オススメのお香はありますか？｜東大ぱふぇっとの米国株投資ブログ

質問

こんにちは。香道などは知らず、たまに京都や鎌倉のお土産屋さんや無印良品などのを買う素人なのですが、オススメのお香はありますか？
香りは白檀系かグリーンフローラルなどと名前がついているタイプが好きです。予算としては2,000円前後を考えていますが、そもそも相場がイマイチ分からず、初心者向けでもその値段じゃ買えないよ〜ということなら、いくつか値段と共に紹介いただければ。
ちなみに横浜在住の為、鎌倉あたりから東京方面までは店舗に買いに出かけれます。

回答

この「お香」というのはちゃんと香炉に置いて香を聞くための香木ということでしょうか。であると非常にピンキリです。1g20円で売っているものもあれば、1g10万円を超えるものもあります。簡単に説明します。

まず香を聞くために使われる香木は一般的に伽羅、沈香、白檀の3種です。お値段は伽羅>沈香>白檀という関係です。香道においてはこれらを東南アジアの産地で見て羅国だとか真南蛮だとか表し、これと甘いだとか辛いだとかの五味を聞き分けて楽しもうというのが香道というわけです。しかしこれは知らなくても問題ありません。ただ伽羅や沈香は木の樹脂が固まって香りがするのに対して、白檀は気に含まれる精油が香るというメカニズムの違いは覚えておくといいです。

香木の種類にはその形状からいくつかあり、まず香木の元の形状を留めているものを「木」と言います。観賞用に使われるほか、専用のノコギリで切り出して使います。正倉院御物の蘭奢待がまさに木です。良いものは取れなくなってきているために非常に高価で、ワシントン条約の影響もあって流通量も減っています。良い木は樹脂が滲み出しており、テラテラと光ります。そして常温でも良く香ります。良い香木は水に沈むのも特徴です。

伽羅の木であれば1g5-10万円が相場で、それ以下の値段で売られていたら偽物を疑った方がいいです。ただ僕は20-30年ぐらい前に当時はまだ安かった木を、自分で聞くために大量にストックしておいたので、それをいまだに使っていますが。

「板割、小割」。板状になっている香木で、香を聞くためには一般的にこれを使います。やはり樹脂が滲み出て黒んずんでいるようなものが尊ばれます。この辺からはAAA級あるいは松竹といった等級が付けられています。安いものは見た目が普通の木を切ったのと変わらず、鼻を近づけても何も香りません。水に浮くもの沈むものがあり、当然後者は高価です。

相場は伽羅が1g 1万5000円-6万円、沈香が8000円-2万5000円、白檀であれば3000-1万5000円程度でしょう。これを火に焚べて灰にして楽しむんですから、香道というのは酔狂な遊びです。

「刻み、末、粉」。板割りがさらに細かくなっているものから、粉末状になっているものを指します。もっとも安価です。香を聞くためにはあまり使われず、お焼香用や空薫(そらだき)と言って空間に香の香りを漂わせる用途で使います。今回のお話ではこれで十分だと思います。ただ本当に良質な香木は手間をかけて価値が失われる刻みや粉にはあまり加工されません。それはご承知おきください。

相場は伽羅は刻みとあまりお値段が変わらず1万5000円-4万円、沈香がお焼香用であれば20円から、空薫用が数百円-数千円、白檀は10-50円ぐらいでしょうか。

ことほどさように千差万別なんですが、特にこだわりがあるのでなければ、沈香の3000-5000円ぐらい刻みを買い求めるのがいいと思います。伽羅であれば1万円-1万5000円ぐらい。刻みであれば板割りより薫らせやすいのも利点です。

この相場以下のものもないではありませんが、そういうものはほとんど香らない粗悪品であったり、木に後から香り成分をなすりつけただけの偽物である場合が少なくないので、注意してください。

これらの伝統的な香りとは別に、近年パロサントという香木の香りが安価で楽しみやすいと盛んに流通しています。ヨガや瞑想のために使われるのが本来の用途でした。

パロサントは伝統的な香道具店では扱っておらず、東急ハンズやナチュラルローソン、ネットショップなどで売っています。お気軽ですが偽物も多いので、産地証明シールを貼って売っているお店か、木から樹脂が染み出していて、油染みができるかと言ったことをチェックするのがいいです。

りおぽんはもっぱら伽羅か沈香の木か板割りを用いています。また今では入手困難な200gほどある良質な伽羅の木があるんですが、これは置いておくだけで常温で周囲に良い香りが漂います。