質問
2025年09月08日 回答
最近、基礎研究の重要性を説く方々と、その重要性自体は理解しつつも日本国内で行う必要性に疑問を持つ方々の間で議論が交わされているのを拝見しました。
私の目から見て優秀と思われる方々の多くは、
「国立大学をはじめとする研究機関は将来の国益を担う重要な投資先であり、その予算を削減するなどもってのほかである。日本はこの分野にもっと予算を割くべきである」
といった意見を表明されているようです。
私自身も理想としてはその通りであるべきだと考えます。しかし、現実問題として冷静に計算してみると、研究予算と国力が必ずしもきれいに正比例するとは考えにくいとも感じます。
りおぽんさんはこの点についてどのようにお考えでしょうか。おそらく、りおぽんさんは研究力を重要視されていると思います。可能であれば、私もそのような意見を持つに至るような、打算的な利点をお聞かせいただきたいのです。
私が素人考えで思い浮かべるのは、公費で基礎研究に参加した優秀な学生が後に民間に流れていく、というものです。しかし、この場合でも必ずしも育てた研究者が日本企業に就職するとは限らず、高待遇が見込めるのであれば国外の企業に就職することもあるでしょうし、その判断自体は正しいと思います。
あるいは、国が代表して基礎研究を行うことで、民間企業がその土台の上で戦えるようになり、国力の底上げに繋がる、という考えもよぎりましたが、アドバンテージを受けるのは国内の企業だけではないので、あえて日本の税金で行うべきかと言われると首を傾げたくなってしまいます。
お金が全てではないと思いますが、少なくとも「研究費を国が負担するのは、将来稼げるお金のためだ」という論法は、いささか無条件には受け入れ難く思います。
もしお気を悪くされたなら申し訳ございません。研究そのものを否定する意図は全くありません。ただ、公費を費やすだけの社会的メリットを提示できるのか、それとも実利を追求せず、国としての誇りのために行うものと割り切るべきなのか、純粋な好奇心からお伺いしたく存じます。
どうか、狭い視野の私にご教示いただけますと幸いです。
回答
結論から言えば、基礎研究費への国家支出は国力にほぼ正比例するんですよ。日本政府の研究開発費のうち15%程度(約1兆2000億円)が基礎研究費に充てられていると見られていますが、米政府は15-16兆円程度を基礎研究費に充てていると推定できます。これがモロに国力の差になります。米国では基礎研究を支えるのが政府で、このさまざまな成果を企業が受け取るシステムができています。これが米国の力の源泉の一つです。
例えば量子力学という基礎研究分野があります。原子や電子、光子の振る舞いを研究する学問です。さまざまな科学的成果はありますが、その社会的実装に目を転じると、これまで半導体やレーザー、MRI、太陽電池、光ファイバー通信などの成果をもたらして来ました。
理論物理は戦後、日本も非常に強い分野でした。しかしあなたのような声に押されて日本の理論物理研究体制は年々厳しくなっています。東大と京大にまだ優れた研究機関がありますが、次に日本人でノーベル物理学賞を受賞するとしたら、カリフォルニア大バークレーに流出した大栗博司さんあたりになるんじゃないでしょうか。
この量子力学の次なる社会的実装成果は量子コンピュータ、量子暗号などになると見られています。逆に言えば量子コンピュータや量子暗号の応用研究には量子力学の基礎研究という土壌が不可欠であり、高い相関性があることがわかっています。より正確に言えば「量子力学の力×(工学的実装力+産業資源)」が量子コンピュータの開発研究力と強い相関性を持ちます。
ですから日本で量子コンピュータ研究となると、目立つのは理化学研究所かオールジャパン体制の大阪大学ぐらいになってしまいます。しかし量子力学が盛んな米国では研究者が多く、その知見を持った人々が各企業で量子コンピュータのシードを立ち上げています。
しかし量子力学で最近では米国に勝るかもしれないのが中国です。量子力学の論文参照件数で米国を抜いたからです。中国は産業資源や実装とセットで量子コンピュータや量子暗号の時代を押さえようとしています。このまま行けば30年後には日本のコンピュータ産業は壊滅状態になっている可能性があります。
日本が世界に基礎研究で対抗できる拠点は理化学研究所と各国立大学ぐらいになってしまいました。しかし国立大学の研究者には予算がありません。
この点、産業スパイばかりが注目される中国ですが、「千人計画」というものがあり、海外の優秀な科学者や技術者たちを高額で引き抜くこともやっていました。これが情報流出懸念で国際的非難を浴びると名前を「高端外国専門家計画」と名称を変更しましたが、やっていることは優秀な外国人研究者の囲い込みで変わりありません。エゲツないやり方ではありますが、これが中国企業の開発力を大きく底上げしたと言われています。これには数多くの日本人研究者が参加したと言われています。僕は産業スパイとともにこちらの方の対処も急ぐべきだと思います。
余談ですが生命科学の基礎研究をやっている僕の友人にやっぱりスカウトがあったそうです。高年俸で中国の大学の教授ポストを用意し、1000万円を超える一時金を提示して来たそうです。でも金やポストに無頓着な男なのでそれはさほど響かなかったらしいですが、年間6500万円の科研費には、それだけあれば研究室の設備が整えられるとグラっときたと笑っていました。でも中国には行かなかった彼も結局、米国行きを決意しました。あまりに日本の研究生活に未来が見えなかったそうです
現在、日本政府が基礎研究に投じている予算は国民1人当たり年間1000円ほどです。これを削って減税乞食の愚民たちに1000円与えるのであれば、日本の未来のために基礎研究に充てて長期投資するのが遥かにマシ、いや米国並みに国民1人当たり5000円ぐらいまで引き上げても良いんじゃないかと僕なんかは思います。
この点シンガポール政府はよくわかっていて、RIE2025という5ヶ年計画では約2兆5000億円という同国に取って巨額を投じて「基礎研究→イノベーション→産業への応用」というメカニズムを働かそうとしました。これは上乗せ分ですが、国民1人当たり年1万2500円の支出になる計算です。それに文句を言うバカはいません。
世界的に見れば米国、中国、フランス、ドイツの基礎研究費率が高いです。韓国も積極的に増やしています。この辺の国に日本は足元にも及ばないか、抜かれつつあります。
余談ですがこういうものは労働生産性として平均賃金にも跳ね返ると僕は見ています。この点、日本はOECD諸国では下位圏で韓国よりも数ランク下です。エンジニアや研究者となると欧米はもはや比較にならず、アジアでも割と下の方です。例えば日本のソフトウェアエンジニアの平均年収は3万8000ドルですが、台湾で4万8000ドル、シンガポールは5万1000ドルです。日本の科学者の平均年収は4万5000-4万8000ドル、シンガポールは約9万ドルとほぼ倍です。そりゃ日本には外国人が単純労働者しか来ないわけです。
と言っても愚民国家主義の日本じゃもうムリなんだろうね。そりゃ企業の技術競争力が減退もするわね。
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