質問
2025年09月10日 回答
最近、江戸幕府の鎖国制度に強い関心があるのですが、何かいい文献ご存じないですか？
万博で「江戸幕府がロンドン万博へ出展品を運ばれる際、我が国に立ち寄られ、その時の歓待に感激され帰国後贈られた品で…」って一品を見てからどうも教科書で理解した気になってた鎖国と色々違うぞ、と思いまして。
回答
良い目の付け所です。鎖国は長らく「国交を断絶してヒトモノカネの流れを遮断した」と理解されてきました。高校の教科書ではまだそう教えているんじゃないかな。しかし21世紀に入って研究が進み、海禁論という説が主流になっています。
まず古典的な鎖国の考え方についておさらいするなら、岩波文庫の「鎖国」(石井良助)なんですが、これはすでに絶版になっているので神保町の川村あたりに行って探してください。古典的名著としては「鎖国」(桑原忠親、講談社学術文庫)もあります。どちらも歴史をやったことがある人なら知らない人はいない大先生で、これが教科書で教える鎖国です。
しかしこの鎖国観と相容れない研究成果が1970年代から次々と発表されます。この成果に興味があれば論文もお教えしますが、この変化を集大成して、従来とまったく異なる鎖国観をわかりやすいまとめたのが「鎖国 日本の開国と国際関係」(新井孝重著、講談社現代新書)と「鎖国を見直す」(田中彰著、岩波ブックレット)です。ここでは鎖国は「管理された外交政策」として描かれています。
まずはこれらを読んでみて、さらに詳しく知りたいのであれば、これらの本の元になる学術的研究についても紹介します。
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