今後２、３年のM2の推移についてはどのように想定されておりますでしょう。

マネーストック(M2)の伸び率が今後1-2年のスパンで緩やかになることを想定しています。マネーストックの前提になるマネタリーベースの供給を、日銀がおそらく絞り気味に調節してくるであろうこと、当面は旺盛な資金需要があって、預金通貨が少なめになること、の2点からです。

マネーストックが増えれば、一般的に株式などの資産価格が上昇しますが、インフレも亢進します。現在の日銀の最重要課題はインフレ対策です。ですから資産価格の推移を見ながら慎重にやるでしょうけれど、マネーストックが増えすぎないように、マネタリーベースをじゃぶじゃぶにはしないはずです。

この傾向はすでに直近のM2の速報で現れています。4月、5月のM2、M3の伸び率は久方ぶりに市場予測を下回って15年ぶりぐらいの低い水準でした。インフレが収まるまでは、この傾向が続くんじゃないでしょうか。

2020年のコロナ禍対策で日銀は資金をじゃぶじゃぶに供給しましたが、2022年にかけてこれを緩やかに調節した記憶があります。これが2022年に株価が下落した１つの要因です。M2やM3の伸びが緩やかになり、場合によっては低い水準で停滞すれば、当然ですが資産価格が抑え込まれたり、下落することもあり得るかもしれません。

ただあんまりやり過ぎると、日本経済に与える負のインパクトが大きくなり過ぎます。植田日銀はM2、M3の伸び率や残高の速報値を月次でチェックしつつ、インフレ関連の経済指標の沈静化も睨みながら、マネタリーベースを調節するんじゃないでしょうか。ですから、その結果であるM2が大きく伸びる想定を、僕はしていません。

ただ3年後までは想定を持っていません。