攻で行きたいところに行けるかどうかが決まるところはこの教養学部で頑張らないとならないし、専攻に進めば少人数なので、また頑張らないといけません。その点、文Ⅰは法学部、文Ⅱは経済学部、そして理Ⅲは医学部にだいたい進めます。まあ昨今は文Ⅱでも進降りが厳しくなっていると聞きますが。でも僕らの当時、この3つの類は、その気になれば教養学部時代は遊び放題だったんです。

こうして後期に進むわけですが、法学部に進んで公務員や司法試験を受験しようと思えば、勉強しなくてはなりません。医学部はいよいよ大変です。しかし経済学部というのは、単位を楽に取得しようとすれば楽に取得できる学部なんです。ゼミに入らなければ入らないでも済みます。法学部のように公務員や司法試験を受験する人は少なく、多くが民間企業へ就職する学部です。

でもって東大経済学部卒であれば、よほどのことがない限り、大企業には就職できるんですね。学部生は少ない割に欲しがる大企業は多いので、引くて数多です。僕の場合、東大でも有名な先生のゼミ生で、そのゼミの学生の多くが院に進みましたから、僕はレアポケモンみたいなものだったので、さらにすごかったんですが、そうでなくても経済学部を出ていれば、大企業に就職することはできます。

そうすると教養学部の2年で遊びまくり、経済学部の2年でも単位取得で楽をする学生も出てきたわけです。「犬レベルしか学習の習慣がない連中が多い」という揶揄で付けられたのが、「犬の文Ⅱ」というわけです。僕は高校3年間の勉強の総時間より、大学の1年間の学問に充てた時間の方が多かったので、極めて不本意な呼称でしたが。

というわけで、東大に行こうが、一橋に行こうが、早大に行こうが、慶應義塾に行こうが、4年間でいろいろ得ることができる学生もいる一方、テニスサークルなんかでコンパ、コンパの日々を送り、「そう言えば俺は大学で何をやったんだっけ」と悩む学生もいるのが、大学というものです。

ちなみに僕は大学4年間、経済学をやった他、先ほどの政治学の研究会に属し、外交官試験の勉強会に属し、アテネフランセに通ってフランス語を勉強して、映画の研究会に属して映画を年間200本は観て、将棋を指して学生強豪と言われ、友人が作ったお遊びテニスサークルで、女子大生を集めるための客寄せパンダをやりました。さすがにこのテニスサークルまではあんまり手が回らず幽霊部員でしたが。

その上で女の子たちとデートしまくり、銀座のホステスさんのマンションに転がり込んで同棲したり、文学部の女の子と同棲したりし、国内の鉄道旅行と海外旅行もしまくり、読書もしまくり、代議士の私設秘書のアルバイトをして、従姉妹のセレクトショップの店員をして、家庭教師のアルバイトもしました。僕は学生時代を振り返って、どうやってこれらの時間を捻出したのか、いつ寝ていたのか、自分でも不思議になることがあります。先日もちょっと回答しましたが、大学4年間でこれだけやれれば悔いはまったくありません。

最後に経済学と経営学に興味があるということなので、私見を書き添えておきます。いかに学生側にやる気があっても、やはりそれに応えてくれる相手がいないと話になりません。つまり「教授の質」「講義のレベル」は重要です。

その点で言うと、経済学でおすすめできるのは、首都圏であれば、東大経済学部、一橋大経済学部、慶應義塾大経済学部の3学部です。出身者の方には申し訳ないですが、まともに経済学が学べるのは、首都圏であればこの3学部だけです。早大政経学部経済学科はあまりオススメしません。

早大卒ならご存知の方も多いでしょうが、早大には昔から「学生一流、施設二流、教授三流」という言葉があります。早大関係者もこのことはよくご存知で、ここ20年ぐらい教授の質の向上に努めて来られました。国際教養学部のように、専攻がない学際的な学部ですが、集めた教授陣は若くてバリバリの一線級がいる学部もあります。しかし政経学部は看板学部だっただけに、この教授の質の向上では出遅れていると僕は評価しています。

細かい偏差値のことはわかりませんが、もし慶應義塾大経済学部と早大政経学部経済学科が同レベルというのであれば、教授の質は慶應義塾が数段上なので、早大に行くのは「経済学を学ぶ」という点ではパフォーマンスが悪いです。

その他の私大では、上智大や中央大あたりの経済学部で、運が良ければ経済学を教えてくれるか先生に出会えるかもしれません。ただ、現在の古典派経済学では数学が決定的な役割を果たす、感覚的には理系とも言える学問なので、先述の3大学の経済学部と、その他の経済学部でやっている講義の内容には、高校の数学の授業と小学校の算数の授業ぐらいの落差があります。

一方、経営学はまったく事情が異なります。まず微妙な問題として「経営学」と「商学」の問題があります。「商学」というのは研究する学問というより、ビジネスで役に立つ実学という要素が強く、「商学部」といっても教える内容はてんでんバラバラで、決まっていません。だいたい「マーケティング論」や「会計学」、「商法」などの経済法規や労働法規、簡単な「経済学の基礎」、これに「金融論」や「財政論」、「人材マネジメント論」や「商品を売る手法」、そして専攻科目として「外食産業論」「保険学」のような特定の産業の分析をする講座を設けて、「商学部」としているところが多いです。企業活動を「商業活動」として捉えているのがポイントです。ですから極めて実践的で、経済学でやる数式モデル化やゲーム理論のように、ある意味では知恵の遊びのような要素はまったくありません。

この「商学部」的な部分になると、東大はまったく使えません。そもそも商業学科はありませんから「東大経済学部経営学科」の一部教員が教えている程度です。商学部卒の方が目指す難関資格として「税理士」がありますが、このため東大卒の税理士は、実際問題としてかなり少ないと思います。僕は簿記を勉強をしたついでに税理士試験を受験して合格しましたが、これはかなり例外的だと思います。「公認会計士」も難関資格とされますが、合格者の出身大学も出身学部も幅広いことで有名な資格です。

商学部では当然ですが首都圏の国立大学なら前身が「東京商科大学」である一橋大商学部が圧倒的です。東大はその足元にも及びません。しかし商学部は伝統的に私学が強く、慶應義塾大、早大、明大、中央大、法政大などにも良い先生がいます。商学は学問というより勉強の要素が強いので、「一緒懸命に勉強して税理士や公認会計士など資格を取得することを目指す」というムードが強いと思います。

「経営学」は「商学」とも「経済学」とも一味違って、「経済活動のうちの企業活動だけに焦点を当てて深く研究する学問」というのが正確でしょう。ですから本質的には実学ではなく学問なんですが、分野的に実学的な要素も多分に含むという感じです。

「企業活動を研究する学問」ですから、次の4分野があります。①会計論、アカウンティング論、②組織論、マネジメント論、経営管理論、③金融論、ファイナンス論、④マーケティング論、経営戦略論ーー比べてみればわかるように「商学」とかぶる分野があります。ただ例えば同じマーケティング論でも、経営学の先生が教えるのは理論的なのに、商学の先生が教えるのは実践的という微妙な違いがある場合があります。

ちなみに僕は生粋の理論経済学畑の人間で、高等教育として経営学を学んだ経験はありません。それがなんで去年まで大学の経営学部や経営大学院の教授として講座を持てたのかというと、会社勤め時代の「経験」が買われたこと、そして会社勤め時代、それを米国の最新の経営学研究書で研究して、系統立てていたことが評価されたんだと思います。

僕が教えていたのは、「経営戦略論」の一分野である「M&A論」と「マーケティング論」の一分野である「ブランドマネジメント論」というものです。前者はわかるでしょうが、後者は日本でいうブランド物のことではなく、自分の会社の企業価値(ブランド価値)をどうやって最大化・最適化するか研究するものです。ですから扱う範囲は幅広く、ブランディング活動から特許や著作権などの知的財産の管理法などがあります。一部組織論とかぶる分野もあります。僕の講義分野をさらに細分化すると、「ブランディング戦略、特にブランドロイヤリティの向上戦略」というのが専門分野でした。

イメージができるように言えば、教え子が多く就職したのは、戦略コンサルのコンサル、投資銀行(IDB)のM&A担当部門、それに大企業の経営戦略部門です。経営大学院でしたから、学部学生からの進学者よりむしろ、こういった企業からの国内留学生の方が多かったです。大学学部ではここまで専門的ではなく、まるっと「経営戦略論」という講座を持っていました。

この「経営学」というのは古くて新しい学問です。「企業活動を研究する学問」という意味での経営学は昔からありました。しかしこの経営学に科学的な手法を持ち込み、さらに経済学や心理学、社会学、経済人類学などさまざまな学問の最新の研究成果を取り込んで再構成したのが、有名なピーター・ドラッカーです。「ドラッカー以後の経営学」を「現代経営学」と呼びます。ドラッカーの現代経営学が日本に紹介され始めたのは1960年代、有名な「マネジメント」という本が初訳されたのが1974年だったと思います。ですからまだ生まれてほやほやな学問なんです。アダム・スミスの「国富論」からでも250年の歴史がある経済学とはちょっと違うわけです。

ですから経営学を「経営学部」として教えている大学はまだあまり多くはありません。あっても出来てから新しい場合が多く、商学部で教えていた先生を横滑りさせただけの経営学部もあります。また前述の経営学の4分野をすべてちゃんとカバーしていない経営学部もあります。経営学には今現在の企業の実態に即して自分の理論を更新していく必要もあるんですが、これができている経営学部や経営学者は、残念ながら少数です。

以上の理由で「経営学部」が独立している大学は首都圏の国立大学ではまだ横浜国立大学あたりです。一橋大学でも「商学部」の一分野であり、東大では「経済学部経営学科」、早慶では「商学部」の一分野として、これを教えています。私学で「経営学部」を独立させているのは、むしろ明治大、青山学院大、法政大、「国際」が頭に付いていますが中央大といったところです。MARCHは伝統的に商学部が強いですから、その派生があると思います。

ただその品質はてんでんバラバラで、従来の商学教育とさして変わらず、これにちょっとして英語教育と企業研究を加えただけのところから、本格的に現代経営学を教えられる先生が揃っている大学もあります。もしこの辺も受験することを考えているのであれば、別途回答します。

立ち位置的に面白いのはむしろ東京理科大の経営学部です。僕はこの学部より経営大学院の方を知っているんですが、ここはレベルが割と高いです。分野によっては早慶の経営大学院に匹敵するんじゃないでしょうか。変に「商業部」の伝統を引っ張らず、科学的な現代経営学に吹っ切れているのが東京理科大の強みでしょう。学部レベルであれば、経営学をやるのに首都圏でオススメなのは、他に一橋大商学部です。この点で東大はたいしたことがありません。このためいまだにちゃんとした経営大学院を立ち上げるのには苦労していますし、大学院のマネジメント専攻の教授陣も手薄です。

なお、「商学」であれば会計学がわかる程度の数学の知識があれば、なんとかなります。ミクロ経済学やマクロ経済学の総論あたりを受講すれば関数は出てきますが、数式を見て理解出来れば十分です。後は統計学をやるかどうかですので、もはや文系と言うのもはばかられる数学の塊になっている理論経済学とはまったく異なります。

現代経営学はこの中間という感じです。経済学ほどには数学が必要ではありませんが、あるレベルで学ぼうとすれば、線形代数や微積分、微分方程式ぐらいは出来る必要があります。

また先述の通り、現代経営学はドラッカーがいろんな分野の学問を統合してしまいました。このため学ぶにはいろんな学問の知識が必要になっており、学際的にもなっています。ですから学部学生が学ぶにはちょっと手強くて、大学院で学ぶのがちょうど良いところがあります。

経営大学院で現在トップレベルなのは一橋大学だと思います。経営大学院の創設では出遅れましたが、商科大学の意地にかけて巻き直しました。次いで早大でしょうか。後は慶應義塾、東京理科大、グロービスあたりです。日本全国で言えば、名古屋商科大がトップレベルで、次いで神戸大、京大だと見ています。

でもはっきり言うと、日本で現代経営学について独自に研究して、自分で理論を構築できる先生はまだいません。米国の経営学は日進月歩なので、その最新の論文を追いかけて、その読んだものを学生に教えていると言うのが実情です。

ですからウチの娘のように、東大では経済学部で理論経済学を専攻したけれど、経営学についてはハーバード大の経営大学院に留学するというのは、割とあり得るコースです。米国の経営大学院では、娘もハーバードとどっちに行くか悩んだスタンフォード大やMITのほか、シカゴ大、コロンビア大、ペンシルバニア大、ノースウェスタン大、ダートマス大といったところの経営大学院の評価が高いです。

米国の経営大学院に留学するには、大学院の授業に付いていけると評価されるだけの英語力は当然必要ですし、いろいろ準備は必要なので、大学を卒業した年の秋から留学したいと思ったら、大学2年ぐらいの時に意思を固めて、大学3年にはその準備に取り掛かって指導教官とも相談しておく必要があります。

また米国の経営大学院は日本の受験のようにまるっと「定員150名」とするわけではなく、ダイバーシティ(多様性)を重視する傾向が強いので、例えば「日本人・女性」という属性に割り当てている人数に達してしまえば、成績は十分合格圏内でも不合格になることがしばしばあります。ですから行きたい大学院に必ず行けるとは限らず、娘のように同等レベルの経営大学院を複数受験しておくことになるわけです。

残念ながら経営学においては、日本はまだ開発途上国です。アジアであれば中国やシンガポールの経営大学院の方が進んだ講義をしています。もう日本にしがみつく時代でもないので、本格的に経営学を学びたかったら、海外留学を考えたほうがいいでしょう。

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