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日本人の道徳観念は、かなり仏教の影響をうけていると思います。

質問

ほとんどの日本人は仏教徒だけど、信心深くありません。でも、日本人の道徳観念は、かなり仏教の影響をうけていると思います。信仰心は薄れたのに、そうなっているのは何か理由があるのでしょうか?

回答

「葬儀仏教」あるいは「葬式仏教」という表現は、別に僕が考えたものではなく、昭和の頃にはもう言われていたことです。

本来のインド仏教では「葬送儀礼」のウェイトは低いんです。これが日本に渡来してくる間に、中国の道教や儒教の「先祖供養」という考え方が混淆して、「葬儀をする仏教」という形が整えられたとされています。

ここで大きかったのが、日本古来の「神道」では、「死穢」を非常に忌み嫌うことです。平安時代、親族が死んだ貴族は朝廷に出られませんでした。また、ある貴族が世話になって敬愛していた乳母が死んだ時、川に投げ捨てたなんていう逸話も残っています。

これは神道の本家本元である天皇家を考えれば明白です。伊勢神宮には天皇家の先祖神は祀られていますが、お墓のようなものはまったくありません。そもそも仏教が渡来した飛鳥・奈良時代から、天皇家の葬儀は「仏式」で執り行われて来ました。これが江戸末期の孝明天皇まで続きました。天皇家の菩提寺は、京都の泉涌寺です。神式で葬儀が行われた記録は残っているのは、明治・大正・昭和の3天皇だけです。ことほどさように、日本では「葬儀は仏教が執り行うもの」という意識が根強くありました。

これをさらに強化したのが、江戸幕府が取り入れた「檀家制度」です。これはほぼすべての人を「檀那寺」に属する「檀家」にするもので、これで「菩提寺」になった「檀那寺」が、「檀家」の葬儀を独占的に行う権利を得ました。この檀家制度は、江戸幕府のキリシタン統制とも密接に絡んでおり、檀那寺の寺院は檀家に対して、自分のところの檀家であることを証明する「寺請証文」というものを発行することになりました。

この寺請証文をベースに、江戸時代の戸籍のようなものである「宗門人別改帳」が作成され、キリシタン等でないことが証明されたわけです。この「宗門人別改帳」から外された人のことを「無宿」と呼ぶので、真っ当な暮らしをしたかったら、檀家であり続けるしかなくなったわけです。これで「菩提寺」という観念が定着して、「葬儀はお寺で行い」「お墓はお寺が管理するもの」になったんです。

京都や奈良の有名な古いお寺さんに行くと、自分のところではお墓を持っていないケースがしばしばありますが、これはあまりに古い由緒があり過ぎて、この「檀家制度」に組み込まれなかったためです。

こうして檀家は檀那寺に対して、「寄進」なんかをして経済的に支える義務が出来たんですが、江戸時代のお寺は「宗教」としてもまだ生きていました。つまり「信仰の対象」ではまだあったんです。

これを根底から崩したのが、明治期初期に起きた「廃仏毀釈」です。江戸時代までは「神仏習合」といって、お寺と神社が密接に絡み合っていました。お寺の中に神社があったり、その逆もふつうにあったんです。これを明治政府が「神仏分離令」を出した結果、全国的な運動として「廃仏毀釈」が起こるんです。

この「廃仏毀釈」が起きた背景にはさまざまな考察があるんですが、①明治維新の背景に国学思想があったので、仏教の教えを排除しようとした、②江戸幕府が国民統治に利用してきた「檀家制度」を明治政府が壊そうとした、③檀家制度のもとであまりに強くなっていたお寺のお坊さんの力やその退廃ぶりに、民衆が強い不満を抱いていた、④お坊さんに押されて地位が低かった神官が、廃仏毀釈を煽ったーーといった理由が考えられると思います。

これで仏教の法典は民衆によって壊され、寺宝やお寺のさまざまな施設が壊され、仏教に対する信仰が捨てられました。この「廃仏毀釈」運動が起きていたのは、だいたい5年という短い期間とされますが、これで1回、仏教は宗教としては死んで、お寺は経済的な基盤を失うんです。お坊さんが生活のためにさまざまな寺宝を売り出しても、日本人には買い手がなく、大量に海外に流出したのもこの時期です。奈良の大仏さんが安価で売りに出されたけれど、買い手がいなかったとも言われています。また明治政府によって、仏教寺院はこれまで持っていた領地も召し上げられてしまいました。

こうして経済的な基盤が何にもなくなってしまった仏教寺院が、廃仏毀釈の波が過ぎ去った後、生活の種にやり始めたのが、「葬儀を執り行って、お布施をもらい」「お墓を管理して先祖供養して、またお布施をもらうこと」です。先述した通り、神道は死穢を非常に忌み嫌うので、ここだけは神道では代替できなかったんです。

この葬儀を執り行ってお墓を管理することが、またお寺さんの既得権益になって、お坊さんたちが知恵を絞って、その収入をどんどん増やそうとしたため、「信仰心は薄れたように見える」のに、「葬式仏教」だけは盛んに執り行われる、特に「先祖供養をしないと自分たちが不幸になる」という考えが、広く流布されたわけです。

例えば「浄土真宗」は「往生即成仏」、つまり死んだらすぐにその人は仏さんになって極楽浄土に行けるという考え方です。だから「個人の成仏を願う」という発想自体がありませんでした。「四十九日」もありません。戒名も「釈◯◯」と簡単で、仏壇にも本来は「お位牌」を置きません。置くんだったら「過去帳」だけです。成仏した人が現世に帰ってくることはないので、「お盆」(盂蘭盆会)はないですし、本来は「3回忌」「7回忌」「13回忌」という考え方もありません。だって故人はもう極楽浄土に行っているわけですから。

お盆(盂蘭盆会)はお釈迦さまの弟子のお母さんが、餓鬼の世界から仏法によって救われた故事にならおうとするのが発祥で、このため餓鬼道に落ちて人を救う願いを込めて「施餓鬼会」をやるのがメイン行事です。しかし浄土真宗では故人はもう極楽浄土ですし、「悪人正機」という考え方があるので「施餓鬼」という発想は本来ないんです。でも現在では東西の本願寺さんだって、この「お釈迦さまの弟子のお母さんが仏法で救われた記念に仏法に感謝する機会」といった名目で「盂蘭盆会」を執り行っています。昔はなかった行事や法事が増えているんですね。

浄土真宗のお寺で昔から執り行われてきたのは「報恩講」という宗祖の親鸞聖人に感謝する法要など、極めてシンプルでした。ですから、浄土真宗は貧乏な庶民の心の拠り所たり得て、「一向一揆」なんかが起こったわけです。

しかし現在の浄土真宗のお寺さんは、それでは食っていけません。なのでいろんな理由を付けて3回忌や7回忌などの法要も執り行うようになったんです。だいたい浄土真宗のお坊さんに聞けば、法事は「故人を偲んで、仏法に触れる機会」と説明されると思います。それだけ浄土真宗のお寺さんも檀家さんに対する引力を失って、日頃は仏法に触れさせる機会を持てないので、法事というものに頼らざるえなくなったわけです。

日蓮宗に次いで現在でも信仰が生きている仏教でこの状況なので、他の宗派はおして知るべしです。

ただ難しいのは「葬式仏教」の基盤である「お布施」が本来は「任意のもの」である前提だということです。だからお坊さんに来てもらって、お葬式でお経を読んでもらっても、貧しい人なら包むのは本来、任意で1000円だってアリなんです。このわかりにくい部分を透明化して、お布施の料金設定を明示しようとする試みは過去何回か行われてきましたが、これは「仏教」という宗教の根底に根ざすものなので、仏教界の反対にあってすべて頓挫しています。現在は葬儀会社の人に聞くと、コソッと「相場」を、葬儀の派手さと宗派、来場者数、それにお経を読んでもらう長さから教えてくれると思います。

ただ葬式仏教も、都会では若い人の「小さなお葬式化」が進行して、田舎でも都会に出て行った人が法事のために帰郷しなくなったため、成り立たなくなったと言われています。このため、がめついお寺の住職さんは「取れる人から出来るだけ取ろう」とするようになりました。最近は戒名1文字いくらとか言って、やたら長い戒名を付けたがるお坊さんが、特に禅宗宗派を中心にいるんですが、これは本来の仏教の考え方には馴染まないものです。

この戒名に「院号」とか「道号」と呼ばれるものを付けて、やたら長く付ける習慣が出来たのは、江戸時代で、大名や高級武士が、一般民衆の戒名と差別化しようとしたのが起源とされています。だから武士の宗教である禅宗の戒名には長いものが多くて、農民の宗教だった浄土真宗は「釈◯◯」の3文字か女性なら「釈尼◯◯」の4文字なんです。ですから庶民が長い戒名を付けることに、まったく意味はないんです。

でも僕の母方の祖父が亡くなった時、母の実家の菩提寺の当時の住職さんが金稼ぎに余念がない人で、祖母に言って葬儀にやたら金をかけさせました。戒名は本来、仏弟子になった証に付ける名前ですので、最小2文字で十分なんですが、祖父に付けられた戒名はなんと17文字で戒名料も1000万円近くぼったくられたと聞いています。この他さまざまな形で祖父の葬儀にはお金がかかり、数千万円だったそうです。

まあ派手に祖父の葬儀をしようとした祖母もいけないんですが、当時の祖父の葬儀を知る方から「いまだあれを超える葬儀に出たことがない」と語り草にされてしまっています。曹洞宗なんですが、通常の1仏事や3仏事ではなく5仏事でやり、通夜振る舞いには「故人が暗いことは嫌いだった」という理由で芸者さんたちが呼ばれて、通夜に来たお客さんにお酌してまわっていましたから。でも、これなんかお坊さんが「取れるところから取ろう」とした典型事例だと思います。

この結果、苦労しているのが現在の施主になった従兄弟で、今の住職もこれを引き合いに出し、何かと「以前はこうやった」と言って、お金をむしり取ろうとするので、法事ギリギリまで、従兄弟と僕が、住職と料金交渉している場合があります。住職はサラリーマンの従兄弟はムリでも、僕なら払えると見ている様子ですが、何かと金金金で、そのくせメルセデスAMGなんかが並んでいるお寺の駐車場を見ると、1円だって余分には払いたくないです。

一方、僕の家の菩提寺は、京都のとても由緒あるお寺さんです。鎌倉時代の創建で、有名人のお墓に並んで、りおぽん家の立派なお墓もここにあります。住職は義理の従兄弟です。ですから法事でもなんでも無理なことはまったく言ってきません。母方の実家の法事よりずっとお安いです。しかし先日の娘の結婚に際してのお茶会にお庭を利用させて頂いたり、僕が京都に行く時、泊めて頂いたりと、たびたびお世話になっています。ですから、「檀家」として、このお寺さんの経済を支えるため、お布施もご寄進もたくさん僕の気持ちでしています。こっちの方がよっぽど気分が良いです。

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