どのようにして骨董品収集を始められたのでしょうか？｜東大ぱふぇっとの米国株投資ブログ

質問

りおぽんさんはどのように骨董品収集を始められたのでしょうか？ふらっとお店にお立ち寄って常連に？あるいは骨董市や骨董ジャンボリーなどの市場から？昔は東京の西荻窪という街を歩くとどこもかしこも骨董品店で違う時代に迷い込んだような面白い散策の思い出があります。

回答

骨董と言っても高価な茶碗からなんだかわけのわからないガラクタまでいろいろあるわけですが、高価な茶碗・茶道具から行くと、これは父方の伯母の仕込みです。

伯母は名の知れた茶人であると同時に茶道具の大コレクターでした。伯父がその地方の長者番付の常連になるような裕福な人だったので、その資産運用も兼ねて、茶碗や茶道具の蒐集をしていました。

僕はこの伯父伯母に実の親以上に懐いていて、可愛がってもらいました。伯父がやっていた総合病院の後継者になって欲しいと言われたぐらいです。

ですから休みがあるとよく伯母の家に泊まりに行く。すると出入りの骨董商が来ると、伯母から同席するように命じられるわけです。小学校高学年の頃の話です。

骨董商が持参してきた骨董品を取り出すと、伯母から先に拝見するように言われます。それは例えば黒楽や古唐津、魯山人の茶碗の良いものだったりするわけで、そんなことはわからない小学生が自分の見立てを述べるわけです。「この黒楽が一番綺麗」。

骨董商は内心はともあれ「おぼっちゃま、お目が高い」とは褒めてくれます。そして伯母との商談に入るわけですが、伯母は僕を悪戯っぽく見て、「りおぽんちゃんが気に入ったこれをもらっておこうか」なんて言ったりします。僕は役目を果たしたような気になって嬉しくなります。

「それでおいくらで譲ってくれるのか」「350万円ほどでいかがでしょう」「もらっておこうか」。サンビャクゴジューマン！小学生には見たことがないような大金です。伯母さんに損をさせなかったかなと怖くなりました。

伯母は僕が遊びに行っていれば、必ず同席させます。ですから僕はこれは茶道具について勉強しなくちゃと思うようになりました。思えばこれは伯母の思う壺でした。伯母はどうやら自分のコレクションを継ぐのは僕であると当時から思っていた節があって(従姉妹がいましたがまったく興味がありませんでした)、自分の秘蔵のコレクションも惜しみなく見せてくれ、お道具の見方を教えてくれました。

また中学生の頃からはお茶席に同席するように言われたり、茶道をちゃんと習うように手配してくれたりもしました。「りおぽんちゃんも良いお茶碗を一つ二つ持っておきなさい」と言って、当時としてはちょっと身に余る茶碗や茶道具を自分のコレクションから見繕ってくれたりもしています。

こうして中学生の頃には「ノンコウはやっぱり洒脱な味わいですね」なんていっぱしのことを言うようになったわけですが、骨董商の方も伯母に品物を売りつけるには先ず僕を納得させるのが良いと気が付きます。ですから中学生を相手に丁寧に品物の見方を教示してくれます。「坊ちゃん、魯山人の本物と偽物を見分けるコツは。。。」。こうして僕の骨董蒐集の英才教育が行われたのでした。

伯母は結局、自分が蒐集した膨大なコレクションをすべて僕に遺贈するという遺言書を残して亡くなりました。相続時の評価額は10億円以上。これは現在の僕のコレクションの基盤になっています。

この結果、僕は中学生にしていろんな骨董商の方と親しくなりました。するとお店に遊びにおいでと言われるわけです。骨董商と言えば、東京なら京橋から日本橋、銀座にかけて、京都なら古門前か新門前です。僕は社会科見学のつもりで遊びに行きます。

高価な美術品や茶道具しか扱わないお店もありましたが、種々雑多、いろんな古道具や小物を置いてあるお店もありました。みると中学生でも買えるお値段です。

「坊ちゃん、千社札に興味があるのか」。「これ色鮮やかで綺麗ですね」「千社札の良し悪しの見どころは。。。」。即席レッスンが始まります。「ではこれください」「坊ちゃんにはいつも世話になっているからね、半額にしておく」とまあこんな具合で僕の骨董蒐集はスタートしました。

数多の骨董品という意味でもう一つ大きかったのが古本です。僕が神田神保町通いを始めたのは小学校4年生の時からですが、以来あの独特のカビ臭さと親しくなりました。神保町通いをされている方ならわかると思いますが、ちょっとした骨董品や雑貨類も置いてある書店があります。

「ご主人、これは何ですか？」「矢立て」。へーこれが世に聞く矢立てなんだ、と冗談半分で買い求めてみたりしました。こうやって古い雑貨に親しむことで、僕の骨董蒐集癖がどんどん沼になっていったわけです。大学生の頃にはもういっぱしの骨董蒐集家を気取っていたものです。