日本の治安の良さを活かして、お金持ちとか、優秀な科学者とかを誘致できないもんでしょうか。。

質問

2025年09月08日　回答

日本の治安の良さを活かして、お金持ちとか、優秀な科学者とかを誘致できないもんでしょうか。。

回答

治安の良さぐらいでは無理ですね。科学者にとって日本の貧しい研究環境にはまったく魅力がありません。給与水準も世界的に見て低いです。

日本と同水準以上に治安が良いシンガポールでは、One Passというスーパー特区ビザを発給したり、ポスドク奨学金制度を外国人対象にしたり、「安全で効率的で資金豊富な研究拠点」というブランディングをして、さまざまな学会で広報活動をやったりしています。さらに強化したい重点分野ではAI Visiting ProfessorshipといってAI関係の世界的な研究者を客員としてシンガポールが招聘することまでやっています。シンガポールのこの戦略はWhales & Guppies (クジラを連れて来て、国内でたくさんのグッピーを育てる)と言われます。

富裕層ということで言えば、日本は交通などの社会インフラは世界最高水準にあります。しかし多くの日本人は気がついていませんが、日本の生活水準は先進国の中で低い方です。平均賃金や労働生産性はOECD38か国で30位ぐらい。G7諸国ではこの手の指標では最下位かイタリアに次ぐ6位であるものが多いです。家計金融資産総額は世界最高水準ですが、この多くは高齢者層に偏在しており、若者層の資産形成力の弱さが指摘されています。そして相対的貧困率は15%でOECDの平均より高い。実は日本は貧困層の多い国なんです。これで治安が維持できているところがすごいところなんですが。

以上のようなことから、富裕層にとって日本はそれほど魅力的ではなくなっています。ハイブランドに詳しい方は気がついているかもしれませんが、超富裕層を狙うような欧米の商品やサービスは、香港やシンガポールで展開していても、東京や大阪では展開しないものが数多くあります。

中国人や台湾人の富裕層が日本の不動産に魅力を感じるのは、土地まで取得できることと相対的に割安だということがあります。東京の都心のマンション価格は1平米あたりの価格で見て香港や台北の中心部のマンション価格より低い。だから割安感があるんです。

外国人観光客が日本に買い物しに来るのは安く買えるからです。割安感であれば売り物にはなるかもしれませんが、それが望ましい状況なのかは別の話です。