お知恵をお借りしたく質問させて頂きます。「自宅の任意売却を防ぎ住み続ける方法はないのか」です。

拝読しましたが、非常に難しいケースですね。まず現在も別れた元夫の名義ということですから、この家の持ち主は元夫です。元奥さんだという女性は、この家を担保にローンを借りたり、リースバックしたりする権利がありません。住宅ローンの返済義務を負うのも当然、元夫です。別れた以上、元妻はまったく無関係です。

おそらく金融機関は別れた夫に対して、ローンの返済を誠実に行うよう、元夫に督促して来たんでしょう。ところが1年も放置された。しかし放置されたので「期限の利益が喪失」したというのが、金融機関の現在の立ち位置でしょう。期限の利益が喪失すれば、家を担保として抑えて競売にかけるか、ローンを一括返済してもらうしかないので、金融機関は鬼でもなんでもありません。

さらに都合が悪いことに、住宅ローンというのは本人が住む目的で借ります。ところが現在、この家には元夫は住んでおらず、赤の他人になった元妻とその家族が住んでいる状態です。実は住宅ローンを借りた本人が住まずにローンを組んでいる状態自体が契約違反になり、これだけでもローンの一括返済事由にあたります。誠実にローンを返済していれば金融機関も多少は目をつぶってもらえるかもしれませんが、今となってはそれさえつつかれる可能性があります。

「夫名義から自分の名義に換えて」と気軽に書かれていますが、これは元夫の所有財産を元妻の所有財産に移すということになります。赤の他人で財産を贈与するんですから、当然これには贈与税や不動産取得税がかかります。

問題は離婚時に離婚協議書のようなものが作成してあれば、そこに自宅の取り扱いがどう記載されているのかですねぇ。離婚時の「財産分与」であれば、贈与税はかかりません。「慰謝料」だとあまり高額なものには贈与税がかかる場合があります。

いずれにしても、元夫が借りた住宅ローンは期限の利益を喪失しており、銀行が競売にかけるか、元夫が任意売却をして残債を支払うか、ローンの残債を一括返済するかしないとダメでしょうね。

銀行と握れれば、離婚時に財産分与を受けていた建て付けにして、住宅ローンを妻名義で借り換える手があります(本来そうするべきだったんですが)。しかし今となっては銀行がこれを受け入れるかどうか。担当者が了解しても本部が通らない可能性が十分あります。そして奥さまとお母さまでローンの審査が通るかどうかですね。

ところで固定資産税はきちんと支払われているんでしょうか？

あまりにここまでの処理がルーズだったように思えます。お気持ちはわかりますが、今現在であれば、自宅の住宅ローン(諸々の負債)はすべて元夫の責任で、奥さまや子どもたちとは無関係です。離婚協議の中で自宅を財産分与されていないのであれば、この物件からは手を引いた方がいいと思います。

財産分与を受けている建て付けにできるのであれば、過去に遡って未払い金を支払った上で、借り換え交渉することですが、うまくいく保証はまったくありません。