経営者としての技量はどうやって身につけられたのですか？

さほど経営者としての実績はありません。30代の時にやったマネーゲームで赤字の医療法人や学校法人の経営権を握って立て直しを主導したのは仲間たちで、僕がやったのは買い手を探し出して買取交渉することでした。ただこの時、赤字の法人を綺麗にして建て直すという時のドラスティックな手法を学びました。

また経済記者として、有名無名の数多くの経営者のお話しを伺う機会を得られたのは大きかったです。僕は取材とは無関係なこうした方たちの組織運営論、経営戦略論を伺うのが好きでした。

そしてIT企業に転職して、いきなり経営者になったわけでもありません。最初は経営者のブレーンをやってその経営者の経営手法を学び、企業買収案件にも携わりました。買収して失敗した企業の役員に入って、撤退戦を主導するという難しい役回りもやらされました。その上で一度は自分でも経営者をやっておけというトップの判断で、ベンチャー企業を任されたんです。満を持してのことだったので、IPOまで持って行けたのは僥倖でした。

ただ僕は本質的に経営トップの器ではなく、その下でアイディアを出し、戦略を練る役割が向いているという自覚はあります。